『シャーロック』ディーン・フジオカ×岩田剛典の高まるバディ感に期待 原作の真摯なオマージュも

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2019年10月15日 06:11  リアルサウンド

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『シャーロック』(c)フジテレビ

 犯罪捜査コンサルタントの誉獅子雄(ディーン・フジオカ)と、精神科医の若宮潤一(岩田剛典)。予期せぬ形で出会った2人が同居を始めたことで、(若宮にとってはかなり不本意な形で)バディが結成された先週の第1話のラスト。そして14日に放送されたフジテレビ系列月9ドラマ『シャーロック アントールド・ストーリーズ』第2話では、ようやくバディとしての“シャーロック・ホームズ”と“ジョン・ワトソン”が難事件に向き合う姿が描き出されたわけだ。


参考:ほか場面写真はこちらから


 司法解剖でも不審な点は見つからず、所持品から身元が判明しているにもかかわらず身元不明遺体を示す番号が振られた高橋博美(三浦透子)という女性の轢死体。身分証の写真と死体は同じ人物ではあるが、その身元を辿ってみると死体とは血液型が違うというのだ。江藤(佐々木蔵之介)とともに博美と思しき女性の部屋を捜索した獅子雄は、そこで“高橋博美”という人物に成り代わろうとした形跡を見つけ、発見された轢死体と高橋博美は別人であると確信する。そして過去に博美本人が不倫をして訴えられていたことを知った獅子雄と若宮は、彼女の弁護を担当していた青木藍子(菅野美穂)の元を訪れることに。


 前回のエピソードでは『六つのナポレオン』に登場する「アバネティ家の恐ろしい出来事」をモチーフに、事件の重要人物の苗字を“赤羽”(アバネティをもじったのであろう)としたり有名な「パセリがバターに沈んだ深さ」という台詞を示す描写を登場させるといったアレンジを施した本ドラマ。今回のエピソードで描かれたのは、藍子(彼女の名前はアイリーン・アドラーから来ているのであろう)の法律事務所“ダーリントン法律事務所”からもわかる通り、『シャーロック・ホームズの冒険』の「ボヘミアの醜聞」の中で過去の事件のひ
とつとして触れられていた「ダーリントンの替え玉事件」だ。


 クライマックスで事件の核心に迫った獅子雄は、最初に藍子の事務所を訪れた際に彼女が犯したミスを指摘する。それは獅子雄が「高橋博美と最後に会ったのはいつか?」と尋ねた際に、藍子は部屋に飾られていた車輪のオブジェを見つめ、そちらに気を取られて曖昧な答えをしてしまったことだ。「人は危機に瀕した時、無意識に一番大事なものを見る」。その獅子雄の台詞はまさに、原作で「ダーリントンの替え玉事件」が登場する一節、ホームズがアイリーンの屋敷で彼女の行動から写真の在処を見つけ出し、「自分の家が火事だと知った時には、本能的に自分が一番大切なもののところにすぐに向かってしまう」と語る部分と一致する。


 現代の東京を舞台に、副題にもなっている“アントールド・ストーリーズ”が示す通り、原作に登場しながらも詳細が明かされていない所謂“語られざる事件”を描いていく。そのような趣旨の本ドラマではあるが、まだその独特の設定に落とし込むための導入要素が強かった前回と比較すれば、この第2話で明らかにミステリーとしての質も、『シャーロック・ホームズ』の翻案としての質も格段に向上していると見受けられる。まだ獅子雄のことを信用しきれていない若宮の様子からも、これから事件を重ねながら2人のバディ感が強まっていくことで、このドラマの完成度はさらに向上していくに違いない。 (文=久保田和馬)


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