3年目の嬉しい初勝利をつかんだ山下健太。“スーパーいいタイミング”のSCで引き寄せた運

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2019年09月29日 20:31  AUTOSPORT web

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スーパーフォーミュラ第6戦岡山 表彰台
9月29日、岡山国際サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦。レースは8周目に起きたアクシデントのため導入されたセーフティカーが、すべてを左右することになった。ソフト、ミディアムと分かれたタイヤ選択のなかで、最終的に勝利を掴んだのは2番手スタートでミディアムスタートを選択した山下健太(KONDO RACING)だった。

 ポールポジションスタートの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がスタートを決めたスーパーフォーミュラ第6戦の8周目、2番手につけていた福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がアトウッドでトラブルのためコースアウト。グラベルにストップしたため、セーフティカーが出されることになった。

 ミディアムタイヤでスタートした山下は、2番手スタートから1周目を3番手に終えると、ソフトタイヤを履くマシンに少しずつポジションを落としつつあった。しかし、野尻智紀(TEAM MUGEN)の前の6番手を守っていた時点で、SCが出たのだ。その瞬間、山下は「これは来たな」とコクピットで勝てる手ごたえを得ていた。

 今回のスーパーフォーミュラ第6戦岡山では、10周回目以降にタイヤ交換義務をこなさなければならない特別規則が定められていたが、SC中に10周目を迎えることは確定的だった。ミディアムタイヤでスタートした面々は、10周目までにいかにロスを減らしタイヤ交換義務をこなし、それ以降ソフトタイヤでロスを取り戻すかが勝負どころだったが、このSCでほぼロスはなくなったのだ。

 逆に、ソフトタイヤでスタートしたポールポジションスタートの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)やニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)といった面々は、ここでピットインしてミディアムタイヤに換えるわけにはいかない。山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らのように、ソフトでスタートしてSC中にミディアムに交換、すぐに再度ピットインしてソフトにするような策しかない。あとは、レース後半にふたたびセーフティカーが出るかだ。

「“スーパーいいタイミング”でセーフティカーが入ってきたので、『今日はもっているな』と思いましたね」と山下は振り返った。

■予選の“よそ見”があったからこその決断!?
 今のスーパーフォーミュラは、差が少ない以上戦略が重要だ。そこで、山下は「平川選手がソフトでスタートするだろう」と読んで、「同じソフトでスタートしても、スタートで抜けない限り可能性は少ない。そう考えるとミディアムしかない」という選択に至った。

 スタートタイヤの選択については「すごく迷いました」という山下だが、ミディアムを選ぶ決断については、「勇気はいらなかったです」とも言う。

「今日の段階では守りにいく立場ではなかったですし、一発逆転を狙うにはトップと逆のことをやらないといけないのは、今までのスーパーフォーミュラを見ていれば分かることですから」

 今回2番手スタートだった山下には、「今年勝たないと迷宮入りすると思っていた(笑)」と3年間勝ち星がなかったスーパーフォーミュラでの戦いのなかで、是が非でも勝ちが欲しかった。しかも今回、チームが解析を行い、速いクルマができあがっていた。

 ちなみに、9月28日に行われた予選では、「Q3のアタックは決まったのですが、最終コーナーを立ち上がってからずっとステアリングに表示されたタイムを見ていたら、知らない間に芝生の上を走っていて……」というまさかのミスでタイムを失い、2番手になっていた。

 もし山下が“よそ見”をせずポールポジションを得ていたら、平川がそうしたように、おそらくソフトを履いていたはずだ。「ソフトを選択していたら沈んでしまっていたと思うので、今回は正解だと思います。でもそこは運なので」と山下は決勝レース後の記者会見で、何度も「運」という言葉を使った。

『運も実力のうち』という言葉もあるが、序盤ポジションを守り、セーフティカー明け以降も「ソフトで長く走るので無理をしないように」と気を遣い続けたからこそつかんだ運だろう。これで最終戦鈴鹿まで、タイトル争いの可能性も残した。今季はスーパーGTでもタイトル争いをリードする。よく言われる“流れ”が、誰からも愛される山下にきているのかもしれない。

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