w-inds.は時間を超越する“スーパースター” 過去と未来を音楽で行き来した『Future/Past』ツアー

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2019年10月09日 07:01  リアルサウンド

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w-inds.

 w-inds.が10月4日、東京国際フォーラム ホールAにて『w-inds. LIVE TOUR 2019 “Future/Past”』最終公演を開催した。


 今年7月、約1年4カ月ぶりとなるシングル『Get Down』を発売し、来年3月にはデビュー20年目に突入するw-inds.。“未来と過去”をタイトルに掲げた今回のツアーは、w-inds.がこれからも“スーパースター”であり続けることを確信させられる内容だった。


 ライブ開幕曲は、ユニット史上最も激しいダンスチューンとされる最新シングル曲「Get Down」。序盤からいきなり驚かされたのが、スピーカーの音量。あえて俗な言い方をすれば、異常なまでの“音のデカさ”だ。『Get Down』発売インタビューにおいて、メンバー間でこんな会話があったのを覚えている。


緒方龍一「まず、『Get Down』を爆音で聞きたい」
千葉涼平「わかる。ヤバいよね、デカい音で聴いたら」


(参考:w-inds.が語る、攻めのダンスチューン「Get Down」誕生背景「いまの自分たちが映える曲を」


 近年のw-inds.は、橘慶太が楽曲のセルフプロデュースに携わるなど、音楽的に大きな転換期を迎えている。それに伴い、彼らの作品それぞれに対するこだわりも、徐々に強くなっていることだろう。そんな愛情の表れが、自分たちの作品を「爆音で聞きたい」という感情に結びついているのかもしれない。また、舞台セットの左右複数箇所のほか、彼らの頭上にあたるステージ上部にまで大三角形のLEDモニターが設置されるなど、非常にハイエンドで立体的なステージセットからも、そんな想いを感じ取ることができた。


 さらに、冒頭から目を離せなかったのが、メンバーのステージに対するストイックぶりだ。ここでは「Get Down」を皮切りに、楽曲後半部のトラックをリミックスバージョンに切り替えた「We Don’t Need To Talk Anymore」や、“過去”を振り返る作品として後述する「タイムマシーン」など、なんと全9曲をほぼ連続でパフォーマンスしたのだ。


 前掲のインタビューでは、慶太が「Get Down」に対して「ダンスボーカルグループが歌って踊るための振付じゃないよね」と冗談交じりに漏らしていた。そんな同曲が先陣を切るかのように、このブロックでは激しいダンスチューンが次々に飛び交う。なかでも「Superstar」では、曲中で計3回のボーカルドロップが繰り広げられ、客席の雰囲気も真夜中になっても踊り続けるレイヴパーティのような雰囲気に仕上がっていた。


 ここでの彼らによる最新モードの表現はユニットの現在地を示しながらも、前述の音響や映像演出の効果もあり、どこか“未来”を生きるダンス&ボーカルグループのパフォーマンスを目撃してしまったかのような感覚にさえ陥った。


 すると今度は“過去”の楽曲に遡り、デビュー初期のリリース曲で、オールドスクールで骨太なロックナンバー「タイムマシーン」「Break Down, Build Up」などを歌唱。2005年の発表曲「タイムマシーン」は、およそ15年ぶりの披露機会となっただけに、長年のファンにとっては歓喜の一夜となったに違いない。


 本編中盤には、黒を基調としたハットとセットアップに衣装を一新。アーバンかつジャジーな雰囲気の「Make you mine」などで、大人びたセクシーな表情を覗かせる。ここでは、龍一が「Drive-Me-Crazy」歌唱時に、女性の腰を情熱的に抱きかかえるように、マイクスタンドを艶やかに倒してみせる。その光景に、思わず目を覆ってしまったのは筆者だけではないはずだ。


 また15曲目「Feel The Fate」では、涼平の愛されキャラな一面をしっかりとキャッチ。涼平に2番の歌唱部分が回ってくると、慶太と龍一がにやにやと近づいてきて、彼を全身で崇め捧げるような腕の動きを見せる。その模様に戸惑いながらも、やれやれとはにかんでいた涼平にぐっと心を掴まれてしまった。


 本編終盤には、ニュージャックスウィングを取り入れた「Boom Word Up」「Dirty Talk」や、ファンクなテイストの「No matter where you are」など、近年の発表作を立て続けに披露。w-inds.の“現在地”を示す時間帯を再び迎えたわけだが、なかでも慶太のハイトーンボイスによるフェイクを交えた熱唱は、圧巻の一言に尽きる。それぞれの楽曲が大サビを迎えるたび、待ってましたと言わんばかりにフェイクにフェイクを重ねていく慶太。その堂々たるステージからは、彼のボーカリストとしての凄みとともに、音楽に没頭することの喜びが滲みでているようだった。


 その後、事務所の後輩ユニット・Leadがサプライズで登場するなど、アンコールのハイライトも様々だったが、特筆すべきは、2001年発表のデビュー曲「Forever Memories」をしっとりと歌い上げた瞬間である。歌唱とダンスを高次元で両立するw-inds.だが、彼らが近くデビュー20年目を迎えながらも、今なおメンバー同士で笑いあえる関係性にあることにこの上ない愛おしさを抱く。そんな彼らの表現力も踏まえ、“過去”と“未来”を行き来したこの日の内容を総括するならば、w-inds.はまさに“時間を超越”する“スーパースター”だ。


 2021年のデビュー20周年に向けて、これからも躍進が期待されるw-inds.。時代にあわせて変貌を遂げてきた彼らだが、パフォーマンスに捧げる情熱と3人の関係性だけは今後も変わることがないのだろう。なぜなら〈いつの時代も 愛する気持ちは変わらないまま 受け継がれる〉のだからーー。(一条皓太)


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