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とんねるず石橋貴明が新ユニット結成 「野猿」が一世を風靡したわけ

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2019年09月21日 11:30  AERA dot.

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写真6月から始めたインスタにも注目が集まる石橋貴明(C)朝日新聞社
6月から始めたインスタにも注目が集まる石橋貴明(C)朝日新聞社
 とんねるずの石橋貴明が、元「野猿」の平山晃哉、神波憲人と共に新ユニット「B Pressure」を結成することを発表した。11月1日に3曲入りの1stシングル『Freeze』がリリースされる。10月28・29日には大阪のROCKTOWNでお披露目ライブ「サビ落とし」が開催されるという。

 野猿の中心メンバーだった3人が音楽ユニットとして復活するというニュースは、往年の野猿ファンを歓喜させることになった。ネット上では彼らの活動再開に対する喜びと興奮の声があふれている。

 ただ、野猿のことを知らない人にとっては、なぜ今回のことでそこまで多くの人が騒いでいるのか分からないかもしれない。野猿とは何だったのか、簡単に振り返っていくことにしたい。

 野猿とは、とんねるずと彼らの番組スタッフ数人から成る音楽ユニットだ。1998年にシングル『Get Down』でCDデビューを果たし、2001年まで約3年半にわたって活動を続けた。シングル10枚、アルバム3枚をリリースして、日本武道館でもコンサートを行い、「NHK紅白歌合戦」にも2年連続で出場を果たすなど、輝かしい実績を誇る人気ユニットだった。

 野猿のメンバーは、とんねるずの2人以外はただの一般人である。当然、歌や踊りの素養はないし、カメラの前で堂々と立ち振る舞う技術も度胸もない。そんな彼らが、なぜ現在まで語り継がれるほどの伝説を残すことができたのだろうか。そこには、ほかの人には真似できないとんねるず流のプロデュース戦略があった。

 野猿結成のきっかけは「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)で行われていた「ほんとのうたばん」という企画だった。石橋と中居正広がMCを務める他局の音楽番組「うたばん」(TBS系)をそのままセルフパロディーしていたのだ。この中で、とんねるずの2人がKinki Kidsに扮して歌を披露したとき、裏方のスタッフが「ジャニーズ・シニア」と称して彼らの後ろで踊ることになった。

 もちろん、素人である彼らは満足に踊ることができず、醜態をさらすことになった。このような形で、身内のスタッフを表舞台に引っ張り出すのがとんねるずのお家芸だった。ただ、この企画はここで終わらなかった。

 彼らがそのまま本当にCDデビューしたら面白いんじゃないか、と石橋は勝手に盛り上がり、「野猿」というユニット名を自ら考案して、番組の企画としてデビューに向けて動き出した。

 当初の予定ではスタッフだけのユニットになるはずだったのだが、途中からとんねるずの2人もメンバーに加わることになった。CDのレーベルはavex trax、作詞は秋元康、作曲は後藤次利、振り付けはTRFのSAM。最強の布陣で手がけられた野猿のデビュー曲『Get Down』はオリコン初登場10位の大ヒットとなった。

 当時、野猿に飛びついたファンの多くは若い女性だった。その頃の芸能界では、今のEXILEのような大人の男性音楽ユニットが不在だったからだ。一般人であるメンバーが番組の中で純朴な素顔をさらし、とんねるずにイジられ、翻弄されながらも徐々にエンターテイナーとしての自覚を持ち始め、成長していく姿は、ファンの心をわしづかみにした。特に、とんねるずと共にボーカルを担当した平山と神波の人気はすさまじく、その抜群の歌唱力が野猿を支えていた。

 芸人が番組の企画でCDをリリースすることはこれまでにもあった。だが、ここまで戦略的に作り込まれ、長期にわたって人気を保っていたユニットはほかにない。企画そのものは悪ふざけとしてやっているのに、プロデュースの布陣は紛れもない本格志向。この絶妙なバランスが、お笑いファンと音楽ファンとアイドルファンを巻き込み、空前のムーブメントを巻き起こした。

 2001年に野猿は「撤収」という表現で解散することを発表した。撤収とは、テレビ番組の撮影が終わった後にスタッフが美術品や機材を片付けることを指す。裏方スタッフだった野猿のメンバーは、撤収によって表舞台を去り、元の生活に戻っていった。

 そもそもどんな伝説的なアイドルや歌手も、最初はただの素人である。素人がスターになっていくその過程こそが実は一番面白い。とんねるずは自分たちがその道をたどってスターになってしまっただけではなく、スタッフを巻き込んで歌手としても二度目のブレークを果たすことに成功した。

 野猿はとんねるずの「スタッフイジり芸」の集大成とも言えるものだった。すっかり熟した中年男性となったメンバー3人による新ユニットは、往年の野猿ファンを魅了して、三度目の「奇跡」を起こすことができるのだろうか。(ラリー遠田)

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