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家を持たず移動を楽しむ!?「アドレスホッパー」という生き方

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2019年09月18日 15:40  HARBOR BUSINESS Online

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写真市橋正太郎さん(左手前)
市橋正太郎さん(左手前)
 定住先を持たず、移動しながら生活をする新しいライフスタイルが「アドレスホッピング」だ。この言葉は、島々を移動して旅をするアイランドホッピングから着想を得て作られた造語である。

 その言葉の生みの親であり、アドレスホッピングを実践しているのがAddress Hopper Inc.代表の市橋正太郎氏。SNSを覗けば、常に移動している様子が伺える。神出鬼没と言ってしまえばそれまでだが、アドレスホッパーには独特の哲学や考え方があると感じている。

 そこで今回は、市橋氏にアドレスホッパーとしての暮らしや生き方、今後の展望について話を伺った。

◆アドレスホッピングをやろうとしたきっかけ

 28歳から2年間、原宿のシェアハウスに住んでいたという市橋氏。ところが、大手企業からベンチャーに転職した頃から、肌に合わなくなってきたという。

「原宿のシェアハウスに住んでいたものの、住人同士で映画鑑賞したり、料理をしたり…。とても楽しかったが、ゆっくりしすぎていたというか自分の環境には合わなくなり退去することにした」(市橋氏)

 当時は、大手企業からベンチャーに転職し、年収が下がっていた。そこで居住費をできるだけ抑えたいと考えたという。さらにその上で、平日は仕事に集中し、休日は海のそばで過ごすなど、フレキシブルなライフスタイルをしたいと考えた結果、AirBnbで住むことに行き着いた。

「会社の近くで車中泊することなども考えたが、駐車場代が高く、また駐車できない可能性がある。賃貸、シェアハウス、購入など住み方はいくつか選択肢があるが、民泊が合法化される前で、物件が多くあったため、まずは実験的にAirBnbで生活をしようと思った」(市橋氏)

 コストを抑えつつ、自由なライフスタイルを送るために、AirBnbを使って転々と生活する。これが、アドレスホッピングの始まりだと市橋氏は話す。

 定住先を持たず、今日泊まる宿を求めて移動するライフスタイルは、新R25編集部の目に留まり、記事として紹介される。それがきっかけで世間に知られるようになったという。

「新R25で取り上げられた後、同じような生活をしている人から連絡が来るようになりました。定住先を持たず移動生活を送っている人が意外にも多くいることに気づき、コミュニティとして形成できないか考え始めました」(市橋氏)

 市橋氏個人が取り上げられる中、個ではなく群として世に示すことはできないか。移動しながら生活することに名前を付け、1つの集合体を作ることで世の中の理解を得たいと考えたのだという。

 その結果、アドレスホッピングナイトというイベントを開催するに至り、自分以外のアドレスホッパーが集まる場を定期的に開くきっかけになったと市橋氏は語った。

「アドレスホッピングはイベントを始める際に考えた言葉。的を得たポジティブな表現としてしっくりくると思って、皆で考えて名付けた。第1回目は想像以上に人が集まり、このコミュニティが盛り上がる予感を抱いた」(市橋氏)

 毎回メディアの取材が入るほどコミュニティが盛り上がり、個人ではなく1つのライフスタイルとしてみられるようになった。

◆カルチャーとして定着させるため、会社を設立

 イベントを繰り返すうちに、移動生活がもたらす価値やその可能性に気づき、もっとアドレスホッピングをカルチャーとして定着させたい。そう考えるようになっていった。そしてついには会社化を決意する。

「移動生活に社会的な意義を見出し、アドレスホッピングという生き方自体を1つの選択肢として世の中に提案する。社会の中で役割を持たせ、存在価値を示していきたいと思うようになった」(市橋氏)

 アドレスホッピングを実践する中で、多様性が生まれる、人との繋がりができる、価値観が広がる。お金ではなく、新しい社会関係資本(ソーシャルキャピタル)が得られることを、日本のカルチャーとして根付かせたい。

 これが、今の市橋氏の活動のバックグラウンドにある根底の考えだ。

◆アドレスホッピングを継続するコツと向いている人とは?

 アドレスホッパーの生活は家を持たないので、常に移動してホテルやドミトリーなどの寝床を確保しなければならない。実際にやる上で市橋氏に心構えや意識するポイントについて伺った。

「アドレスホッピングは全て自分で意思決定をしなければいけない。移動手段や泊まる宿を考えたり、荷物を厳選したりするのが面倒に思うのは大体最初の1〜2ヶ月。また、周囲からの目も気になるので心理的なハードルもある。慣れるまでは大変に感じるかもしれないだが、移動を続けているうちにアドレスホッピングの楽しさが分かってくる」(市橋氏)

 アドレスホッピングを継続させるためのコツは、移動しながらでも稼いでいける仕事を持つ。そして、移動しやすいように荷物を最小限に抑える。荷物に関しては、トランクルームを使わなくても、月額250円で荷物を預けられるサマリーポケットなど格安の収納サービスを使えば、スマホで管理できるので便利とのこと。

 定住する生活とは違うからこそ、日々生活するための工夫を重ねる必要がありそうだ。アドレスホッパーを実践するのに向いている人は、旅好きやバックパッカーのように、移動を楽しめる性格の人だという。

「アドレスホッピングは多拠点生活やデュアルライフのように複数の定住拠点があるわけではないので、移動が苦にならず、日々新しい発見や出会いがある生活を楽しめる人が向いている。今後は移動生活ができる層を増やしていきたいし、移動していること自体を価値に変えていきたい」(市橋氏)

◆アドレスホッパーを続けながら家庭を持てるのか?

 最後に、アドレスホッパーの生活をいつまで続けるのか。また、家庭を持って拠点を構える可能性について市橋氏に伺った。

「アドレスホッピングは今のところ、やめる理由が見当たらないので続けていくつもり。もし結婚して家庭ができても、子供が小さいうちは移動ができるので問題ないと思っている。しかし、課題は小中学の教育。最近ではホームスクーリング(家庭教育)やアンスクーリング(非学校教育)といって学校に通わない教育手法の認知が広まってきている。学校に通わせず、子供の好奇心に合わせて独自のカリキュラムで教えていくことも視野に入れている」(市橋氏)

 日本では学校教育が一般的だが、海外に目を向けてみるとオンラインスクールやアンスクーリングで教育を行う家庭も一定層いるという。「フィンランドの教育と比べ、ファシズム的な日本の教育の問題点」でも書いたが、日本の教育は押し付けや画一的なもので、やりたいことがわからなくなる。

 これからAIが発展し、インターネットと物を繋ぐIoTが進化していけば、生活は一変し、「想像力」こそ必要になるだろう。やりたいことを引き出すことが、今後の教育には求められるようになってくる。そう時流を読んだ市橋氏は、アドレスホッパーを体現しながら新しい家庭のあり方を創造する先駆者になるかもしれない。

 人の生き方は千差万別。アドレスホッパーとしての生き方や暮らしは、多様なライフスタイルを送り、人生を豊かにする。そんな手段の1つになるのではないだろうか。

<取材・文/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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  • 病気もせず健康ならいいでしょうけどね。
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