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日本好きな米国人が作った“超和式温泉”をサンタフェで体験した

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2019年09月21日 15:52  日刊SPA!

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日刊SPA!

写真露天風呂に浸かる筆者
露天風呂に浸かる筆者
 昔から親しまれている日本の文化、温泉。広く世界を見渡しても、独特のサウナ文化で知られるフィンランドなど、その土地ならではの魅力溢れる温泉やサウナが多数あります。

 アメリカでは、ネイティブ・アメリカンの湯治場として使われてきたアーカンソー州ホットスプリングスが有名ですが、アメリカ南部ニューメキシコ州の州都サンタフェで、ひときわ異彩を放つ存在が「Ten Thousand Waves(萬波)」。

 地元民のみならず、海外から愛好者が訪れるほどの観光名所になっているというこの温泉施設(正確には温泉ではなく、地下水を沸かしている)。日本びいきのオーナーがイチから計画し、作り上げたという、まさに夢のような場所。今回、記者が現地取材してきました。

◆サンタフェなのに、まるで日本の温泉宿

 地元の玄関であるサンタフェ空港(市営)に到着し、自動車でニューメキシコ州ルート599(ハイウエイ)を移動すること、およそ30分。サンタフェ中心街からハイド・メモリアル州立公園に向かう道中、木々に隠れて、うっかりすると見過ごしてしまいそうな場所に突如として出現します。

 駐車場からの長い階段を上がると、建物が見えてきます。吹き付けの白い塀に、和瓦まで備え付けられており、見た目は完全に日本の和式建築。入口付近には、まだ建設中のようですが、日本の仏閣で見かける高い塔婆まであります。

 入り口の階段を上がると、受付とギフトショップを兼ねたエントランス。外観こそ日本の銭湯ですが、内部はかなり広々とした造りで天井も高いです。手ぬぐい、化粧品、食品などさまざまなアイテムが揃っていて、見ているだけで楽しめます。

 前日に貸し切り風呂を予約しておいたので、この日は受付にあるタブレットを使って簡単に手続きを済ませて、浴場の鍵と浴衣を受け取ります。ちなみに料金は1人あたり約6400円(60ドル)。

 エントランスから先に進むと、目の前にはまるで日本庭園のような空間が。木造の廊下や扉が、まるで迷路のように入り組んでいて、英語表記の標識だけだと迷路になってしまいそうです。

 それにしても、サンタフェの独特なメキシコ風の街並みにおいて、萬波の木造建築は異彩を放っています。日本人のスタッフも何人かいるようですが、誰が建てているのでしょうか?

◆設計した米国人建築家は、日本で5年仏教修行

 話を聞いてみると、実は設計から建設までを仕切っているのはアメリカ人建築家のジョン・ドリスコルさん。なんと御年71歳だそうです。「日本への留学経験もある」らしく、流暢な日本語を操るドリスコルさんに話を聞きました。

「わたしはカリフォルニアの大学で3年間、大工として勉強を積んだあと、建築文化を学ぶため日本に留学しました。そこで、仏教徒として天台宗の比叡山で5年間、修行をしたのです。それが、わたしの建築やデザインにも大きく影響を与えています」

 ドリスコルさんが萬波のオーナーと出会ったのは1999年。以降、今日にいたるまでの約20年間、デザイナー兼プロジェクトマネージャーとして設計に携わっています。

「日本の建築には仏教の影響が大きい。それは精神的なものであり、床の間や庭園などすべてにの根底に通じている考えがある。萬波では、それと西洋建築の要素をミックスさせていて、それがオリジナリティになっています」

 たしかに、塔婆や庭園などがある一方で、それだけではないスケール感や、東洋と西洋が渾然一体となった雰囲気もあって、独特のオリジナリティがあります。一見すると、ちぐはぐのようにも感じますが、どこか調和しているようにも見えます。

◆露店風呂で「はぁ〜」と声が出る

 それでは、肝心の温泉はどんな感じでしょうか。今回入ったのは、露天風呂がついた「一(ichiban)」です。

 貸し切り露天風呂の客室に入ると、まるでお金持ちの別荘にでも迷い込んだかのような広々とした庭に、エメラルドグリーンの湯舟が2つありました。こちらのお湯は温泉でなく地下水を沸かしたものなので、無色透明で無臭。自宅のお風呂とほとんど変わらない気もしますが、早速、入浴してみたいと思います。

「はぁー、やっぱり気持ちいい」なんて、声が思わず漏れてしまうほど、ちょうどいい温度。やるじゃないか、サンタフェ。お湯自体からは硫黄の香りはしませんが、それでも十分楽しめます。何よりアメリカでここまで日本にいるかのような落ち着いた気持ちになれるのは嬉しい限りで、ほっとします。2つの浴槽は温度は変わらず、深さだけが異なるみたいです。

◆風呂上りに瞑想や座禅をする人たちも

 露天風呂の隣に、1人分の横になれるスペースが用意されているのも面白いです。湯当たりしたらここでクールダウンするのがよさそう。

 脱衣所のそばには英語の注意書きもありました。緊急事態の対処法が書かれているほか、「NO DIVING」というマークも。露天風呂に頭から飛び込む人なんて、本当にいるのかしら。

 露天風呂を味わったあとで、貸し切りではない、共有スペースも探索してみることにしました。

 階段を上った先にあるのが、広い青空のもとでくつろげる共有の露天風呂。こちらは水着着用で、男女ともに利用できます。また、奥には女性専用もあるようですが、工事中でした(2019年8月20日時点)

 温泉に浸かって身も、心も”ホット”になった後は、一度クールダウンしてみてはいかがでしょうか。石造りのひんやりとした空間で、環境音楽を聴きながら、リラックスできるスペースがありました。多く利用者が瞑想をしたり、座禅を組んだりして、休憩していました。

◆謎の提灯がある食事処で「Bento Box」

 90分間の入浴時間が終わり、再び建物の外に。ぜいたくな気分になったところで、隣接する食事処「波(Izanami)」に入りました。

 赤色ののぼりがやたら高いところにあるが、気にしないで、中へと入りましょう。

 店内は、たくさんの提灯がつるされていて、それぞれに「一期一会」「精進料理」「満足」「手羽先」などの文字が書かれています。その意味には特に統一性がないようですが、おそらくかっこい漢字を選んだということでしょう。

 それより気になったのが、美少女と提灯が融合したこちらのイラスト。緑、紫、赤、橙色などのカラフルな提灯に少女の顔が描かれているのですが、なぜかひとつだけ「加藤愛」という文字が。作者の名前なのか、あの女優“加藤あい”のことなのか謎が深まります。

 食事はおすすめの「Bento Box」を注文。いなり寿司、サラダ、煮物、そして鰻のかば焼きが入っていて、お値段は約2300円(22ドル)です。日本で食べるものよりも、うなぎはジューシーで美味しかったです。

 海外に行くと、ついその国らしい観光スポットを見てしまいがちです。しかし、たまには海外で、日本らしさあふれる場所を見て回ってみてはいかがでしょうか。これまで自覚していなかった日本の魅力に気づくことができるかもしれませんよ。

<取材・文/シルバー井荻>

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