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近大が躍進、「関関近立」も? 激変する大学格付けに見る“西の波”

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2019年10月15日 08:00  AERA dot.

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写真同志社大学 (撮影/多田敏男)
同志社大学 (撮影/多田敏男)
 偏差値から特色重視へ、いま大学の序列が変わりつつある。各大学が少子化で学生を取り合うなか、それぞれ改革を進めてきた。その結果、教育内容が見直されるなど、学生の選ぶ基準が偏差値から変わってきたのだ。大学の多い東京だけでなく、関西でもその変化は如実に起きている。

【表で見る】関西5私大主要学部での偏差値比較はこちら

■佐藤優がディベートの極意を伝授 関西私大は同志社が独自路線

「具体的論点について2分で考えてみて」「それで論点尽きた? はい次」「じゃ議論まとめて話してみて」「どんな反論がくるか予測して議論する」「あと1分あげるから反論してみて」……講師が学生らを促し、ディベートがテンポよく進む。発言しない学生には厳しい言葉が飛んだ。

「他人の前で間違えて恥をかきたくないという自己防衛が強すぎる。何も言わない人は存在しないものとみなされるよ」

 昨年9月、琵琶湖湖畔で濃密な合宿が開かれていた。参加者は文系理系を問わず学生24人。講師の一人は元外交官の佐藤優さんだ。日ロ外交、ゲノム編集、人工知能(AI)について教授が講義をし、質疑応答、ディベート、リポート作成を行う3泊4日のプログラム。同志社大学が開いた。

 関西の私大といえば、「関関同立」(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)と4大学がひとくくりにされてきた。だが、同志社が一歩先を行く状態だという。

 関西圏の現役高校生向けの予備校「研伸館」の森俊夫さんは話す。

「京大や阪大の受験者が併願で受けることも多い。関関同立の中では、同志社は頭一つ抜けています」

 関西圏を中心に120校以上を展開する進学塾「第一ゼミナール」の大学受験部門担当者も同様の意見。

「もともとランクが高いイメージがあるので、成績が良い受験生しか受けない。レベルの高い争い」

 さらに、「早慶」「関関同立」といった既存の尺度での格付けや枠組みには与せず、独自の道を模索しているようなのだ。同大の松岡敬学長は、次のように強調する。

「大学のブランド力、実力は、偏差値で比べるのではなく、どのような特色ある教育をやっているのかを見るように変わるべき」

 そして、「卒業生が社会でどのように活躍できているのか」を重要な指標と捉える。

 この考えに基づき、開かれたのが冒頭の合宿だ。内容は『新・リーダーのための教養講義』(朝日新書)に詳しい。昨年の合宿は「0期」で、本年度、本格スタート。創設者にちなんで「新島塾」と名付けられ、リーダー養成を目指している。東京一極集中の時代に、西から変化の波が押し寄せてきそうだ。

■もうマグロ大学とは呼ばせない現実味を帯びる「関関近立」

 関西の私大で見過ごせないのが近畿大の台頭だ。京都産業大、甲南大、龍谷大とともに「産近甲龍」と呼ばれてきたが、近年、そこから脱し、「関関同立」に割って入るかもしれないという。

 志願者数は14年度から6年連続トップ。学部別偏差値を見れば、法学部や経済学部で関学や立命館にも並ぶ。設立4年目の国際学部も、同じ国際学系に分類される関西大政策創造学部(国際アジア法政策学科)に引けを取らない。関西圏を中心に120校以上を展開する進学塾「第一ゼミナール」の大学受験部門担当者が言う。

「理系はまだ関大のほうが上だが、一部の文系の学部は、入試偏差値は近大と関大が同じランクにある。近大は産近甲龍からは抜けていると思う」

 大学通信常務の安田賢治さんは言う。

「近大はバンカラなイメージが強かったが、11年に建築学部、16年に国際学部と、女子が集まる学部を開設した。全体的に女子が増えていることが、大学のレベルアップ、イメージ向上につながっている。『関関近立』はありえるでしょう」

 躍進の背景には巧みなブランド戦略がある。その名を全国区に押し上げたのは、世界初のマグロの完全養殖成功。「近大マグロ」としてブランド化し、民間企業と提携して養殖の事業化を進め、13年4月には、大阪駅北側の複合商業施設に近大マグロなどが食べられる料理店を開店した。

 17年の正月には、「早慶近」と書かれた新聞の全面広告が話題に。英国の教育雑誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が発表した「世界大学ランキング2016−2017」で、日本の私立総合大学では601〜800位に慶應義塾大、近大、早稲田大がランクインしたことを受け、「語呂が良いだけの大学の“くくり”に依存してませんか?」と、従来の大学序列に物申すような広告だった。ただ、定着はしなかった。関関近立はどうか。

 転換期を迎えている大学だが、今後序列はどうなるのか。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんはこう見る。

「AOや推薦入試で学生を取る割合が多くなっています。早慶でも入学者の半分程度が一般入試以外から。今後は7割程度まで増えるのでは。偏差値による大学選びは20年代の後半には終わり、自分の学びたいことと、大学が求める人物像や教育環境を踏まえて選択するようになる。大学の特性などから新しいグループが出てくるでしょう」

(本誌・吉崎洋夫、緒方麦)

※週刊朝日  2019年10月18日号より抜粋

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