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大学入試の英語民間試験で大混乱 高校が「導入延期」を訴える3つの理由

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2019年10月14日 16:00  AERA dot.

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写真■「大学入試英語成績提供システム」の年間スケジュール。受験期間がABC の三つに分けられているのは、総合型選抜(旧 AO 入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)、一般選抜(旧一般入試)のそれぞれの願書締め切りに合わせるため。※文科省発表の資料をもとに作成
■「大学入試英語成績提供システム」の年間スケジュール。受験期間がABC の三つに分けられているのは、総合型選抜(旧 AO 入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)、一般選抜(旧一般入試)のそれぞれの願書締め切りに合わせるため。※文科省発表の資料をもとに作成
 2020年度から、大学入試センター試験に代わり「大学入学共通テスト」が始まる。英語では共通テストに加えて、民間団体が実施する検定試験が活用されることが決まっているが、この運用をめぐって、高校の教育現場などから不安の声が続々と上がっている。なぜ、このような事態になっているのか。民間試験導入の是非とは──。発売中の英語学習誌「AERA English2019 Autumn & Winter」(朝日新聞出版)から抜粋して紹介する。

*  *  *

 全国の国公立・私立高校の校長からなる全国高等学校長協会(全高長)は9月10日、文部科学大臣宛ての要望書を提出した。「受験開始が迫っているにもかかわらず、民間検定試験(以下、民間試験)の導入は全く先が見えない状況。延期もしくは制度の見直しを求める」という内容。全高長が文科省に直訴するのは、7月に続き、2度目だ。

 会長を務める東京都立西高等学校の萩原聡校長は、こう説明する。

「7月に各都道府県の校長にアンケートを取ったところ、全てのグループから、民間試験による英語入試を見送るべきという意見が出されました。課題を解決しないまま、民間試験の活用を開始することは極めて重大な問題だと考えています」

 要望書を受け取った文科省の担当者は、「予定通り進めたい。そのため不安を早く払拭できるよう取り組んでいきたい」と答えたという。

「今後も国立大学協会や民間試験実施団体と話し合いを続けていきます。文科省が強行するとさらなる大きな混乱が予想されます」(萩原校長)

 高校現場が危惧しているのはおもに、(1)各試験の実施日程や場所など詳細が明らかになっていないこと、(2)活用方法を明らかにしていない大学が多数あること、(3)試験の公平性、公正性に対する不信が払拭されていないことだ。

 いまの高校2年生が受験するタイミングで、大学入試は大きく変わる。2021年1月から導入される大学入学共通テスト(以下、共通テスト)では、国語や数学で記述式問題が導入され、英語はリスニングの配点が大きくなる。英語ではこの共通テストに加え、民間で実施されている検定試験が入試に組み込まれ、4技能(聞く、読む、話す、書く)を評価することになった。23年度までは共通テストと民間試験が併用されるが、それ以降は共通テストを実施せず、民間試験のみとなる予定だ。

 受験生は志望大学の入試要項に合わせて民間試験を選び、受験年度の4〜12月の間に2回まで受けられる。民間試験の成績は大学入試センターで集約、管理され、そこから受験生が出願した大学に提供される仕組みだ。

 高校に混乱が広がったきっかけが、当初指定されていた八つの民間試験のうち、TOEICが離脱したことだ。国内でTOEICを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は7月2日、TOEICの大学入試への参加を取り下げることを発表した。

 IIBCは、その理由を「試験システムが当初予定していたものよりかなり複雑になったため」としている。

 TOEICには、リスニング&リーディング(LR)とスピーキング&ライティング(SW)の二つのテストがあり、試験日も結果送付も別々だ。これについて、同日に行われる他の民間試験の受験者に比べて有利にならないよう、LR とSW の受験時期をできるだけ近づけることや、試験の結果送付の締め切りに間に合うよう4技能の結果をそろえて大学入試センターに提出することなどを求められたのだ。IIBC常務理事の山下雄士さんは、こう説明する。

「LRとSWの受験時期を近づけることはともかく、3回の締め切りについては、当初、大学入試への参加要件には明記されていませんでした。TOEIC L&R 公開テストはビジネスパーソンを中心に年間120万人が受験します。大学入試の受験生を優先的に配慮して、他の受験者に不利になることは避けたい。それを考えると、受験生の希望の場所や日程で確実に受験していただき、期日までに結果をそろえることが難しいという判断に至りました」

 受験生が受けられる民間試験は現在、英検、GTEC、TEAPなど、全部で7 種類ある。だが、実施形式やレベルによってさらに22通りに分かれており、かなり複雑だ。

 そもそも、民間試験を各大学がどう活用するかが決まっていない点も、高校現場の混乱を招いている。文科省の8月時点での調査によると、4年制大学の約3割が利用法を明らかにしていない。文科省大学入試室の担当者は「他大学の動きを見ているか、各試験の情報が出そろわないので決めかねているのでは」とみる。

 たとえば東京大学は一定のレベルを出願要件としているが、その証明は民間試験の成績だけでなく、高校による証明書でも認めるとし、事実上、民間試験を受けなくても受験できる。北海道大学や東北大学は少なくとも20年度は「利用しない」方針だ。

 利用する大学でも、「出願資格」とするか「加点」とするかなどで対応が分かれる。大学はそれぞれの入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)に応じた使い方をしているのだ。

 こうした状況に、現場の英語教員からも悲鳴が上がる。千葉県立成田国際高等学校で英語を教える下村明教諭は、こう話す。

「とりあえず全員に共通ID(個人の成績情報を一元管理するため大学入試センターが発行するID)を取るように指示しています。全国の高校ではいま、英語教員に生徒や保護者から質問が集まっていることと思いますが、答えることが難しいのが現状です」

(文/稲田砂知子)

【おすすめ記事】英語民間試験「中止」「延期」が9割 高校生が直訴する異常事態


このニュースに関するつぶやき

  • いまだに中学で3級とってるからとか勘違いしてる人も結構いる(それは使えない)
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  • 得するのは民間試験に天下りした元官僚だけだろう。
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