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トイレに腕を突っ込んだ少年時代「何があるのか、見てみたい」 エイズ撲滅目指す医師の「突破力」

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2019年09月19日 07:10  ウィズニュース

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写真ヤングマンを熱唱する國井修さん。子どものような弾け方
ヤングマンを熱唱する國井修さん。子どものような弾け方

世界で年に250万人の命を奪う3大感染症のエイズ、結核、マラリア。流行終息に向けた対策のカギを握るのがスイスに本部を置く官民連携の基金「グローバルファンド」です。そこで投資戦略を担う局長を2013年から務めているのが医師の國井修さん。8月のTICADでも支援を訴えるなど、「キーパーソン」として活躍する國井さんについて、ある「衝撃的な」エピソードとともに、朝日新聞の浜田陽太郎編集委員が紹介します。

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エイズの撲滅を目指すキーパーソン
人間の芯の部分って、子どもの時から変わらないもの。学校のトイレでウンチするのも恥ずかしいお年頃の小学生が、詰まった大便器に腕を突っ込んだ話がビビッときたので、そこから人物像に迫ってみました。世界でエイズの撲滅を目指すキーパーソン、國井修さんのお話です。

実は以前から何度もお会いしているのですが、フツーに新聞記事にすると、この人の魅力や面白さが全然伝わらないなと思ってたのです。現在の肩書は、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)戦略・投資・効果局長。仕事の話から入ると、もうハードル高すぎなんですよね。

出版記念パーティで披露された衝撃の逸話
2019年8月、國井さんが出したばかりの本、「世界最強組織のつくり方―感染症と戦うグローバルファンドの挑戦」(ちくま新書)の出版記念パーティが東京・新宿でありました。

国会議員や医師会長といったエラい系の人が何人も参加、172人が集まりました。アルピニストの野口健さん、作家の乙武洋匡さん、今井絵理子さん、ミュージシャンの普天間かおりさんも、ビデオメッセージを寄せました。

最後の方であいさつに立ったのが、幼なじみの小沼正樹さん。國井さんとは、栃木県大田原市で小学校の同級生でした。子どものころの思い出を披露したのですが、その一つが実に魅力的で、衝撃的な内容でした。「新聞には書けない類いの話だけど、実に國井さんらしいエピソードだな」と思ったのです。

「あったー!」と声をあげ、掲げたものは
小学4年生のとき、学校のトイレの大便器が詰まって流れなくなってしまいました。黄土色の水におそれをなして、先生も手を出せない。

そこへやってきた國井少年は、シャツのそでを肩までまくり上げると腕を便器の奥へ奥へと突っ込んで、何かをひきずり出しました。

「あったー!」と笑顔で叫ぶ國井少年の手には、グチョグチョのパンツが高々と掲げられていました。

トイレは無事に流れるようになったというお話です。

小沼さんに聞きました。

記者:そのあと、國井少年を「ウンチくせえ、きたねえ」とかいう同級生とかいなかったんですか?

小沼さん:いや、もう國井さんは周りに一目も、二目も、三目も置かれてましたから。

僕は思考が単純なので
國井さん本人にうかがうと、「よく覚えてないんですよね〜」と拍子抜けする答え。本人にとっては、それほど特別な出来事でもなかったんでしょうね。

でも、小学5年生といえば、トイレでウンチをするのも恥ずかしいお年頃。きれいでない和式の便器に腕を突っ込むって、普通できないでしょう。

國井さんはいいます。

「僕は思考が単純なので、やってみることが楽しいんです」

どういうことでしょう?

自分を犠牲にして、とか考えてない
國井さん:詰まったトイレの中には何があるのか、見てみたいですよね。

記者:そうですか!?

國井さん:人のため、とか、自分を犠牲にして、とかいう考えはなくて、好奇心です。そこに何があるんだろうって。ほんと、単純な発想です。

記者:でも、ばっちくないですか?

國井さん:洗えば落ちるし

ハエの「イカ墨スパゲッティ」
國井さんの著書、「国家救援医〜私は破綻国家の医師になった」(2012年、角川書店)に、医学生時代の1984年、アフリカのソマリアにボランティアで入ったときのことが書いてあります。

当時、隣国エチオピアとの紛争で国境付近では80万人ものソマリア難民が発生。病気になる人が多く、その医療活動のためでした。

トラックで移動中の道すがら、食事をとった時のこと。真っ黒なスパゲッティが出て来ました。

「イカ墨スパゲッティかー。すごい!」

感激しながらフォークを入れると、ぱっと一瞬にしてスパゲッティが白くなりました。

國井さんは近眼ですが、そのときメガネをかけていませんでした。よくよく見ると、黒く見えたのはハエだったのです。

ハエが散った後は、単に具のないパスタ。「イカ墨スパゲッティだと思って、食べた」そうです。

きれいな世界ではない
人道支援というと、私たちは善意に彩られた美しい世界を想像してしまいます。国連の人たちや、使命感あふれる国際NGOの人たちが力をあわせ、アフリカなどで活動しているんだろうと。

國井さんは、それは違うといいます。

國井さん:連携協力ってできないんです。NGO同士が闘うんです。災害などの緊急援助の現場に真っ先に入って旗をあげて、「これをウチはやりました」とアピールする。寄付金を集めるには必要なことでもあるんですけど……。

記者:そうなんですか!

國井さん:僕もNGOやってましたから、よくわかります。それに、国際機関の間でも主導権争いがある。それに、現地政府が患者を迫害することもあります。エイズだと支援の対象は、セックスワーカーや同性愛者になる。宗教的、倫理的に許せないということで、当事者たちを迫害することもあります。

記者:じゃあ、どうするんですか?

國井さん:お金の力を使います。悪い言い方すると、グローバルファンドは札束を見せながら、協力しますか、どうしますか、と迫るわけです。

カラオケ、ダンス、ヨガの「マスター」
でも、お金の力で物事を動かそうとしても、限界がありそうですよね。やっぱり、人と人とのつながりが大事だし、そこは國井さんが得意とするところじゃないかなと思うのです。

それを実感したのは、冒頭にご紹介した出版記念パーティでした。そこで國井さんは、56歳とは思えないキレッキレのダンスを踊りながら「ヤングマン」を熱唱したのです。

Dr. Kunii is also known as a master of yoga, karaoke and dance.
(ドクター・クニイは、ヨガ、カラオケ、ダンスのマスターとして知られる)――國井さんが2013年にグローバルファンドに入ったときの紹介文

勤め先であるグローバルファンドのサイトでもこんな風に紹介されるほど、國井さんの音楽、ダンス好きは筋金入りです。

「今の仕事にすごい役に立ってます。音楽って言葉、文化を超える。恥ずかしがらずにダンスをすると、どこでもすぐ友だちになれます」

國井さんはこう話します。

「医療関係者以外の人とも仲良くなれるんです。一般の人の中に入れる。そうすると現状がわかるんです」

なるほど、なんとなく分かりました。これだけの実績がありながら、こんなに腰が低くて、上から目線を感じさせないのはなぜなんだろうって、ナゾだったんですよね。

長年の友人で、駐南スーダン大使も務めた外交官の紀谷昌彦さんは、國井さんのすごさを2点、あげます。

・自分の夢を持ち、行動していること
・僻地や途上国・紛争国の前線に飛び込み、病気などをものともしないこと

「グローバルヘルスの分野で、すばらしい人、実績を上げている人はたくさんいいます。しかし、國井さんは持ち前のお人柄で、グローバルヘルスの分野やその他の文化・芸術などの分野の人たちを魅了し、組織・仕事を超えて個人としての信頼をもとに人の輪を広げ、出会いの場、ハブ、結節点となっていることが特別だと思います」

紀谷さんはこう話します。

少年時代のエピソードと、歌と踊りに接した後は、この評価はぴったりだなと思います。

このニュースに関するつぶやき

  • 凄まじい方です。こうでなくては出来ないと思います。
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  • エイズを隠して医療機関に入って、それがバレて解雇になったと訴えた奴がいたが解雇されて当然。患者としたらたまった物ではない。
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