新・OS X ハッキング! 第250回 来るべきCatalinaに備える 〜データ移行編〜

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2019年09月20日 09:02  マイナビニュース

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macOS Catalinaの正式リリースが「10月中」に決定された。それが10月1日なのか10月31日なのか、本稿執筆時点では明らかにされていないが、"その日"が目前に迫っていることには違いない。前回は、Catalinaからログインシェルに採用される「zsh」の環境整備術を取り上げたが、今回はもう少し身近なデータ移行について、陥りがちな「罠」の事例を紹介してみよう。
○「ドットファイル」の罠

OSをメジャーアップデートするタイミングで、クリーンインストールに踏み切るユーザは少なくない。macOSの場合、/var以下に一見用途不明なテンポラリファイルが無数にあるし、/Library以下にもキャッシュファイルやアプリの残骸(削除済アプリのプロパティリストなど)が多数ある。それらを1つ1つ選別していてはキリがないから、まっさらな状態から始めようというわけだ。

クリーンインストールといっても、「ホーム」以下の領域(ただし「ライブラリ」は除く)は従来のものを引き継いだほうがいい。その場合、FinderでUSB HDDなど外部ストレージに一時退避させるか、Time Machineでバックアップしておいたものをコピーするかが近道だが、そこには思わぬ罠がある。

それは「ドットファイル」(フォルダも含む)。Finderに表示されている項目を一括選択するとき、Command-Aを利用するものだが、そのとき選択対象になるのは"Finderに表示されている項目"に限られる。非表示扱いの項目は、Command-Aでは選択されず、そのままになってしまうのだ。

この問題を避けるためには、Finderのショートカットキー(Command-SHIFT-「.」)でドットファイルを表示するしかない。ドットファイルが表示されている状態であれば、先頭が「.」で始まるファイル/フォルダもFinderで選択できるからだ。特にホームフォルダ直下は、シェルの初期設定ファイルなど多数のドットファイルが保存されているため、必ず表示させてからファイルコピーを行おう。

なお、ショートカットキーによるドットファイルの表示は、デスクトップなど一部のフォルダには適用されないため、確実を期すのならば以下のとおりdefaultsコマンドを実行しよう。

・ドットファイル/非表示属性のファイルを表示する

$ defaults write com.apple.finder AppleShowAllFiles -bool True
$ killall Finder

・ドットファイル/非表示属性のファイルを非表示にする(初期値)

$ defaults delete com.apple.finder AppleShowAllFiles
$ killall Finder

○「ストレージ消費量」の罠

データをバックアップする前、ホームフォルダ以下のフォルダがどれだけストレージ容量を消費しているか、ざっくりとした数字を知りたいと考えたことはないだろうか?

ザックリとした数値で構わないのなら、Terminalで「du」コマンドを実行しよう。ホームディレクトリ -- Terminal起動直後のカレントディレクトリはここのはず -- で実行すればOK、情報ウインドウを表示するより速くストレージ消費量を把握できるはず。ただし、人間が理解しやすい単位で表示してくれる「-h」オプションを忘れないこと。

$ du -h

しかし、この方法は完璧ではない。ライブラリフォルダ以下の一部領域(ex. ~/Library/Mail、~/Library/Safariなど)はアクセスが制限されており、lsやduといったコマンドを利用しても(通常の方法では)内容を読み取れない。つまり、実際に消費しているより少ない容量が表示されてしまうのだ。

そこで検討したいのが、Finderの表示オプションを見直す方法。Finderでホームフォルダを開いているとき、「表示」→「表示オプションの表示」を選択し、「すべてのサイズを計算」にチェックを入れよう。これで、ライブラリのサブフォルダを含むすべてのフォルダ容量を、Finderで確認できるはずだ。

○「ユーザ名重複」の罠

macOSに付属の「移行アシスタント」は、OSアップデートのよき相棒だ。これまで利用してきたMacから直接、またはTime Machineでバックアップしたストレージから、クリーンインストールしたMacへホームフォルダを転送できる。システムが管理するユーザ情報も転送されるから、"まっさら"なMacでも従来の環境そのままに作業できる。

しかし、クリーンインストールしたMacで最初に登録した(初期設定で作成した)ユーザ名が、これまで利用してきたMacのものと同じだったら……ユーザ名の重複は許されないため、上書きされずに追加されてしまう。これは、地味に困る。

そんなときには、管理者権限を持つアカウントを別に作成し(仮に一時アカウントと呼ぶ)、初期設定で作成したユーザを削除、それから移行アシスタントを利用し自分が使いたかったユーザ名でアカウントを作成、それからデータを転送すればいい。完了後に一時アカウントを作成すれば、「ユーザ名重複の罠」を解消できるはずだ。(海上忍)

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