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2020年にはミッドレンジの5Gスマホも登場? Qualcommが5Gの技術動向を説明

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2019年10月01日 16:22  ITmedia Mobile

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写真世界の5Gは既に30以上のネットワークが構築されている
世界の5Gは既に30以上のネットワークが構築されている

 日本でも「5G」の商用化がいよいよ見えてきた。海外では既に韓国や米国、欧州各国で5Gのサービスが始まっている。5Gは今後われわれの生活をどのように変えてくれるのか?



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 9月24日にQualcommは米サンディエゴにある同社の本社で「The Future of 5G Workshop」を開催し、5Gの現状とユースケースを中心としたこれからの展望について説明した。



●5Gは社会生活を変える新しいインフラになる



 1980年代に最初の携帯電話サービスが始まってから、通信技術は10年ごとに新しい世代生まれ変わり、2020年代は5Gの本格的な普及が期待されている。音声通話からデータ通信、そしてデータ通信の高速化を経て、5Gは「超高速」「超低遅延」「同時多接続」というこれまでの世代の通信技術にはなかった新たな特性を有しており、新たなサービスやアプリケーションを生み出そうとしている。その5Gは遠い未来の話ではなく、今や目の前で動く現実の技術になっているのだ。



 日本では9月にドコモやKDDIが5Gのプレサービスを開始。世界の状況を見ると、この6カ月間で30以上の通信事業者が5Gを開始または開始予定としている。これは4Gの開始時点に比べるとかなり速いペースだ。韓国では5G利用者が200万人を突破、中国では5G単独のSA(Stand Alone)ネットワークの構築も進められている。そして従来の通信技術で使われていた「Sub-6 GHz」(6GHz以下)の周波数だけではなく、ミリ波と呼ばれる高い周波数の商用化も始まろうとしている。



 この通信技術の革新の歴史において、Qualcommは1993年に世界初のCDMA方式のデモに成功し、「携帯電話といえば通話」という時代にデータ通信という新たな技術の1ページを加えた。その後も1998年のEV-DO、2013年のLTEによる機器間通信など一貫して高速データ通信の技術革新に取り組んできた。この機器間通信は商用化には至らなかったものの、今では自動運転のカギとなるV2Xに技術が生かされている。



 5Gによる通信は人と人だけではなく人とモノ、モノとモノを瞬時につなぐことができる。例えばAIの利用は今までクラウド経由だったものが、今ではマシンパワーが増大したことによりオンデバイス型が増えている。5Gになればクラウドへの通信速度が上がり遅延も無視できるレベルになるため、クラウドとオンデバイスを融合した利用スタイルに変わっていく。



 多数のセンサーデータを活用したインテリジェンスな工場の自動運転、周囲の交通状況に応じて最適な運転を行う自動運転、遠隔地からもVRやARを利用して手術が行えるスマート医療など、5Gはこれまで夢に思われてきたサービスを実用化することを可能にする。



●5Gでは新しい周波数帯の利用も視野に



 5Gはどのような技術基盤で実用化されているのだろうか。業界の標準化団体「3GPP」はRel.15でSAとNSA(Non Stand Alone)の技術仕様を制定し、5Gの通信方式として「5G NR」が標準規格化された。次のRel.16は2020年に仕様が決まり、アンライセンスバンドの利用などで自動車分野への5Gの応用展開などが広がることが期待されている。さらにその先のRel.17、Rel.18では5Gならではの新しいエコシステムが生まれるとみられている。



 5Gは3つの特性がそれぞれ相互に作用することで新しいアプリケーションを生み出すことができる。またMassive-MIMO技術は端末のカバレッジを拡大させることができる。さらにエッジコンピュータは5G接続されるクラウドの役割を補佐してくれるだろう。複数の技術を相互に活用するのも5Gエコシステムの特徴だ。



 現在のRel.15の標準化技術では通信の高速化による家庭向けブロードバンドの無線化や、ノートPCの常時接続などをこれから進められるだろう。Rel.16ではライセンスバンドとアンライセンスバンドの同時利用でコストを抑えながら5Gの特性を利用できるようにもなる。「学校、工場、スタジアムなど大規模エリアのカバレッジもそれぞれのユースケースに応じた通信の最適化も可能になる」とQualcommのエンジニアリング・5G R&DリードのVP、ジョン・スミー博士は説明する。



 5Gでは可変可能なスロットベースのフレームワークを使うことで、1つの周波数をアプリケーションごとに細分化し、周波数の有効利用が可能になる。Massive IoTやV2X、ミッションクリティカル通信といった、これから登場するアプリケーションやサービスに対して5G回線ならフレキシブルに対応できるのだ。



 新しい周波数の利用も5Gでは視野に入れている。現在、商用化が進められているミリ波は28GHzと39GHzだが、今後はさらに高い周波数が利用される見込みだ。Rel.17以降では71GHzや114.25GHzも採用される見込みになっている。一方、Rel.16で期待される免許不要で利用できるアンライセンスバンドは「5G NR-U」として標準化される予定だ。ベースは無線LANと同じ周波数を共存するLAA(Licensed-Assisted Access using LTE)とMulteFire技術を5Gに融合するもので、5GHzなどの周波数を利用することでネットワーク容量をフレキシブルに拡大できるという。



●ミリ波の実用化が5G成功のカギ



 5Gに対応したデバイスは既に150種類が製品化されている。スマートフォンもSamsung ElectronicsやHuaweiといったメジャーメーカーだけではなく、XiaomiやOPPO、OnePlusなど新興系メーカーからも登場している。また、屋内用ルーターともいえるCPEやホットスポット、組み込み用のモジュールも、4G登場時点と比べるとはるかに多い数の製品が出てきている。



 Qualcommは、これらメーカー向けにX50 5Gモデムを提供し、現在市販されている同社プロセッサを採用する5G製品はこのモデムを搭載している。また、2019年に提供予定のX55 5GモデムではSA方式の採用、FDDサポート、(4Gと5Gを同一帯域で共存させる)Dynamic Spectrum Sharingなど新しい機能が加わる。



 そして2020年上半期には5Gモデムをプロセッサに統合し、Snapdragon 8シリーズだけではなくSnapdragon 7、Snapdragon 6とミドルハイレンジクラスのモデルにも5G環境を提供する予定だ。これにより、5G端末の価格が引き下げられ、各国の5Gサービスの拡大と合わせることで5Gの普及を一気に広めようとQualcommは考えている。



 今回のプレゼンテーションでは5Gモデムを「Modem-RF Solutions」として紹介。つまりモデムだけではなくアンテナ設計も重要であることが説明された。それは4Gまでの世代では利用されなかった高い周波数、ミリ波を5Gは使うからだ。Qualcommはミリ波に対応したアンテナモジュール「QTM525」を開発し、スマートフォンでミリ波を利用できる技術を確立した。



 ミリ波はその特性から障害物に弱く、スマートフォンで利用する場合は建物の影やスマートフォンのアンテナ部分を手で覆うと感度が下がってしまう。そのため、基地局側では端末に向けて電波を飛ばすビームフォーミング技術が実用化される一方、端末側では感度の高いアンテナが求められる。プレゼンテーションの後にはこのQTM525を端末の3か所に搭載し、障害物からの影響を最小限に押さえるデモも行われた。



 ところで、5Gの特性を生かすにはコアネットワークに4Gを使うNSAではなく、コアも5GネットワークとなるSAへのマイグレーションが必要となる。現時点ではまずは5Gを拡張するために、しばらくはNSAによる5Gエリアと、低い周波数帯を使った4Gエリアが混在する状況が続くだろう。Dynamic Spectrum SharingやFDD方式の導入により、徐々にSAへ移行されることになりそうだ。



 5Gが目指すものは、あらゆるものがインテリジェントに接続するスマートな社会の構築だ。スマートフォンの進化だけではなく、IoTや交通、スマートシティーなど、5Gは4G時代までのネットワーク社会を大きく変えるものになるのである。



●ミリ波体験など5Gの最新技術をデモ



 Qualcomm本社では、イベントに合わせ、最新技術のデモンストレーションが行われた。その様子を写真で紹介する。



(取材協力:クアルコムジャパン)


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