福士蒼汰の運命の切なさを駆り立てる 『4分間のマリーゴールド』が描くリアルな人間模様

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2019年10月11日 10:01  リアルサウンド

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『4分間のマリーゴールド』(c)TBS (c)キリエ/小学館

 福士蒼汰が主演を務める金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』(TBS系)が今夜からスタートする。キリエの同名漫画を原作に、人の“死の運命”が視えてしまう主人公と、余命1年の義姉による禁断の恋を描く、切ないラブストーリー。特別試写会にて第1話を鑑賞した筆者が、その見どころを紹介していきたい。


 救急救命士・花巻みこと(福士蒼汰)は、父の再婚により兄弟となった義兄・廉(桐谷健太)、義姉・沙羅(菜々緒)、義弟・藍(横浜流星)と仲良く暮らしていた。手を重ねることで“死の運命”が視える特殊能力を持つみことは、患者の最期を変えようと尽力するも、運命は必ず現実になってしまう。助けたいのに助けられないジレンマを抱えながら、日々救急救命に全力を尽くすみことだが、誰にも言えない思いを抱えていた。それは、義姉を愛してしまったこと。そして彼女が1年後、この世を去る運命を視てしまったことである。


【写真】4兄弟が食卓を囲む第1話


■福士は“手”、菜々緒は“ギャップ”で魅せる


 何より印象的だったのは福士の“手”。綺麗な手指についつい見惚れてしまうのだが、ここで言いたいのは、単に見た目の美しさだけではない。みことは、手を重ねることで相手の“死の運命”が視えてしまう。そのため、意を決して伸ばす手指の1本1本から、ためらい、恐怖心、使命感……といった、様々な感情が伝わってくるのだ。


 義姉に向ける子犬のようにあどけない表情や、どうにもならない現実に苦悩する心の動き。さらには自身初となる救急救命士姿と共に、是非とも“手”で魅了する福士の表現力に注目してほしい。


 一方、今作で初めて恋愛ドラマのヒロインに抜擢された菜々緒は、これまでの“強くてクール”というイメージとのギャップが見事。画面に映るのは、あまりにナチュラルでおおらかな“お姉さん”。その可憐さはため息が出るほどで、たとえ姉弟であっても、いや姉弟だからこそ、みことが惹かれてしまうのも頷ける。


 そんな沙羅は、地元のカルチャースクールで絵画教室などを開く画家でもある。絵画監修は、いま話題の画家・中島健太氏が務めており、今後、沙羅の絵画が作品にとってどんなスパイスとなっていくのか期待したい。


■桐谷・菜々緒・福士・横浜の4兄弟が育む“家族感”に注目


 2人とひとつ屋根の下で暮らす兄弟を演じるのは、桐谷健太と横浜流星。番宣などでも仲睦まじい姿を披露してきた4人だが、もちろん劇中でも息の合った掛け合いは健在。厳しくも少年のような心を持つ長男(桐谷)、心優しい兄弟想いの長女(菜々緒)、穏やかで正義感が強い次男(福士)、クールでちょっぴり陰のある三男(横浜)という絶妙なバランスに、ドラマ開始早々、惹き込まれる。


 横浜は、本作で“料理男子”に初挑戦。料理に疎く、「豆腐も切れなかった」という横浜が、エプロン姿で臨むキッチンシーンは必見。一方で、喜怒哀楽を表に出さない大人っぽさがありながら、兄姉からの愛をたっぷりと受ける末っ子の愛らしさが滲む、繊細な演技も見どころだ。


 また格闘技好きの家長役にドンピシャリとハマる桐谷が、4兄弟の雰囲気作りにおいて大きな役割を担っていることは間違いない。様々な初挑戦が多い他キャストを桐谷がリードすることで生まれる抜群の“家族感”は、さすがの一言。


 ずっと仲良くいてほしいと願わずにはいられない素敵な4兄弟なのだが、舞台挨拶で桐谷は「今は4人で和気藹々とやっているけど、ひとつの関係性が変わるだけで兄弟も変わっていく」とコメント。禁断の恋の幕開けによって変化する、家族関係からも目が離せない。


■“禁断の愛”と“1年後の死”、2つの運命の行方は?


 主人公が特殊能力を持つという点から、ファンタジー要素が強いといえる本作。だが、そこにある人間模様はとてつもなくリアルで、“禁断の愛”と“沙羅の死”という2つの運命の切なさを駆り立てる。


 救急シーンの緊迫感をはじめ、人の温かさ、やりきれなさが複雑に絡み合う『4分間のマリーゴールド』。第1話鑑賞後には、たくさんの感情がうごめく不思議な感覚を吐き出すように、目には涙が溢れていた。


 果たしてみことは、運命を変えることができるのか。物語の行方を追いつつ、家族・愛・生死という普遍的なテーマについて改めて考えていくこともまた、本作の意義のひとつとなりそうだ。


(nakamura omame)


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