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90年代には「痴漢専門誌」も存在。100の雑誌で振り返る、危うすぎる日本のエロ本史

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2019年09月22日 18:11  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『日本エロ本全史』(安田理央/太田出版)
『日本エロ本全史』(安田理央/太田出版)

「昔は電車の中でもタバコが吸えた」なんて話を聞くと、「そんな時代があったなんて!」と驚いてしまうが、近い未来には「昔はコンビニでエロ本が買えた」という話も同様の扱いとなっているだろう。2019年の8月末、大手コンビニ3社が成人向け雑誌の販売を中止したからだ。

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 コンビニで買えただけでも驚きの存在になりそうなエロ本だが、『日本エロ本全史』(安田理央/太田出版)で過去に刊行されていたエロ雑誌の内容を知ると、その驚きは何万倍にもデカくなる。著者は80年代後半からエロ雑誌業界で働いてきたライター、アダルトメディア研究家。本書では、自らコレクションしてきた1946〜2018年創刊のエロ雑誌100誌を紹介しているのだが、実在したのが信じられないような雑誌が複数あった。

 たとえば『フィンガープレス』という1995年創刊の雑誌は、なんと「痴漢専門誌」。「痴漢は犯罪です」という警告や、「妄想です」という言い訳も雑誌内には書かれているそうだが、中身は「満員電車徹底攻略 山手線内回り編」といった痴漢のハウトゥ記事だらけ。しかし、当時は特に抗議もなかった様子だという。

 本書には、「80年代・90年代には『中高生向けエロ本』という矛盾したジャンルが存在した」「一般の週刊誌の巻頭グラビアを少女ヌードが飾ったりもした」という話も登場する。そうした逸話を読んでいて感じたのは、かつてのエロ雑誌の異様さは、「雑誌を出していた出版社や記事を書いていたライターがおかしかった」という話では片付けられない……ということだ。

 今では信じられない・許されないような雑誌が普通に作られ、普通に売られ、普通に買われていた時代が日本には確かにあった。そして、その頃の倫理観や常識は、今とはまったく違うものだったのだ。昔は多くの人が日常的に行っていた言動が、今の時代では差別やハラスメント、犯罪になる……という事例は最近増えているが、本書が紹介するエロ雑誌の歴史は、「時代が変わると常識そのものが変化する」という大切なことを教えてくれる。

 そのほか『日本版PLAYBOY』の創刊号が発売3時間で45万8000部が完売した話や、アナル&スカトロ専門誌の『お尻倶楽部』が最盛期には7万部発行していた話も、にわかに信じがたいものだ。ちなみに7万部という発行部数は、現在の『AERA(アエラ)』とほぼ同じ数字。2010年代のエロ雑誌が、雑誌よりも付録のDVDがメインのものに変わっていった……という話も含め、本書は雑誌メディア全体の衰退も感じさせる内容となっている。

 なお本書には電気グルーヴの石野卓球が「学校やTVが教えてくれない大切なことは大体エロ本から教わった。」という推薦文を寄せている。実際のところ、かつてのエロ雑誌は先鋭的なサブカルチャーの発信基地としての側面も持っていた。違法行為もサブカルもないまぜにしたハチャメチャな内容のエロ雑誌は、世の中の人々を様々な形で刺激してきた。本書はその功罪の両面を伝えてくれている。

文=古澤誠一郎

このニュースに関するつぶやき

  • いまの中学生は、エロ本を拾わないのだろうか
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  • 江戸の頃、春画という文化があった。この春画には文字も書かれており女性も見ていたようだ。当時の識字率は世界でもトップであった日本だが、その数字には女性も含まれていた という研究結果があるようです。
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