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映画「かぐや様は告らせたい」を漫画でレビュー キンプリ平野紫耀&橋本環奈の好演、でも2019年に「ボイン」はつらいよ!

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2019年09月20日 20:18  ねとらぼ

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写真映画「かぐや様は告らせたい」を漫画でレビューします
映画「かぐや様は告らせたい」を漫画でレビューします

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 9月6日に公開された映画「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」は、「週刊ヤングジャンプ」にて赤坂アカが連載している人気漫画を実写化した作品。エリートが通う私立学園を舞台に、両想いなのにプライドの高い生徒会長と生徒会副会長が「いかに相手に告らせるか」苦心するラブコメディです。



 今回はティーン向け映画を愛するライターの直江あきさんに、映画「かぐや様」を漫画でレビューしてもらいました。



●ライター:直江あき



ライター・漫画家。早稲田大学教育学部卒。一児の母です。ブログ「気ままに夢見る記」に漫画などをアップしていきたいと思っている。



●キンプリ平野の「素の部分」



 恋愛において大事なのは、自分を正直にさらけ出し、変に取りつくろわずに素直なコミュニケーションを取ること。そんな恋愛の本質を真逆の方向からまっすぐに示したのが、「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」です。主人公の生徒会長・白銀御行役はKing & Prince(通称キンプリ)の平野紫耀。副会長・四宮かぐや役は橋本環奈が演じています。



 さすが今をときめくアイドルグループKing & Princeの平野紫耀。彼だからこそなせるかわいらしい演技の感想を挙げたらキリがありません。白銀御行というキャラクターの素直さや頑張り屋なところが平野の人柄に合っていたので、実写化ではそこが強調されていました。本作の平野の演技には彼の「素の部分」が現れていると思います。



 その「素の部分」とは、彼のアイドルとしての側面、つまり「愛され」です。これまで彼がアイドルとしてどうすれば愛されるのか、魅力的に魅せられるかを実践してきた結果が今、主演俳優としてのキャリアで花開いているのです。本人の人柄がにじみ出る演技も役者の個性のひとつ。彼の明るくて勢いのある愛嬌たっぷりの「素」が出た演技は、彼にしか出来ないものです。



 懸命に頑張る姿を見せ、観客の「応援したい」という気持ちを引き起こさせることが上手い。平野がムードメーカーになることで、映画全体も華やかな仕上がりとなっています。



●主演アイドルが主題歌を歌う流れ、正直大好き



 批判されがちな「主演アイドルが主題歌を歌う」流れですが、今回は、軽妙なテンポの曲や歌詞が本作の世界観に合っていました。個人的には主演アイドルが主題歌を歌う流れは好きなんですよね。1997年公開「金田一少年の事件簿 上海魚人伝説」でKinKi Kidsの堂本剛が「ひとりじゃない」を歌ってた時から…!(いきなりティーンにわからない話)



 観客としては、「映画が終わっちゃって寂しいな……」と思ったところで出演者の歌声を聴けるのがうれしい。ライブにおけるアンコールのようなものですね。



●若手アクターが期待以上にいい!



 他の出演者たちの演技も、期待以上に素晴らしかったです。「天才少女」という役柄に、橋本環奈の落ち着いたトーンのハスキーボイスはぴったりでした。橋本はりぼん10月号(2019年9月3日発売)に掲載されたインタビューでも、天才という役柄を演じる上で意識したことについて「余裕のある雰囲気」と答えているように、彼女の登場シーンは安定感が抜群です。主張が激しいキャラクターたちのなかで、彼女の存在が映画のバランスを保たせています。この映画の「頂点」とされる花火のシーンでは、原作から少しの改変を加えることにより、かぐやの芯の強さがクローズアップされていました。



 他の若い役者たちの演技もコメディとして完成度の高いものでした。ピンクの髪の書記・藤原千花という実写化には難しそうな役を浅川梨奈が、ハイテンションで優しい少女として軽やかに好演。その再現度の高さに劇場ではどよめきが起こりました。



 青春ヘイト(のくせに割と青春している)の会計・石上優を演じる佐野勇斗の演技も忘れられません。石上会計役の佐野は、橋本が噴き出したコーヒーを顔に浴びせられるなど、インパクトが強いシーンに目がいきがちですが、彼の演技力の真価を感じたのは、彼が「ただ原稿を読もうとする」という地味なシーンでした。全校生徒の前で原稿を読み上げなければならないのに、すっかり緊張してしまって言葉が出なくなっている場面です。



 多くの人に苦い経験として残っているであろう、ともすれば見るのが辛いシーンになってしまいかねないところを、佐野はコミカルに演じきり、観客の笑いを誘っていました。



●ティーン向け映画のジェンダー観、アップデートしてくれ〜!



 本作は恋愛映画というよりもコメディ映画要素が強調されており、実写とアニメーション映像を組み合わせる手法がふんだんに用いられています。



 さらに全編にわたり「一風変わった」オリジナルギャグを展開しています。例えば、ナレーションに佐藤二朗を本人としてそのまま登場させたことは、観客の印象に強く残ったでしょう。試み自体は茶目っ気あふれるものでした。しかし、そのギャグの根底にあるジェンダー感が前時代的でした。



 藤原書記が水着になるシーンに対して入るナレーションが「ボインちゃん」です。1000000歩譲って、男子高校生が女子高校生の胸のサイズをどうとか言うならまだ許せなくはないけど(本当は嫌だ)、成人男性が若い女性の身体的特徴を性的に茶化してそれを「面白いギャグ」とする感覚には疑問を拭えません。昭和のバラエティではなく現代の若い層に向けた映画でこのジェンダー感覚とは……。それともおじさんにとっては今でも面白いのでしょうか。ボインが。ティーン向け作品を幅広い層にも楽しんでもらうためには必要なのでしょうか。ボインが。



●アイドル主演のティーン向け映画には、大きな存在意義がある



 筆者がアイドル主演のティーン向け映画を好んで観ているのは、「女は本当のファンじゃない」「女の趣味は男の影響だ」など、エンタメの消費者として女性を軽んじる風潮に疲れたとき、ティーン向け映画こそが安心して楽しめる「癒やし」だからです。



 2018年の世界経済フォーラム(WEF)が示した男女格差の度合い「ジェンダー・ギャップ指数」において、調査対象149カ国のうち110位の日本。女性やティーンエイジャーなど、社会的立場の弱い人をメインターゲットとするジャンルだからこそ、ジェンダーについての問題意識がほしいと思います。



 本作には小学生レベルの下ネタも出てきますが、こちらは好みの範疇(はんちゅう)です。しかし、超えてはならない線引きがあります。平野紫耀や橋本環奈を応援するために駆けつけた若い観客に、古いジェンダー観を無意識に刷り込むような描写を入れるべきではないでしょう。



●「壁ダァン」あと五億回見たい



 え、じゃあ観なきゃいいって? いや、出演陣の演技ははすごくよかったんですって!



 演技だけでクスッと笑えるシーンもあったのだから、オリジナルギャグを詰め込み過ぎず、もっと若い演者を信じてもいいのではないでしょうか。そのくらい、若手の演技は力にあふれていて、惹きつけられました。



 主演の平野の愛嬌(あいきょう)のある素直な人柄がにじみ出ることにより、会長・白銀御行はより魅力的なキャラになっていました。あの手この手の策略を巡らせつつも、懸命で誠実な行動の数々によって周囲に良い影響を与えている彼の姿に励まされる人もいるでしょう。



 豪快な「壁ダァン」は特に印象的で、必見です。暴力性をはらむ壁ドンですが、豪快さと愛嬌を併せ持つ平野だからこそ心ときめく仕上がりとなっています。彼にはこれからも勢いのまま突っ走ってほしいですね。



 出演者の頑張り、原作へのリスペクト、キンプリ及び原作ファンへの細かなサービス精神など、製作側のやる気は伝わってきました。時代感覚をアップデートした次回作に期待です!



(ねとらぼGirlSide/直江あき)


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