広瀬すずと草刈正雄の強固な絆 『なつぞら』アニメに投影した「開拓者の魂」

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2019年09月23日 12:11  リアルサウンド

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『なつぞら』(写真提供=NHK)

 泰樹(草刈正雄)から開拓魂を受け継いだなつ(広瀬すず)は、自身が見た景色や経験を「大草原の少女ソラ」に投影し続ける。


 『なつぞら』(NHK総合)最終週初日、人気番組となった「大草原の少女ソラ」が佳境を迎えていた。なつたちも外注先も、視聴者の期待に応えようと必死で作業に励む。


【写真】幼い頃のなつと泰樹


 そんな中なつが描くのは、馬の死をきっかけに獣医を目指すレイが父に夢を語り、別れを決意するシーンだ。坂場(中川大志)の絵コンテでは、星空を眺めて語り合う姿が描かれている。しかしなつは自身の経験を振り返り、夜明けを描くべきだと提案した。


 「わたしも朝日に励まされたことがあったから」


 なつはこの作品に携わる中で、何度も十勝の風景を思い返してきた。十勝の大地に広がる夜明け。「じいちゃんが1人で北海道に来て開拓したみたいに、わたしも挑戦したい」と、自身の思いを伝えたときの、泰樹の力強くもあたたかい励まし。戦後、剛男(藤木直人)によって十勝に連れられてきたなつが見てきた全てが、この作品に活かされている。レイが父に別れを告げるシーンには、なつが抱いた思いのすべてが描かれているのだ。


 「大草原の少女ソラ」が放送され、泰樹はレイが父に別れを告げるシーンに見入っていた。その目には涙が滲む。この作品には、なつの「じいちゃんや開拓者たちに届けたい」という思いが詰まっている。一言も発さず、ただ涙する泰樹の姿は、開拓者を励ました朝日となつが受け継いだ開拓魂の描写が、開拓者の胸に確かに届いたことを表していた。


 最終週を迎えた『なつぞら』。広大な十勝の大地ですくすくと育ったなつは、開拓魂を受け継いでアニメの世界へ飛び込んだ。そして今、その魂をテレビの向こう側にいる人々へ伝えようとしている。


(片山香帆)


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