黒木華らがつくり上げる絶妙な距離感 最終回目前の『凪のお暇』収録スタジオに潜入!

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2019年09月19日 15:51  リアルサウンド

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『凪のお暇』(c)TBS

 いよいよ、9月20日に最終回が迫った、金曜ドラマ『凪のお暇』(なぎのおいとま・TBS系、金曜22時放送)。空気を読みすぎるあまり、目の前の人にとっての正解に囚われ、自分のやりたいことが見えなくなってしまった主人公の凪(黒木華)。仕事も、恋も、SNSも、すべて捨てて、自分を見つめ直す“お暇“も、いよいよ終わりのときが見えてきた。


【写真】取材シーンでは不在だったゴン(中村倫也)


 凪を温かく迎え入れたアパート『エレガンスパレス』の住民たちや、厳しくも身にしみるアドバイスをくれたスナック『バブル』のママ(武田真治)、そして凪と同じく空気を読んで生きてきた元カレの慎二(高橋一生)、初恋の痛みを知り「メンヘラ製造機」の汚名を返上を果たそうと必死なゴン(中村倫也)など、愛すべきキャラクターも見納めだと思うと実に寂しい。


 いいドラマは、最終回を迎えても、どこかで登場人物が生き続けるような気持ちになる。『凪のお暇』も、まさにそのひとつになるのではないかという予感がしてならない。このドラマが、果たしてどのように作られているのか。そんな思いを胸に『凪のお暇』が収録されているスタジオへと向かった――。


■ドラマ同様、和やかな『エレガンスパレス』の空気


 この日、収録していたのは第9話。凪の母親・夕(片平なぎさ)から凪を守ろうと、慎二がその場を取り繕った結果、凪と慎二の結婚の話が進んでしまったことを『エレガンスパレス』の面々に報告するシーンだ。


 軒先に置かれた椅子に、坂本龍子役の市川実日子、吉永緑役の三田佳子、白石みすず役の吉田羊、うらら役の白鳥玉季が順に座っていく。そこへ、運ばれてきた蒸しパンにパンの耳ポッキー。


 「いい香り〜」と白鳥玉季が思い切り息を吸い込めば、黒木華も「私これ好き!」とニッコリ。そんな微笑ましい2人を見ていた市川が率先して、パンの耳ポッキーを食べ、黒木もつられてパクリ!


 白鳥も続けて口に運ぼうとすると、それを隣から吉田がハムッとくわえるフリをしてみせる。「あー! 食べられた〜(笑)」と、まさに私たちがドラマで見ていた、そのままの和やかなやりとりが、収録の合間にも繰り広げられていた。


 ちなみに、慎二役の高橋一生は、最初は卓を囲んでいたが、監督と相談した結果、みんなからは少し遠くで話し合いに参加する形に。凪を愛しく思いながらも、いつも不器用な慎二らしい絶妙な距離感を創り上げているのは、さすがの一言だ。


■“役を生きる“俳優陣のアドリブが続々と…


 凪と慎二、ふたりが似た者同士とわかった今、どのくらいの熱量でコミュニケーションをとっていけばいいのか。この日の収録は、そこを論点に黒木と高橋が監督を交えて慎重に話し合う姿が非常に印象的だった。凪と慎二の小競り合いも、これまでと同じような口論に見えても、もはや単純なバトルではない。ふたりが同じ方向を見ていることを感じながらも、ちょっとした言い方でささくれ立つ複雑な感情。凪の成長と、慎二の心の開閉は、このドラマの主軸になる。大ベテランの三田も「優しく言ったほうがいいと思う。緑さんを安心させて」と、緑という役を地でいくように諭していた。


 『凪のお暇』では、こんなふうに収録現場で細かな調整をしながら撮り進められる場面が多々あったそうだ。きっと、どんなふうにも演じられる俳優たちだからこそ、どの選択肢でいくのかを吟味しているのだろう。


 「凪って、そういう子だったかな?」と黒木が自問自答する姿も、凪が自分自身を理解しようとするストーリーと重なって、よりリアリティを感じられる。このドラマが、多くの視聴者から親しまれるのは、そんな実力派キャストによる繊細な演技があってこそ。まさに、それぞれが役として息をしているように見えた。


(佐藤結衣)


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