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「万引き犯への温情は無用」「こんなヤツには注意する」 万引きGメンに聞く、よくある手口と捕まえ方

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2019年09月21日 12:02  ねとらぼ

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ねとらぼ

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 お店で代金を支払わずに商品を持ち逃げしようとする「万引き」。警察白書の統計によれば、国内の年間万引き件数は、発覚したものだけでも毎年10万件を超えるといいます。



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 こうした万引き犯に対抗するため、客に紛れて店内を巡回し、犯人を発見して捕まえる仕事を請け負っているのが通称「万引きGメン」(私服警備員)です。



 今回は、「1日に5人捕まえたこともある」という凄腕の万引きGメンであるAさんに、よくある万引きの手口から、Gメンに向いている人の特徴、忘れられないエピソードなどを教えてもらいました。「万引き犯に温情は無用、容赦しない」というAさんが語る、現場の実情とは?



●どんなお店でどんな人が万引きするのか?



――万引きGメンってどんな場所で張ることが多いんですか? やっぱりスーパー?



 スーパーも万引きはそれなりにありますが、そもそもの単価が低いです。われわれのクライアントさんは薬局とディスカウントストアが多かったですね。あとは雑貨店とかゴチャゴチャした本屋。



――万引きする人の傾向ってどんなでしょう。



 まずはホームレス。身なりをごまかしても靴を見れば分かります。ホームレスは食品を盗ることが多いので、新人には「取りあえず飲食コーナー見張っとけ」とはよく指示します。次にティーンエイジャー。子どもが大きなカバンを持って入店してきたら要注意です。



――見た目と犯行に及ぶ率は比例するものですかね?



 残念ながら比例しますね。そしてわれわれの第一印象はほぼ間違っていないことが多い。金髪でチャラチャラした連中、ヤンキーっぽい服装の人のほうが普通の服装の人よりは傾向としては高いです。どうしても確率論で動かざるを得ないので、まずは格好・身だしなみから当たりをつけます。まあ、捕まえてみたら有名進学校の生徒だった……ってこともありますが。



――犯行現場を目撃したら、すぐ声をかけて取り押さえるんですか?



 いえ、店を出てからでないとダメ。なぜなら、「買うつもりだった」と言い張られたら反証できないから。ちなみにカバンやポケットに盗ることを「チャリする」って僕らは呼んでいました。



――なるほど。



 あと、一度チャリしたものの、気が変わって(あるいはGメンに感づかれたって察知すると)棚に戻すこともあります。なので、チャリしたのを目撃……「現認(げんにん)」って言うんですが、したらその時刻をメモし、目を離さずに店内を出るのを追いかけねばなりません。



――けっこうな高等技術じゃないですか? 相手に感づかれないよう目を離さないのって。



 ですね。ここは相当な経験と技術を要します。



●万引きの手口を見破る方法



――万引きの手口って、きっといろいろあるんですよね?



 典型的なのが「手首を内側に曲げて商品を持つ」です。ふつう、商品を手にとって持っているとき、隠すように手首を曲げることはしません。そうやっていったん視界から隠してから、(長袖着用の季節だと)袖の中に滑り込ませたり、ポケットに忍ばせる……わけです。



――手首を曲げて隠す……そんなに大きな商品は持てないですよね?



 そういう場合は、箱から出して盗みますよ。イヤフォンとかピアッサー(ピアスを通すために耳に穴を開ける器具)のようにかさばる商品で起きやすい。空になった箱が捨てられているのを見つけることもあって、その「ガラ(空き箱)」はきちんと回収します。ガラがある=盗まれたってことなので。



――じゃあ、手首を曲げていたらかなり怪しいわけだ。



 例外があって、アダルト系の商品を隠している場合もあります。単純に恥ずかしいって心理がそうさせているケースですね。なので万引きとは断言できません。



――ほかに危険なサインはありますか?



 バッグを体の前に持ってくるのは要注意。手にした商品をさっとカバンに入れられるポジションですからね。とくに口があいた状態で空っぽのエナメルバッグを体の前に持ってきていたら、ロックオンします。



――なるほど、でも一人で観察するのって限界がありません? どうしても死角が生まれてしまう気がする。



 万引きGメンは基本2人1組で動きます。携帯電話で小声で通話しながら、互いの動きがかぶらないよう、同時に死角も生じないよう、万引き犯の周囲を衛星のように旋回しつつウォッチするんです。



――すげぇ……そんなふうに包囲するんだ。最高で1日に何人捕まえました?



 5人です。1回捕まえるとなんだかんだで現場復帰するまでに1〜2時間かかるものなので、1日に5人というのはかなりの忙しさです。



――逆にゼロってときもあります?



 たまにありますが、そんなときは店長さんの顔が厳しいですね……「え? ゼロなの?」って不満顔をされます。万引きがゼロなんてことはありえないので、「捕まえていない=見逃してしまっている」ということです。



――単独犯ではなく、組織犯行もあったりしますか?



 あります。化粧品とか対面式の貴金属コーナーにアジア人がいると警戒はしました。店員のいないスキを見て、ガラスケースを開けてごそっと盗んでくるんです。完全なる転売目的ですね。



――なるほど……「店内のどこそこを見張れ」という指示って、リアルタイムにどうやって出し合うんですか?



 店内放送で隠語で呼びかけます。デパートでもおなじみのアレですね。



――仮に窃盗犯が「ヤバイ、万引きGメンに見られた(付かれている)!」って察知した様子だったら、どうするんですか?



 そういうときはいったん離れます。やりにくいなーというか、こういう事もあったというので話しておくと、同じヤツに2回店内で遭遇してしまったときはやりにくかったです。われわれGメンは終日店にいるわけですが、感づかれた窃盗犯は数時間ほど開けて「もうGメンはいないだろう」ってもくろみをつけてから再来店しているわけ。そしたら同じ人間(私)が店内にいて、互いに「……あっ」っと察するという(笑)。



●警察と一緒に現場検証させられるのが地味につらい



――嫌な体験、つらい経験はありますか?



 万引き犯が警察署に送られたあとに待っている「現場検証」です。犯人が現場にいないので、Gメンのわれわれが「ここで商品が何時何分に盗まれました」「ここで何時何分に犯人に声をかけ、取り押さえました」って指差しをしながら説明しなければなりません。



――それって傍から見ると、まるでAさんが犯人で、警察に説明させられているように見えません?



 そう! そうなんです! 通行人の「うわ……あのひと窃盗犯なんだ……最低……」みたいな視線がつらかったです。「違うんだ! 僕は犯人ではなくってGメンなんだよ……!」って叫びたい気持ちに毎回なっていました(笑)。



――ご愁傷様です……。逆に役得というか、よかったことは?



 渋谷にある某大手カメラ量販店にプライベートで買い物に行ったとき、たまたま犯行現場を見つけてしまいまして……。その気がなくっても、職業病で挙動不審な人は目に入ってしまうんです。中年男性がインクカートリッジを箱から出してポケットに入れた瞬間を見てしまいました。で、ガラ(空箱)は捨てたので僕がそれをあとから追って拾い、そのまま追尾しました。



――仕事中ではなかったけど、つい追いかけてしまった?



 ええ、しかもこれまた職業病なんでしょうね……なぜかペンをそのときも持ってて、さっと腕に犯行時刻をメモりました。あ、犯行時刻を記録するときは自分の腕に書き込みます。メモを持ち歩いているわけではありません。



――プライベートでもペンは肌身離さないんですね……で、それから?



 店外に出たところで「ちょっといい? 俺、万引きGメンやってる者なんだけどさ、なんで声かけられているか分かるよね?」って声をかけました。その男性は犯行をすぐに認めておとなしくなったので、自分の身分を店側に明かして事情を話して男性を引き渡しました。



――Aさんにできるのはここまでですよね、非番中の出来事なんだし。



 そしたら後日、渋谷警察署に呼ばれました。仕方ないので出向いて事情聴取を受けてきたんですが、帰りがけに2万円を謝礼金としていただきました。こういうこともあるんですね。



●万引きGメンの適性と忘れられない思い出



――どんな人が万引きGメンに向いているとか、もしあれば教えてください。



 仮説を立てる力、観察眼とか。一番は「人を観察しつつ、次の動きを予測できる能力」ですね。



――服装はどうしてます? 目線を隠すためにサングラスをかけるとか?



 不自然なのでしません。ふつう、店内ではサングラスしないでしょう? それなのにしていたら目立ってしまいます。万引きGメンは店になじみ、地味で印象に残らず、目立たないことが大事。よって服の色は黒、茶、グレーが多い。店の雰囲気に合わせて崩した格好をすることもあります。ただ、帽子をかぶるのはしますね。相手に目線を見られないように。



――気の強さも必要じゃないですか? 弱腰だと頼りないし、いざというときおじけ付くかもしれない。



 それはありますね。私も最初のころはかなり緊張したものでした。



――見逃すことってあるんですか? 「もう二度とやるんじゃないぞ」って感じで。



 いいえ、絶対にしません。子どもであろうと、窃盗金額が少なかろうと、必ず警察に引き渡します。



――それはなぜ?



 報復行為をしてくることがあるから。帰宅後に親にウソの告げ口をし、だまされた親がクレームを付けてくることもあります。そうなっては水掛け論になります。万引き犯への温情はNGです。



――ところで、忘れられないエピソードってあります?



 横浜某所のドン・キホーテですかね……。22時に仕事が終わる予定の日だったんですが、21時に単独で堂々と大量の商品を盗みまくる男性を見つけました。「おいおい、バレバレじゃんかよ」って思いつつ追跡し、店外に出たところで声をかけました。その瞬間、走って逃げようとしたので取り押さえたんですが、日本人ではなく中国人でして、中国語で喚き散らしながら暴れだしたんです。



 3人がかりでようやく抑え込んだんですが、その時にガッツリ腕を噛まれました。あれは今もよく覚えていますね……痛かったし。ちなみに逃走することを「飛ぶ」といいます。



――警察に引き渡したら一件落着?



 いえ、現行犯逮捕なので私も一緒に警察署に行く羽目になりました。事情聴取でその日はほぼ徹夜。ただ、勤務中の出来事の延長線なので夜勤手当が付きまして、1日2万円ほどの日当になったのはちょっとうれしかったです(笑)。



●万引きGメン業界用語を教えて



 警察上がりの方も多い業界のせいか、そっち系の用語を耳にする印象です。例えば……



・被害届:「タレ」 ※タレコミから来ている?



・店外に出たところで声を掛けること:「バンかけ」



・白状する:「ゲロ(る)」



・盗撮犯:「カメ」※カメラで盗撮するから



・(犯人にこちらの存在を)気付かれる:「づかれる」



・検挙する:「あげる」



・パトカー:「PC」



・収穫ゼロ:「タコ(る)」



・逃げる:「飛ぶ」



・空き箱:「ガラ」



――確かに響きが警察用語っぽい。えっと、盗撮犯を「カメ」って呼ぶそうですが、これって万引き関係なくないですか?



 それが……階段の踊り場など、盗撮目的で店内をうろつく輩ってのはちょくちょくいまして。



――意図せず見つけてしまったらどうするんです?



 捕まえますよ。立派な迷惑行為ですからね。



――しかし、撮影しているのって分かるものですか?



 録画モードにしたスマホを手のひらに持ち、女性の後ろに回り込んでスカートの下から見上げるように撮影する……んです。その行為に感づいたら、近づいてしゃがみこんで撮影しているかどうかを確認します。録画モードになっていたら一発で分かるので、その場でカメと被害者の女性に声をかけます。



――そんなことをする輩がいるとは……。盗撮って人混みの多い駅だけだと思ってましたが、人気のないディスカウントストア等の階段でも行われることがあるんですね。



 ふつうにあります。ですので女性陣はご注意ください。



――ディープなお話、ありがとうございました!


このニュースに関するつぶやき

  • 万引きという言葉をなくして窃盗で統一しましょ、いい加減。あと温情など不要。過去にどれだけ首吊った店主がいると思ってんだ。温情かけても本人は運が悪かったとしか思ってないから再犯すんぞ。
    • イイネ!0
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  • 万引きがゼロはありえない?そんなに万引きする人間が多い事に驚愕。
    • イイネ!95
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