『ニッポンノワール』『G線上のあなたと私』『シャーロック』、見逃せない秋ドラマ期待の3作品

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2019年10月04日 06:11  リアルサウンド

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『ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー』(c)日本テレビ

 ようやく秋の肌寒さを自覚し始めた今日この頃、10月期のドラマが始まる。『時効警察』(テレビ朝日系)や『結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)の復活、民放テレビドラマの出演は珍しい高良健吾(『モトカレマニア』フジテレビ系)や橋本愛(『同期のサクラ』日本テレビ系)の出演など、ドラマファンとしては楽しみすぎて落ち着いていられない今日この頃であるが、今回は3本のドラマをピックアップしたい。


●『ニッポンノワール―刑事Yの反乱―』(日本テレビ系)
 斬新だった『3年A組―今から皆さんは、人質です―』や2クールを跨いだ『あなたの番です』と、とにかく挑戦的なドラマが続いている日テレ系日曜10時30分枠である。全く予測不能な予告編からしてかなり新しい何かが始まる予感がする。『3年A組』の脚本を手がけた武藤将吾が脚本、『家売るオンナ』(日本テレビ系)の猪俣隆一、『3年A組』の小室直子らが演出を手がける。


 ワイルドな風貌の賀来賢人に、朝ドラ『スカーレット』(NHK総合)の父親役がキュートな北村一輝、映画『宮本から君へ』におけるクズ男役が素晴らしかった井浦新というセクシーかつ力のある俳優たちからも目が離せないが、夏帆、広末涼子の美貌にも目が釘付けになる、配役としても最も興味深いドラマである。


 また、時代設定は『3年A組』の立てこもり事件の半年後とのこと。つまりは『3年A組』で描かれたのは事件の年とその1年後の世界だったが、その間の世界が描かれるということである。直接的ではないにしろ、物語はどう絡み、菅田将暉が演じた柊一颯の思いはその後の世界を少しは動かしているのかというのも気がかりである。


●『G線上のあなたと私』(TBS系)
 こちらも期待の、特に現代社会を生きるアラサー女性を描いた作品において傑作が多いTBS火曜10時枠。いくえみ綾原作コミックで、『透明なゆりかご』(NHK総合)、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の安達奈緒子脚本となると、もう間違いないだろう。演出陣は同枠、同じいくえみ綾原作のドラマ『あなたのことはそれほど』を手がけた金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介である。


 ドロドロの不倫劇だった『あなそれ』とは違い、大人のバイオリン教室で始まる恋と友情の物語とのこと。仕事も婚約者も失ったヒロインが、新しい出会いと挑戦を通して何を得るのか。構造としては、前クールの『凪のお暇』が描ききった世界と共通しているとも言える。『G線上のあなたと私』は新たに何を描くのか。


 悩めるアラサーOLを演じる波瑠、朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)の一久さんを爽やかに演じきった中川大志だけでなく、前クールの良質ドラマ『だから私は推しました』(NHK総合)主演の桜井ユキ、『きのう何食べた?』『これは経費で落ちません!』(NHK総合)において小さな役ではあるがどちらも「本当にいそうな人」としてとても印象的だった真魚にも注目である。


●『シャーロック』(フジテレビ系)
 言わずと知れた名作『シャーロック・ホームズ』が原案。ディーン・フジオカ主演のフジテレビ古典文学ものと言えば、『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』に続く3本目ということで、もはやシリーズ化されたと言っても過言ではない。同名の海外ドラマも人気であり、いくら面白い題材・キャラクターであるとはいえ、やりつくされているのではないか。そんな疑念をいとも簡単に払拭してくれる、安定のスタッフ陣である。脚本は、『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)、『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK総合)などの井上由美子。また、『モンテ・クリスト伯』『昼顔』や11月公開の映画『マチネの終わりに』を監督した西谷弘をはじめ、『モンテ・クリスト伯』の演出陣が集結。間違いなく、期待の1本であると言えるだろう。


 『炎上弁護人』(NHK総合)や映画『町田くんの世界』における嫌われ役を厭わない好演が記憶に新しい岩田剛典が、どんなワトソンを演じるのか。そして、シャーロック・ホームズがディーン・フジオカ、ワトソンが岩田剛典となると、やはり気になるのはホームズの天敵・モリアーティ教授を誰がやるのかということ。そして、『モンテ・クリスト伯』と言えば、艶やかな女優陣の競うような怪演が見ものだったが、メインキャストに、女優は『あなたの番です』で垣間見せた色気を封印した、眼鏡にスーツ姿の山田真歩1人だけである。今回はクールでスタイリッシュな男たちの物語のみを描くのだろうか。


●番外編:『ひとりキャンプで食って寝る』(テレビ東京系)
 最後に番外編として取り上げたいのが、深夜ドラマ『ひとりキャンプで食って寝る』。1人キャンプと食事をテーマに、奇数話を三浦貴大と映画『俳優 亀岡拓次』の横浜聡子監督のタッグが、偶数回を夏帆と映画『ローリング』の冨永昌敬監督のタッグが手がける。テレビ東京の食ドラマファンとしても、映画ファンとしても注目せずにはいられない。


 さて、今期はどんなドラマが私たちの心をときめかせてくれるのだろうか。(藤原奈緒)


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