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5Gのオフロード用としても存在感を高める「Wi-Fi 6」の最新動向

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2019年10月04日 11:52  ITmedia Mobile

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写真Qualcommは2004年からWi-Fi関連の研究を行っている
Qualcommは2004年からWi-Fi関連の研究を行っている

 Qualcommは9月25日、26日とサンディエゴにある本社で最新ネットワーク技術動向のイベントを開催。初日に行われた「The Future of 5G Workshop」に続き、2日目はWi-FiやIoTの動向を説明する「Connectivity, Networking & IoT Day」を開催した。



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●5Gのオフロードとして重要になるWi-Fi 6



 今や身の回りにはあらゆる種類の電波が飛びかっている。数年後の家庭の中を見ればスマートホーム化により、家電だけではなくセンサーやスマートスピーカーなどが全てつながっていることが当たり前になる。その数ある無線技術の中で、Wi-Fiの役割がこれから重要な存在になろうとしている。



 Wi-Fiはもともと有線LANを無線に置き換える程度の目的で使われ、やがてPCやスマート家電にも利用されるようになるなど、その応用範囲は大きく広がっている。今では工場のセンサーをつなぐなど、アクセスポイントにつながるWi-Fi機器の数は急増している。スタジアムでは1つのSSIDに多数の端末のアクセスが集中するほどだ。



 Wi-Fiも次々と新しい技術進化を遂げてきたが、次世代Wi-Fiとして注目される「Wi-Fi 6」は、5G時代に欠かせない技術として今後の普及が期待されている。Wi-Fi 6は従来のWi-Fiの高速化だけではなく、OFDMA(直交周波数分割多元接続)、MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)などセルラーと共通の技術も採用されている。さらに高周波数帯を利用する60GHz帯のWi-Fiは5Gのミリ波技術と相似点もある。Qualcommは無線技術全般の技術開発を行っており、Wi-Fiに関しても2004年以来長年の研究実績を持っている。



 また、4Gで高速通信に慣れた消費者たちは、今後5Gを利用するようになると既存のWi-Fiの遅さを気にするようになるかもしれない。Wi-Fi 6なら5Gと変わらぬ高速環境をシームレスに提供することもできるのだ。5GとWi-Fi 6が相互に補完し合うことがユーザー体験を向上させるのである。例えば5GのCPE(ルーターなどの端末)にWi-Fi 6を搭載すれば、基地局から家庭内でCPEに接続するスマート機器まで高速なデータ環境を提供できる。



 現在もWi-Fiは4Gのオフロードとして使われるが、5G時代の2022年には59%のデータトラフィックがWi-Fiオフロードに流れるという調査結果もある。その2022年にはモバイルデータトラフィックは今の7倍に、中でもビデオ視聴はその半分を占めるまでになるという。高速大容量回線が必須の時代がやってくるのだ。



 QualcommはWi-Fi 6対応の「FirstConnect 6200」チップを開発し、Snapdragon 855/855+を採用する250以上のスマートフォンなどに搭載済みだ。また上位モデルの「FirstConnect 6800」も開発している。



 QualcommのWi-Fiチップは8×8のMU-MIMO、1024QAM、5GHzと2.4GHzに同時接続する「デュアルバンド同時接続(DBS)」、Wi-Fi端末のバッテリー寿命を向上させる「ターゲットウェイクタイム」、WPA3セキュリティなどWi-Fi 6で必要とされる機能を搭載し、高速性だけではなく低遅延や接続パフォーマンスの向上、低消費電力などを実現している。さらにはネットワーク機器向けに4つのチップを新たに展開。



 「Qualcomm Networking Pro」シリーズとして4/6/8/12ストリーム(アンテナ)に対応する、「400」「600」「800」「1200」のモデルを提供する。



 この他のWi-Fi技術として、60GHz Wi-FiやMesh Wi-Fiの紹介も行われた。60GHz Wi-Fiは5Gのミリ波同様に大容量通信や低遅延性に優れている。そのため、VRやゲーム用途に適した技術として期待されている。さらに消費電力が低い点も特徴だ。それに加えWi-Fiの電波をセンサーとして使う「RFセンシング」への応用も考えられている。センサーを別途設置せずとも、Wi-Fiだけで人の動きなどを感知することができるのだ。



 Mesh Wi-Fiは、室内に設置した複数のルーターを同一SSIDで利用できる技術で、既に商用化されている技術だ。Mesh Wi-Fiを利用すれば、広いエリアをあたかも1つのアクセスポイントでカバーしていることになる。米国では販売されているルーターの半数がこのMesh Wi-Fiに対応しており、スマートスピーカー機能を持つものも販売されている。さらにQualcommのMesh Wi-Fiプラットフォームを採用したRFセンシングロボットなども商用化されているとのこと。



●Bluetoothヘッドフォン向けの技術も開発



 Wi-Fi以外ではウェアラブルデバイスの市場動向や新技術の説明が行われた。



 ウェアラブルデバイスとして1つのジャンルを確立したBluetoothヘッドフォンは、1999年にEricssonが最初の製品を出してから、しばらくは通話手段として利用されたが、2006年にMotorolaが発表した製品あたりから音楽用途にも利用されるようになった。



 Qualcommもこの市場には2010年に「aptX」コーデックの投入で参入開始。2015年には左右のヘッドセットに直接音楽をステレオ送信する「TrueWireless Stereo」を発表した。そして2016年にAppleが「AirPods」を発売し、Bluetoothヘッドフォンの普及を後押しした。



 調査によると、ビデオ視聴時にBluetoothヘッドフォンを装着するユーザーの比率は57%、ゲームプレイ時も31%に増加している。ユーザーの関心は音質はもちろんのこと、バッテリーの持ちにも注目が高まっている。さらにはAirPodsのように耳に直接取り付ける「Buds」型の製品が増えるにつれ、装着感を気にするユーザーも増えているとのこと。



 Qualcommの技術は現在「aptX Adaptive」「TrueWireless Stereo Plus」と進化を高めた。このうちaptX Adaptiveは低遅延と高音質を両立させたコーデックで、端末側とヘッドフォン側の両者が対応する必要がある。スマートフォンではシャープの「AQUOS R3」が対応している。今回のイベントではヘッドフォンメーカーBowers & Wilkinsによる同コーデック対応のBluetoothヘッドセット新製品も展示。日本では11月に発売される予定だ。



●スマートウォッチ向けのプラットフォーム「Snapdragon Wear」



 ウェアラブルデバイスのもう1つの代表といえばスマートウォッチだ。Qualcommはスマートウォッチ向けに2つのプラットフォーム「Snapdragon Wear 3100」「Snapdragon Wear 2500」を展開、またトラッキングデバイス向けには「Snapdragon Wear 1100」「Snapdragon Wear 2100」と通信モジュールを変えた製品を展開している。



 このうち、スマートウォッチは一般ユーザー向けと子供向けでは求められる機能が異なることから、プラットフォームもキッズウォッチ向けとしてSnapdragon Wear 2100を展開している。一般ユーザー向けのスマートウォッチはスマートフォンと連携されることも多く、4G機能は必須ではなくBluetoothのみ対応モデルも多い。またファッション性やスポーツ向けのアクティブ機能なども求められる。



 一方、子供向けのスマートウォッチは緊急通話用途などに4G通信機能が必須であり、単体で利用されることが多い。カメラを搭載し、ビデオ通話やその場の写真を送る機能を持つものもある。通信事業者ブランドで販売されるものもあり、OSはWear OSではなくカスタム版Androidが用いられるケースが一般的だ。



 大人向けのスマートウォッチはファッションブランドとコラボレーションした製品が増えている。この1年で販売された製品総数は25、ブランドとメーカーは15に上る。価格は150ドル程度からで、ブランドモデルは4500ドルと高価なものも登場した。ディスプレイは円形でアナログ時計を模したデザインがトレンドだ。四角いフェースのApple Watchだけが異端の存在といえるかもしれない。Qualcommによると、一般向けウォッチの今後のトレンドは、よりコネクティビティー性が求められていくだろう、とのこと。



 対して、子供向けのウォッチは壊れにくい外装やデザイン、またカラフルな色の仕上げで子供が使いたくなるような工夫がされている。過去1年には30製品が18ブランドとメーカーから登場したが、その多くは中国市場だ。OPPOやVivo、OnePlusを関連会社に持つBBK(歩歩高)の最新モデルはベゼルの裏に搭載したカメラで高画質な写真も撮影できるなど、独自の進化を遂げている。子供向けウォッチはデュアルカメラ化やコンテンツ、サービスの拡充がトレンドになるとのこと。



(取材協力:クアルコムジャパン)


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