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“あるある探検隊”「レギュラー」が“介護芸人”で再ブレークのワケ

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2019年10月10日 11:30  AERA dot.

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写真「レギュラー」の松本康太さん(左)と西川晃啓さん (撮影/秦正理撮影)
「レギュラー」の松本康太さん(左)と西川晃啓さん (撮影/秦正理撮影)
 まだ暑さの残る9月中旬。東京都内のデイサービスセンターに、かつて「あるある探検隊」のネタで大ブレークし、一世を風靡(ふうび)した2人組の姿があった。お笑い芸人「レギュラー」の松本康太さん(40)と西川晃啓さん(40)だ。彼らの今を紹介する。

【写真】都内のデイサービスセンターでお年寄りを楽しませる「レギュラー」

*  *  *
 施設内は30、40人のお年寄りでにぎわい、談笑したり将棋を指したりしていた。

 午後1時をすぎたころ、レクリエーションの簡易ステージをつくるため、席の移動が始まった。そして、職員がアナウンスした。

「今日はお笑い芸人のレギュラーのお二人が来てくださっています!」

 誰だかぴんと来ていないのか、お年寄りの反応は鈍い。そこへ2人は満面の笑みとともに入場し、大きな声でネタを始めた。

 あるある探検隊の持ちネタは、自己紹介の際に披露するのみ。右手と左手で別の動きを促す「とんとんさすさす」や、ワンテンポ遅れて指定された手を出す「後出しジャイケン」などの出し物をリズムに合わせて繰り出していく。いずれもレギュラーオリジナルの認知症予防体操だ。

 次第にお年寄りも声を上げ、手をたたいて楽しむ。レクリエーションは約1時間。退場の際には握手やサインを求める人が相次いだ。

 テレビではめっきり見ることが少なくなった彼らは、こうして介護の現場で活躍している。介護職員初任者研修、レクリエーション介護士2級の資格を取得し、全国の介護施設を回っている。

 その経緯を聞いた。

──お二人が介護の世界に飛び込んだきっかけは。

松本:2010年にある番組の企画で沖縄の宮古島に約1年間移住したことが一番大きなきっかけです。そこでおじい、おばあたちにすごく優しくしてもらって、僕らのキャラクターは高齢の方にも受け入れてもらえると感じました。それは発見でした。

西川:その番組の視聴者層だった50、60代、僕らの親世代の人たちが、「頑張ってるなあ」とか「いいねえ」とか声をかけてくれて、その世代にもニーズがあるなと思いました。

松本:そもそも00年代の初めに僕らの人気が出始めたころも、女子高生とか若いお客さんはいなかった(笑)。単独ライブをやってもお子さんを連れたファミリー層が多く、漫才やコントというよりも、純粋に「楽しませる」ことを求められているなと感じていました。それは今のレクリエーションにつながっているかもしれません。

西川:徐々に仕事が減って暇になっていくなかで、松本君から「介護のことを勉強してみよう」と言われて、スクールに通うようになりました。2カ月間毎日通い詰めて、14年に介護職員初任者研修の資格を取りました。

──介護を仕事に、という意識はあったのですか。

西川:元々はなかったんです。「笑いと介護」というのはなかなか難しいというか、4、5年前は今ほど介護の世界が笑いを許容するほど開けていなかったと思うんです。だから勉強はするけど、施設を回ってネタをするというのは考えていなかったです。

松本:僕らはどうしてもいじってしまって、笑いにしてしまうから。それは失礼にあたるからやめとこう、と話していました。

──どうして風向きが変わったのでしょうか。

松本:レクリエーション介護士という資格を取ったことです。みんなが参加できる出し物を人前でやる資格です。ゲームだから間違えてもいい。「後出しジャイケン」で負けの手を出さなければいけないところ、利用者の方が間違えても「いやいや勝ってもうてますよ」みたいな。恥をかかせることなく笑いに変えていくんです。これなら芸人に向いている、と。

──戸惑いなどはなかったのでしょうか。

西川:失敗はありました。僕らがレクをしている最中に、レクとは関係ないところで男性の方が大きな声で話されていたんです。空気を大事にしたい芸人の性で、巻き込もうとして声をかけたんです。そうしたら、「誰に口きいとんじゃ、お前!」って。

松本:西川君は腰抜かして倒れてしまった(笑)。最初のころは高齢者の方との距離感も、何を言ったら失礼になるのかもわからなかったです。「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼びかけるだけで怒る方もいらっしゃいますし。徐々に形ができあがってきた感じですね。

──お笑いと介護での“舞台”に違いはありますか。

西川:めちゃくちゃありますね。みなさん介護度の度合いが違うので、決まったものをやればいいわけではないんです。施設によっては、利用者の方が「ジャイケン」自体を理解できないこともあります。「後出ししてください」と言っても何のことかわからない。一方で、普通に受け答えできて、健康維持のためにデイサービスを利用されている方もいる。だから一口に介護レクリエーションと言っても、細かく分けて考えないとできないんです。

松本:行く施設にどんな利用者がいるかは事前に聞いて、それによってやることを変えるようにしています。

──笑いの好影響を実感されることはありますか。

松本:笑うとポジティブになります。笑いをきっかけに話しだすと、昔のこともどんどん話してくれるんですね。西川君が他のことを言いだしても、まだしゃべる。昔を思い出すことによって、回想法といって頭の体操になる。笑って楽しい気持ちになってもらい、昔の記憶を語ってもらうという方向に持っていくことは意識しています。

西川:レクリエーション介護士にもいろんなジャンルがありますが、僕らは「芸人×介護」。番組MCではないですけど、引き出して話してもらうということに重点を置いています。介護レクを始めた当初は、僕らがやったことをまねしてもらうだけだったんですが、何度か経験を重ねるうちに、僕らが教えるのではなくて、教えてもらおうという姿勢に変わっていきました。

松本:介護の世界に行くと、どうしても先生っぽくなってしまうんです。そうなると壁ができて、利用者の方は心を開いてくれない。僕らが生徒なんです、という雰囲気づくりを心がけています。「あんたらそんなことも知らんのかいな」と言われる空気になるのが一番ですね。

──やりがいや喜びを感じているように思います。

松本:レク後に施設の方に「あの人、普段あんなにしゃべらないですよ」とか「あのエピソードは私も知らなかった」と言われたときは、話したいという雰囲気をつくれたんだとうれしい瞬間です。

西川:最初は「誰が来たんや」みたいな顔をしていた利用者の方々が、帰り際に握手を求めたり、わざわざ車寄せまで来て「また来てや」と言ってくれたりすると、やっていてよかったなと思いますね。

松本:4、5年前は営業しようにも、前例がないということで断られることが多かったんです。それがだんだん変わってきているように感じます。僕らはおもてなしをする立場。介護レクはサービスではなく、ホスピタリティーなんです。一人ひとりに寄り添って笑いを届けられたらうれしいです。

(本誌・秦正理)

※週刊朝日  2019年10月18日号

このニュースに関するつぶやき

  • 島田伸介の犠牲者??
    • イイネ!0
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  • 不祥事の贖罪みたいな感じでハイハイ介護すりゃ良いんだろみたいな芸人とは一線を画すな 資格まで持っててガチじゃないですか
    • イイネ!268
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