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大根仁監督、大河で新たな自信 プレッシャーに苦しんだ前畑秀子の激闘描く

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2019年09月22日 06:30  シネマトゥデイ

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写真第36回「前畑がんばれ」より (C)NHK
第36回「前畑がんばれ」より (C)NHK

 NHK大河ドラマ「いだてん 〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(総合・日曜20時〜ほか)に、異例の外部演出家として参加する大根仁(おおね・ひとし)監督が、担当した第36回「前畑がんばれ」(9月22日)放送を前にインタビューに応じた。ベルリンオリンピックでの水泳・前畑秀子選手の奮闘と国民の熱狂、忍び寄る戦争の影などを描いた同エピソードについて、「これまで(自分は)女性を恋愛の場面で描くことが多かったですが、アスリートとしても描くこともできるんだと自信がついた」「笑い、シリアス、時代の変化、オリンピックなど、さまざまなテーマが重なる『いだてん』の“自分なりの理想形”が見えたターニングポイントの回」と振り返った。インタビューには、制作統括の訓覇圭(くるべ・けい)も同席した。


 日本初のオリンピック選手、金栗四三(かなくり・しそう/中村勘九郎)と、日本にオリンピックを招致した男、田畑政治(たばた・まさじ/阿部サダヲ)という2人の男を主人公に、明治から昭和の激動の近現代史を描く本作。第36回では、前畑(上白石萌歌)が金メダルを目指したベルリン大会決勝レース、河西三省アナウンサー(トータス松本)の有名な「前畑がんばれ」のラジオ実況、ヒトラーの大会観戦、東京オリンピック(1940)開催への暗雲など、見どころたっぷりに描かれていく。


 ドラマ「モテキ」「まほろ駅前番外地」、映画『バクマン。』などの監督で知られる大根だが、大河ドラマは初参加。これまで第9回「さらばシベリア鉄道」、第19回「箱根駅伝」、第26回「明日なき暴走」などを手がけた。


 第36回について大根監督は「第26回で菅原小春(日本人初の女性オリンピアン・人見絹枝役)という女優の誕生の瞬間を撮れてうれしかったのですが、今回は日本人女性初の金メダリスト・前畑秀子。ドラマ全体の中でも重要な回を、よくぞ僕に任せたなと思いました(笑)」と率直に語る。柱となる「女子スポーツ」というテーマを担う人見、前畑を描くことで「アスリートとして女性を描くことに新しい手応えがあった」そう。


 走りに比べ「水泳のシーンは、汗や表情、体の動きなど映像的にフィジカルな表現がしにくいので演出が難しい。そんななか上白石さん(前畑役)は、水泳の練習はもちろん、体づくりも含め、ものすごくがんばってくれたと思います」と圧巻の決勝レースを演じた上白石の労を讃えた。


 前畑と共にベルリン大会を盛り上げるのが「前畑がんばれ」の実況で知られる河西アナウンサー。河西役のトータス松本には「納得できるものが撮れるまでリテイクをお願いした」という。「トータスさんは、都合1,000回は『がんばれ』と言っているんじゃないかな。実況ブースから身を乗り出すシーンは、トータスさんのアドリブで、さすがミュージシャン(笑)。最後は2人で堅い握手でした」と充実した表情。


 レース前、日本中から届く「がんばれ」のメッセージは、前畑にとって最初はプレッシャーでしかないが、やがてある感動的なシーンをきっかけに、癒しの言葉に変わっていく。「宮藤官九郎さんの脚本には演出を加えられるように『書いていない』部分がある。毎回、それを見つけられるかどうかが勝負。そこに今回は、前畑の両親の登場するシーンにそのヒントがありました」と大根監督。『がんばれ』という言葉を前畑がどう受け入れ、のみ込んで覚悟を決めたのかが見えてくる、出色のシーンとなっている。


 「本作のリサーチで、前畑が人見に憧れていたという新事実を知り、これは今までやっていなかった女子スポーツの歴史、のちに東洋の魔女につながっていくテーマを発見したなと新鮮な実感を持ちました」と同席の訓覇制作統括も言葉を継いだ。さらに訓覇は「第36回から39回までは、本作にとっても非常に重要なゾーン。スポーツとオリンピックを描くドラマのピークとして、ポジティブな光の面の一方で、激動していく時代の影ともしっかりリンクさせて描けている。さまざまなテーマを重層的に描く宮藤脚本の構成力のすごさでもありますが、僕としても『いだてん』でやりたいことが、ここ数回は全部できているなあと思っているんです」と静かな自信を語っていた。(取材・文/岸田智)


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