稲垣吾郎の熟成を見守る楽しみは広がるーー『THE TRAD』初のラジオ生放送レギュラーMCに寄せて

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2019年09月30日 06:01  リアルサウンド

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稲垣吾郎

 稲垣吾郎がMCを務めるレギュラーワイド番組『THE TRAD』(月〜木曜/TOKYO FM)が、本日15時よりスタートする。稲垣が担当するのは月曜と火曜。意外にも、稲垣がレギュラー生放送を手がけるのは初だという。


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 『THE TRAD』は「上質な音楽を、じっくり味わう。」をコンセプトとした仮想のレコードショップを舞台とした番組だ。店長の稲垣の他には、副店長のハマ・オカモトが水、木曜担当。フリーアナウンサー吉田明世がアシスタントとなり、ゲストを招きながら、音楽、そして文学やグルメ、アート、映画とカルチャー情報を発信していくというもの。番組スタートを受けて、稲垣は「これまでの経験も生かしつつ、生放送ということで、みなさんと同じ時間を共有しているからこその楽しいお話ができたらと思います」とコメント。果たして、どんな番組になるのだろうか。生放送ということで、ぜひリアルタイムで楽しみみたいものだ。


 人生には、それまでの経験や縁がつながる瞬間が巡ってくるものだ。稲垣にとっては、まさに今がそのときなのかもしれない。多くの名作に触れ、作家たちと語らった読書バラエティ『ゴロウ・デラックス』(TBS系)。「月イチゴロー イナガキベスト5」や「ゴローのムービージャッジ」など『SmaSTATION!!』(テレビ朝日系)内で担当してきた映画評論コーナー。また、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)内の「BISTRO SMAP」などで披露してきた料理の腕前。そして、クラシックやジャズとポピュラーソングに留まらない音楽との出会いがあった舞台の数々……。


 いずれも多くのNAKAMAに愛されてきた大切なコンテンツ。だが、残念ながら永遠に続くものなどはない。惜しまれつつ幕を閉じてきたが、その経験や思い出は、しっかり稲垣の中に蓄積されてきたのだろう。


 そして、その文化的で知的な知識が今、ワインのように熟成され、芳醇さを増し、新たな形で私たちを楽しませようとしてくれている。映画や文学に関するトークは、毎月第1日曜日に放送している『ななにー』こと『7.2 新しい別の窓』(AbemaTV)内の「インテリゴロー」に、グルメに関しては、東京・銀座に10月4日オープン予定のレストラン『BISTRO J_O』『J_O CAFE』への店舗演出へと引き継がれた。


 かねてからレギュラーMCを務めてきた『編集長 稲垣吾郎』(文化放送)でも、仮想の“女性誌の編集長“という役柄を全うしてきた稲垣。様々なジャンルの情報を特集し、落ち着いた語り口で、上質な“聴く”マガジンタイムを創り上げてきた。編集された美しい『編集長 稲垣吾郎』と、ライブ感のある番組『THE TRAD』。その異なる味わいのラジオ番組が増えるのは、嬉しい限りだ。


 ちなみにトークの面でも『ななにー』で、毎月7.2時間の生放送をこなして磨きをかけてきた。生放送のレギュラーワイドも、おそらくお手の物だろう。効率の悪い進行や、バタバタする展開を嫌い、自ら「イラチ」(イライラしやすい性格)のキャラクターを受け入れて、笑いに昇華させる術も習得。『THE TRAD』でも、そんな茶目っ気を交えながら、楽しい時間を演出してくれるのではないだろうか。


 文学やグルメ、アート、映画……ともすれば敷居が高く感じられる世界への入口に、穏やかな笑顔で佇み、迎え入れてくれるマスター役。それは、稲垣の魅力やキャリアの集大成とも言える。一つひとつの仕事から多くを吸収してきた稲垣だからできること。そして「初めて」のチャレンジを恐れないからこそ、また未知なる魅力が次々と加わっていくのだ。この『THE TRAD』という新たな経験が、どんな変化に繋がっていくのか。“稲垣吾郎”という人の熟成を見守る楽しみは広がる一方だ。(佐藤結衣)


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