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古代日本にはこんなに“エロい和歌”があったのか。『エロスでよみとく万葉集 えろまん』

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2019年09月22日 20:11  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『エロスでよみとく万葉集 えろまん』(大塚ひかり/新潮社)
『エロスでよみとく万葉集 えろまん』(大塚ひかり/新潮社)

 新たな元号「令和」は、1300年以上漢籍から採用されていた元号を、はじめて国書の『万葉集』から取ったことでも話題になった。誰しも一度は古文の授業で学ぶものだが、果たしてその記憶はどれほど鮮明に残っているものだろう。その歌に込められた意味や技巧を知ったところで、文化も風習もまるで違う古代日本の歌となると親近感もわかず、退屈で仕方がなかった人も多いのではないか。

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 大塚ひかり著『エロスでよみとく万葉集 えろまん』(新潮社)は、そんな古文に対して縁遠く感じている人たちにとってもおもしろく、学校では決して学べないような角度から万葉集を知ることができる本だ。

 著者曰く、もともと漢字を使って文章を紡いで来た日本は、中国の文物の影響を受けざるを得なかった。たとえば、日本固有の昔話と思われがちな「浦島太郎」や「姥捨山伝説」も中国の小説や漢訳された仏典にルーツがあったりする、という。しかし、『万葉集』には漢籍には見られない特徴もある。それが、「漢詩には少ない恋歌が多い」という点だ。

 というわけで、この本ではタイトル通り、エロスという観点からいくつも和歌を紹介し、その背景から日本文化や当時の空気感、風習などを読み解いていく。

 たとえば、巻第八にある山上憶良の詠んだ七夕の歌、

「天の川 相向き立ちて 我が恋ひし 君来ますなり 紐解き設けな」

は、「天の川に向き合って立ち、私が恋し続けた彼の方が来る。下着の紐を解いて待っていよう」という意味だという。

 一刻も早く彦星とセックスしたい織姫が下着(当時はパンツがないので裳のようなものだったそうだ)の紐を解いて待っている、という歌。織姫、エロい。ちなみに奈良・平安朝の七夕は「一昔前のクリスマスイブのように、本命とセックスする日と決まっていた」とも書かれている。古代日本の性の習慣も知ることができる。

 また、パンツつながりでいうと、このような歌も紹介されている。

「通るべく 雨はな降りそ 我妹子が 形見の衣 我下に着り」

 この歌の現代語訳は「雨降ってるよ。下着までしみなきゃいいけど。そんなに降るなよ雨。あの子の思い出の下着を俺はつけているんだから」となっている。

 一見、変態が詠んだ歌かと思ってしまうが、そうではない。当時は恋人や夫婦が別れ際お互いに下着を交換し、また逢うときまで脱がないという習慣があったという。「エロス」という切り口から読み解くことで、とてもユニークな風習を私たちは知ることができる。

 この本は、ただ官能的な和歌を並び立てるだけではない。たとえば甘美な意味合いで使われる「人妻」という言葉は、婚前交渉すら処罰していた中国と違って、母権が強くセックスは良いものだと考えていた日本の国柄を表すという。現代のポルノ作品に多く見られる人妻ジャンルとはまた違うニュアンスだとは思うが、セックスという切り口から覗くと当時の日本の男女関係が生々しく伝わってくる。

 また、どこか現代を生きる私たちにも身近に感じるような歌もある。

「道の辺の 草深百合の 花笑みに 笑みしがからに 妻と言ふべしや」

 この現代語訳は「道ばたの草深百合の花のように、ちょっと私がにこっとしただけで、ヨメとか言っていいと思っている?」である。

 当時の「妻」は「彼女」程度の軽い意味合いが多いらしいが、たしかにちょっと微笑んだだけで、「あいつ絶対俺のこと好きだよ」とか言い出す男は今の世もいる。

「エロス」という観点から読み解く万葉集は、こんなにもおもしろいものだったのか。帯には「受験生は読まないで下さい」と注意書きがあるが、古文が退屈だと受験勉強に身が入らない学生こそ手に取るべき本ではないか。

文=園田菜々

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  • 奈良時代は、下着は男女の違いが無かったのかな。
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  • 結婚届も役所もない時代、お互い選ばれ、結ばれるということが重要な時代。現代の助平性欲根性だけでは理解できない。
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