フードコートに巣食う「万引き老女グループ」の実態! まるで「鬼婆」――Gメンも恐怖!

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2019年10月12日 19:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

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 こんにちは、保安員の澄江です。

 店舗より指名をいただくのは、非常に栄誉なこと。そう信じて疑わない私でしたが、ここのところ長年にわたり指名をいただいている現場における勤務が、ひどく苦痛になってきました。買収されて店名が変わったことで、過去に検挙して出入禁止にしてきた複数の老女グループが舞い戻ってきてしまい、店の出入口脇に新設されたフードコートにたむろするようになってしまったのです。

 彼女たちの行動は相変わらずですが、私の正体はバレてしまっているので、まったく仕事になりません。見張り役と思しき老女に存在を認知されると同時に、犯行を中止されてしまうのです。どうやら過去に捕らえた老女の口から、周囲のグループにまで正体を吹聴されているようで、なかには私を指差してくる人までいる始末。これらの状況から、勤務をお断りしてみましたが、人手不足の関係で勤務することになってしまいました。今回は、食品スーパーのフードコートに巣食う老女グループの生態などについて、お話したいと思います。

 件の現場は、関東近郊の新興住宅街に位置するスーパーT。食品のほかに日用品も扱う中規模スーパーで、来店者の8割が高齢者といった雰囲気のお店です。この店のフードコートには、3〜4人の集団で構成された70代と思しき老女グループが複数存在しており、そのほとんどが毎日のように来店します。

「未精算商品の持ち込みはご遠慮ください」
「フードコートのご利用は、1時間以内でお願いいたします」
「購入したものを飲食する際は、店員に声をおかけください」

 フードコート内には、3つのルールが大きく掲示されていますが、まるで効果はありません。開店まもなく来店し、サーバーから無料提供される水やお茶を片手に、試食のパンを頬張って、延々と終わらぬおしゃべりに興じ、夕食時までの長時間にわたって居座り続ける人ばかりなのです。試食の出されるタイミングや、割引シールが貼られる時間なども完全に熟知しており、目当ての商品を朝から手元にキープしている人が目立ちます。割引シールを貼る係の店員さんが現れると同時に、朝からキープしてきた商品を差し出して、シールを貼らせます。お店側は、特別扱いできないと丁重にお断りしてますが、経験の浅いアルバイト店員を狙って声をかけてシールを貼らせたり、「客を差別するのか」などと怒鳴りつけることで目的を達成するのです。

 何に使うのか、売場の各所に配備されたビニール袋を大量に持ち去るのは当たり前で、そのビニールの中に醤油や割箸、試食のパンなどを詰め込んで持ち去る猛者まで存在しています。過去には、トイレットペーパーや芳香剤などトイレ備品を専門に盗んでいく人や、あろうことかフードコート内で手足の爪を切り始める人もいました。その光景を目撃した時には、低すぎる民度に言葉を失ったものです。

 それだけならまだしも、お弁当やパン、和菓子など、未精算の商品をフードコート内に持ち込み、金を払わないまま食べてしまうことも珍しくありません。まるで自宅にいるかのように振る舞う老女たちの厚かましさは、とても真似できるものではなく、その姿を見るたびに恥ずかしく思ってしまうのです。

 万引き行為に及ぶときには、役割分担をしているのか、全員がバラバラに行動をして、それぞれが不審な行動を取ります。さほど広くない店内ではありますが、一人の目で3人の行動を把握するのは難しく、的を一人に絞れば見張り役の仲間に気付かれてしまうのです。彼女たちによる周囲への目配りは異様なほどで、不用意に近づけば、ここぞとばかりにクレームを入れてきます。高齢者万引きにおける共犯関係は、比較的珍しい事案と言え、ここまで完成された高齢者の万引きグループは見たことがありません。どうにかして捕まえたい。その一心で警戒にあたるものの、単独での捕捉は困難を極め、為す術のない状況と言えるでしょう。

 とある雨の日、摘発のチャンスは突然に訪れました。午前中に、おにぎりとカップ酒を盗んだホームレス風の人を捕まえ、警察に引き渡して店に戻ると、老女グループのリーダーらしき女が珍しく一人で店内を徘徊していたのです。恐らくは、私の姿がないことを確認し、油断しているのでしょう。米や日本酒、アマニ油、和牛ステーキ肉などの商品をカート上のマイバスケットに入れた彼女は、私の視線に気付くことなく、商品が満載されたカートをフードコート内に持ち込みました。フリーサーバーで手に入れた紙コップ入りの緑茶を片手に、店内の様子が見渡せるいつもの席に着くと、犯罪者特有というべき鋭い眼光で周囲の様子を窺っています。その顔は、尼崎連続殺人事件の主犯格であった角田美代子元被告に似ていて、ひどく不安な気持ちになったことを覚えています。

(出るまで、しばらくかかるかしら。自分の姿を見られないようにしないと……)

 動きのないまま20分ほど経過したところで、彼女とは違うグループの老女2人組がフードコートに現れました。すると、どこか居心地の悪そうな顔で立ち上がった彼女は、使用したカートはそのままに、未精算の商品を入れたマイバスケットを左手に持って歩き始めます。絵に描いた鬼婆のような顔で後方を振り返りながら、店の外に出た彼女に近づいて声をかけると、この上なく苦い顔で返されました。

「店内保安です。なんで声かけられたか、おわかりですよね」
「あら、いやだ。また、あなたなの。みんなやっているのに、なんで私ばっかり」
「そんなの関係ないですよ。ちょっと事務所まで来てもらえますか」
「嫌よ、離して。これ、返すから!」

 すると、年齢にそぐわぬ力強さで商品が満載されたカートを振り回した彼女は、それを私の右腕にぶつけて逃走しました。痛みをこらえて追いかけると、すぐ近くに駐車された古い軽自動車の脇で、激しい手の震えによりうまく鍵を差し込めないでいる彼女を発見。車と彼女の間に割り込む形で、震える彼女の右手を押さえた私は、努めて冷静な口調で問いかけます。

「ちょっと、落ち着いて。事務所まで来てくれたら、それで大丈夫だから」
「嫌よ。どうせまた、すぐに警察を呼ぶんでしょう。あたし、あんたのせいで30万もとられたのよ。(商品は)返したんだから、それでいいじゃない」

 どうやら私に捕まえられたことで、罰金刑を受けたことがある人のようですが、まるで記憶に残っていません。事務所への同行を促しても、両足の爪先を上げて歩こうとしないので途方に暮れていると、先程フードコートに現れた二人組の老女が店から出てきて言いました。

「ちょっと、Tさん。あんた、なにしてんのよ。一体、どうしたの」

 顔見知りらしき老女たちに声をかけられたことで、正気を取り戻したらしい彼女は、ようやくに事務所への同行に応じました。

「あんた、なんであたしばっかりいじめるんだよ。近所の人にまで見られて、恥ずかしいじゃないか……」

 近所に住む人に声をかけられたことで、逃げても仕方がないことを悟ったらしい老女は、警察に引き渡されると執行猶予中のみであることが判明。この日を最後に、この店のフードコートから姿を消しました。

 この件以降、加勢してくれた老女グループの人たちから、ことあるごとに不審者情報をいただけるようになった私は、より一層居心地の悪い現場で仕事をすることになりました。いてくれるだけで防犯になると、店長は喜んでくれているので、もうしばらくの間は抜け出せそうにありません。なにもないのが、一番大事。保安の仕事は、本来そういうものだと、この仕事の奥深さをあらためて思い知った次第です。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

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  • 渡る直前に意思表示されても車は止まれない。それでも無理やり停めて渡って怒鳴り飛ばす高齢男性に遭遇。高齢者という事を悪い意味で盾にして何をしても許されると思っている高齢者…、何とかならんか?
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