ワーママが「転職したい」と思ったときに、知っておきたいこと

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2019年10月13日 10:32  マイナビニュース

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産休・育休を経て、仕事や働き方に対する考え方・価値観が変わった女性は多いかもしれません。そこで「転職」という選択肢が見えたとき、何を考えていったらいいのでしょうか。働きやすさもやりがいも追求したいワーママ向けの転職エージェント「ママリブラ」の鈴木伸太朗さん、金子麻由子さんに聞きました。

○売り手市場だけど、ワーママはまだまだ転職しづらい

――いま、転職市場はどのような状況ですか?

鈴木さん(以下敬称略): 2013〜2014年くらいから、売り手市場が続いています。今後、外国人の雇用が進んだり、仕事の担い手がAIに取って代わられたりして、状況が変わることはあるかもしれませんが、少子高齢化で労働人口が減っていくこともあり、しばらく転職しやすい状況は続くのではないでしょうか。

――ワーキングマザーのように、働き方に制約が生まれがちな人材であっても、転職しやすいと言えるのでしょうか?

鈴木: 正社員の場合、まだまだフルタイムで働ける・残業ができる人材が求められている現状はあります。ですから、ワーキングマザーにとって、転職が簡単ではない状況には変わりありません。ただ、過渡期ではあると思っています。

今まで企業は、新卒採用で総合職の正社員、部署異動・転勤なども可能な人材を求めてきました。ただ今は人手不足なので、そのような人材だけではすべての業務をカバーできなくなってきています。

そこで例えば、地域限定正社員、業務委託、パート、といった人材に仕事を渡せるよう、業務を切り分けていく流れになってきています。

この流れが加速すれば、働き方に制約のあるワーキングマザーを受け入れる土壌ができていくと思います。

――時短勤務で転職というのは、まだまだ難しい状況でしょうか

金子さん(以下敬省略): 時短勤務のママをあえて採用したいという企業はまだ少ない現状ですので、弊社はご登録いただいた人材を「このポジションで雇ってみませんか?」と企業に売り込んでいます。一般的な転職エージェントの場合、企業から求人票をいただいて、そこに人材をマッチさせるという手法を取りますが、私たちは人材を起点にマッチングをしています。

短い時間で成果を出せるワーキングマザーは、非常に生産性の高い人材です。企業はそこに早く気が付いた方がいいと思っていて、他の企業が気づく前に、優秀で生産性の高い人材をとった方がいいですよと、提案していますね。

転職先がなく、「やりたい仕事もないし、産前みたいに出張も行けないし、半人前くらいの仕事しか任せてもらえないけど、給料をもらってるし仕方ない」というモチベーションで仕事をしている女性ばかりになってしまったら、日本全体から見ても損失だと思います。
○重視すべきは「条件」以上に「やりたいこと」

――ワーキングマザーの転職を成功させるためには、どんなことが大切だと思いますか?

鈴木: ワーキングマザーの場合、転職のカウンセリングを行っているとまず出てくるのが「勤務地は家の近くがいい」「勤務時間は●時まで」といった条件面の希望なんです。もちろんそれらの条件をベースとして持っておくのはいいのですが、一番大事なのは、今までの人生の中で大事にしてきたこと、好きなことが、その転職先で実現できるかという点です。

勤務地が家から近く、勤務時間も理想通り、仕事内容もこれまでの経験を活かせる、というだけだと、転職先で本当のやりがいや充実感は得られないことが多いです。また、嫌なことがあったり、壁にぶつかったりしたときに、すぐに心が折れがちです。

――保育園のお迎えなども考えると、条件面を重視する気持ちも分かる気がしますが、ママになる前は、そこまで大事にしていなかった条件かもしれませんね

金子: ワーキングマザーには、"ママだから"、"ママなのに"、という重しがありますよね。でも、「保育園のお迎えは私が絶対に行かなくてはいけない」と思ってしまっているだけで、もしかしたら別の方法があるかもしれないし、それが足かせになって自分のやりたいことができないのは残念なことです。

また、将来子どもが成長し、振り返ったときの十数年間のキャリアは本当にこれでいいのか、65歳以降、どうやって生きていくのかを考えると、今大変だからとやりたいことにブレーキをかけたり、諦めたりすることが本当にいいのか、考え抜いてほしいなと思います。

仕事を制限して、ママ業を大事にしたいと心から思えているのであれば、そういった選択も素敵だと思います。ただ、「ママだからいつも子ども優先」「ママだから時短勤務で自分がやりたいことを我慢する」「やりたくもない仕事をしてお金を稼ぐ」……そう考えているのであれば、「やりたいこと」を大事にしてほしいですね。

鈴木: 結婚して出産しても、男性は変わらず働き続けていて、女性だけが働き方を変えるというのも、本来はおかしいなと思っていて。夫婦で協力して、男性側が時短勤務やリモートワークをするという選択肢だってあるはずです。柔軟に考えていただきたいですね。
○できることと、できないことを、明確にする

――いざ、転職活動を始めたときに、気を付けたいことはありますか?

鈴木: 面談をしていると、つい転職先の期待に応えたい気持ちが先行して無理な要求をのみがちですが、例えば勤務時間を「●時から●時までは働ける」と明確に示すなど、少しゆとりをもって相談できるといいと思います。

金子: 無理に「できます」とは言わない方がいいですよね。ただ「週に●日は夫に子どもを見てもらって残業できます」とか、「子どもが病気になったときは●●といった体制を整えています」など、工夫して働きたいという意欲は見せましょう。できること、できないことを明確にして、できることはできますという姿勢を見せないと、難しいと思います。

――夫をはじめ、周囲のサポートを得ることも大切ですね

金子: パートナーと仕事のことを話すのって大事です。どうしてその仕事をしたいのか、仕事で大事にしたいことは何なのか、お互いに話して理解しあっていないと、協力しあえません。夫婦がお互いの仕事について理解しあっているベースがあるかないかは、転職の成功・失敗を左右すると思います。

――カウンセリングをされていて、そもそも転職の必要がないのでは、と思うこともありますか?

金子: やりたいことを実現するために、もうちょっと他のやり方があるのではないか、と思うケースはあります。営業をやっていて、たくさん出張もしていて、という方が復職するときに、「出張に行けないからもう営業はできない」と転職を希望されるケースもありました。

今までの先輩たちがそうだったから、などといった理由で諦めているのだとしたら、他の方法がないか探ってみるとか、上司に相談してみるとか、今いる会社でやりたいことができないか、模索してみてもいいのではないかと思います。
○自分の「好き」を見つめてみよう

――転職を希望するワーキングマザーは増えていると思いますか?

鈴木: 増えていると感じます。やりたいことがある、やりたいことを探しているけれどモヤモヤしているといったように、キャリアに関して真剣に考えていらっしゃる方が多い印象です。

――転職するしないに関わらず、まず自分のキャリアについて真剣に考えてみるといいかもしれませんね

鈴木: 弊社でも、自己分析セミナーなどを開催していますが、自分の持っている価値観や考えたこと、感じたことを話す機会を持てるといいですよね。転職の際は、条件面だけでなく、自分の好きなこと、大事にしたいことを実現できるか考えることが大事、とお伝えしましたが、この機会にぜひ自分を見つめなおしてみてほしいと思います。(横山茉紀)

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