アロンソがダカールの前哨戦、ラリー・モロッコで完走果たす。僚友駆るトヨタ・ハイラックスが総合優勝

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2019年10月10日 20:31  AUTOSPORT web

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フェルナンド・アロンソがドライブする304号車トヨタ・ハイラックス
年始に開催されるダカールラリーの前哨戦とも称されるラリー・モロッコが10月3〜9日、北アフリカのモロッコで行われ、TOYOTA GAZOO Racing South Africaはジニエル・ド・ヴィリエールのトヨタ・ハイラックス総合優勝を飾ったほか、ベルンハルト・テン・ブリンクが総合25位、同ラリー初挑戦のフェルナンド・アロンソ(トヨタ・ハイラックス)が総合26位に続いた。2019年のダカール王者ナッサー・アル-アティヤ(トヨタ・ハイラックス)は、ラリー半ばで首位を走りながらマシントラブルに見舞われリタイアとなった。

 9月に南アフリカを舞台に行われた『リヒテンバーグ400』でラリーレイドデビューを果たしたアロンソ。2020年のダカールラリー参戦を目指す元F1チャンピオンにとって、このラリー・モロッコは世界最速レベルのラリーレイドドライバーたちと競う初めての機会となった。

 そんなアロンソと、コドライバーのマルク・コマが乗り込んだハイラックスは、ラリー序盤からさまざまは困難を受けることになった。初日は15番手スタートとなったことで前走者が巻き上げた砂埃のなかを走ることに。また、204kmに及ぶステージ1の岩場では計3度のパンクで手持ちのスペアタイヤを失ってしまう。しかし、ライバルチームに3本目スペアタイヤを供給してもらいステージを完走することに成功している。

 競技2日目は前日と一転して順調な走りをみせたアロンソはポジションを10番手まで上げてみせる。だが、走行直前にロードブックが渡されるという新ルールで行われた3日目に“落とし穴”が待っていた。

 アロンソ組とテン・ブリンク/トム・コルソール組が2台揃ってロードブックに記載されていなかった轍にはまり、ともにサスペンションを破損させてしまう。この修復のためビバークに戻った2台は大きくタイムを失ったほか、タイム加算を伴うペナルティも受けることになった。

 挽回を狙った4日目も前日と同じ新ルールのもとでの走行となったが、この日のアクシデントはパンクのみ。一方、後続に17分以上の大差をつけてラリーをリードしていたアル-アティヤが不運なアクシデントに見舞われる。

 今年1月のダカールでトヨタに初優勝をもたらした王者のマシンは、車両下部に岩がヒットしたことでクランク角センサーが破損。この影響でエンジン・マネジメント・システムが作動しなくなってしまった。これに追いついたアロンソたちはチームメイトをサポートしようとするも、走行続行が不可能であることが分かったため、反対に未使用タイヤを提供してもらい走行を再開している。

 競技最終日はアトラス山脈を超える合計168kmの岩場とワインディングロードが舞台。このステージでド・ヴィリエール組が速さをみせてトップを奪うと、そのまま逆転優勝を飾った。また、アロンソもステージ8番手のタイムをマークすると、同2番手タイムを刻んだテン・ブリンク組に続く総合26位でラリーを完走してみせた。

「今回のレース結果に、僕自身が驚いているよ。これまでラリー・モロッコでは3度勝利しているけれど、かなり昔のことだ」と語るのは、最終ステージでの逆転優勝を果たしたド・ヴィリエール。

「こんな難しいイベントで勝利できて最高だ! たったの5日間だけど、どのステージも本当に過酷だった。事前のテストからラリー本番でも、素晴らしい仕事をしてくれたチームに本当に感謝しているよ。アレックスもハイラックスで最高の働きをしてくれたし、僕たちにとって初勝利を達成できて満足している」

■アロンソ「クルマと人、すべてにおいてどれだけ厳しいラリーなのかを目の当たりにした」

 TOYOTA GAZOO Racing South Africaのグリン・ホール代表も「ジニエルがラリー・モロッコで4勝目を挙げることができ、本当にうれしく思う。彼にとっても、TOYOTA GAZOO Racingにとっても素晴らしい勝利だ」と優勝を評した。

「ジニエルはアレックスとのコンビで初めての勝利となったが、トヨタ・ハイラックスと彼らが最高のチームであることを示してくれた。チームは前日のナッサーのリタイアを受け、少し残念な最終日を迎えていたが、最終的には最高の結果でラリー・モロッコを締めくくることができたよ」

「フェルナンドには、ダカールに向けて短期間での成長を強いる計画であることは間違いない。今回のコースは極めて難易度が高く、ロードブックから走行ルートを前もって検討することもできなかった」

「そのような困難に直面しながらも、フェルナンドはここでとても貴重な経験をしたと思う。彼はまだ実感できていないかも知れないが、ダカール参戦発表が迫るなかで、ここモロッコで得た数多くの経験によって、彼の対応力が格段に高くなったことだろう」

 そのアロンソは「僕自身にとって初の国際ラリーレイド参戦に向けて、走行テストなどで忙しい2週間を過ごし、そのままシリーズでもっとも手強いラリーに臨み、完走を果たせて本当にうれしく思う」とコメント。

「チーム、クルマ、スタッフ、すべてにおいてどれだけ厳しいラリーであったかを目の当たりにした。我々のパフォーマンスには浮き沈みがあったが、ハイラックスとともにそのポテンシャルは示せたと思っているよ」

「さらに重要なのは、ラリーの間に直面したすべての困難が僕にとっての良い学習機会だったということだ。優勝したジニエルとアレックス、そしてTOYOTA GAZOO Racingを祝福したい。ジニエルはナミビアや南アフリカでの数カ月にわたるトレーニングの間、僕を指導してくれるなど、ダカールへの挑戦の大きな助けとなっているんだ」
 今後、TOYOTA GAZOO Racingは10月24日に、2020年ダカールラリー参戦体制に関するアナウンスを実施予定。2度のF1ワールドチャンピオンであるアロンソのメンバー入りが予想されるなか、ダカールラリー連覇に向けた体制の発表が待たれるところだ。

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