『機動戦士ガンダムNT』宇宙への没入感を高める4DX 名作に新たな光を当てる演出をレポート

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2019年09月18日 17:02  リアルサウンド

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『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(c)創通・サンライズ

 宇宙空間を舞台にした映画を映画館で観るのは格別の体験だ。スクリーン上の宇宙の暗闇と劇場内の暗闇が地続きとなり、自分も宇宙にいるかのような気分を味わえるからだ。


 日本を代表する宇宙が舞台のSFアニメ、『機動戦士ガンダム』シリーズは今年で40周年を迎える。その節目を記念して「ガンダム映像新体験TOUR」プロジェクトが開催されている。過去のガンダムの名作を最新技術の映画音響や特殊演出で味わってもらおうという企画なのだが、その第一弾として、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)と『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(2018年)の2本の4DX上映が、2週間限定で全国計20館のユナイテッド・シネマにて行われている。両作品とも4DX上映は初めてだ。ちなみに「ガンダム映像新体験TOUR」は4DXのほか、ULTIRA上映とドルビーシネマでの展開が予定されている(詳細:http://gundam40th.net/cinemaexperience_tour/)。


 振動、スモッグ、フラッシュライトや水の噴射など、全身で映画を体感させるアトラクション型の上映形態である4DXと宇宙を舞台にした映画の相性はきっと抜群だろうと以前から筆者は考えていた。4DXは無重力の実現にはまだ至っていないが、スクリーンの中に映し出される宇宙の闇と劇場の闇が溶け合い、あらゆる方法で五感を刺激してくれるので、宇宙への没入感をきっと高めてくれるはずだ。


 そんなわけで、早速、公開初日に『機動戦士ガンダムNT』4DX上映を体験してきたのでレポートしてみたい。


■暗闇を切り裂くビームサーベルとフラッシュライト


 『機動戦士ガンダムNT』は、「逆襲のシャア」以降の宇宙世紀のその後を描いた『機動戦士ガンダムUC』の、さらにその先を描くプロジェクト「UC NexT 0100」の第一弾企画だ。ガンダムシリーズに登場する重要な概念である「ニュータイプ」を掘り下げようと試みた作品であり、コロニー落としを予見した「奇蹟の子供たち」と呼ばれた3人の過酷な運命を描いている。人間の魂とはなにか、肉体から自由となった高次の存在に人はなれるのかなど、宇宙を舞台に人間存在の神秘を突き詰めようとした作品だ。


 難解な問いを観客に突きつける作品だが、ガンダムシリーズの醍醐味であるモビルスーツ戦闘もふんだんに描かれ、娯楽作品として楽しめる作品だ。4DXの仕掛けは、そんな戦闘シーンの興奮をより高めるものとして効果的に使用されている。


 物語の冒頭では、コロニー落としが巻き起こす地鳴りのような振動を座席の揺れで表現し、その悲劇の深刻さを身体に響かせる。まるで、眼前のスクリーンの惨劇に巻き込まれたような気分だ。モビルスーツ戦闘シーンでは、座席の揺れに加えてフラッシュライトが大活躍する。ガンダムの兵器は、バルカン砲やビールサーベルなどの光学兵器が多いが、宇宙空間でビームが撃たれる度に、劇場内の暗闇を切り裂くようにフラッシュライトが焚かれるのだ。今回の物語でフィーチャーされるフェネクスガンダムは金色なのだが、その輝きもフラッシュの効果によって高められていた。


 また、首元に風を吹きかけるエアショットも多用されている。高速で動き回り戦闘するモビルスーツの機動性を風圧で表現したのだろう。ガンダムのコックピットに乗り込んだらこんな感覚なのかも、と想像力を刺激させてくれる。さらに、中盤で雨の降る中での戦闘シーンがあるが、ここでは天井から水が落ちてきて、物語の展開を合わせてさながら涙雨に打たれる風情を味わえる。雨の量はなかなか多めなので、気になる人は水の効果はオフにしておいた方がいいだろう。


 最新技術による鑑賞体験のアップデートは、名作に新しい光を当ててくれる。4DXは、40年の歴史を持つガンダムにまだまだ新しい可能性があることを示してくれた。2週間の短い期間ではあるが、是非体験してもらいたい。(文=杉本穂高)


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