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「巨人でなきゃイヤ!」“超ワガママ”だった昔のドラフト候補たち

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2019年10月15日 17:00  AERA dot.

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写真近年は謙虚な姿勢が目立つドラフト候補だが…(※写真はイメージ) (c)朝日新聞社
近年は謙虚な姿勢が目立つドラフト候補だが…(※写真はイメージ) (c)朝日新聞社
 “令和の怪物”佐々木朗希(大船渡)が10月2日、プロ入りを表明し、「12球団、どこでも頑張りたいと思っています」とコメントした。ライバル・奥川恭伸(星稜)も「指名していただけるのであれば、どの球団でもうれしいです」と12球団OKの構え。一昨年のドラフトでも、超高校級スラッガー・清宮幸太郎(早稲田実−日本ハム)が「12球団OK」の姿勢を見せるなど、ここ数年は目玉候補の“謙虚”な希望が目につくようになった。

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「まずは日本で頑張りたい」という佐々木の決意からもうかがえるように、近年の高校生は将来のメジャー入りも視野に入れ、そのステップとなるNPBについては、あえて希望球団を明言しなくなっているようだ。それに引き換え、メジャーという選択肢がなかった時代のドラフト候補の発言は、謙虚さが主流の今では想像もつかないほど“横柄”だった。

 1965年にスタートしたドラフト制度は、69年に早大のスラッガー・荒川尭の“荒川事件”、78年に江川卓の“空白の一日事件”など、希望球団に指名されなかった超目玉をめぐり、数々の事件が起きているが、「巨人でなきゃイヤ!」「パ・リーグなら社会人入り」といった逆指名発言が一気に過熱したのが83年だった。

 甲子園夏春連覇の池田のエース、“阿波の金太郎”水野雄仁が「プロでやる以上、伝統と人気のある球団に入りたい」と巨人を逆指名。「巨人以外なら進学」とぶち上げた。法大の主砲・小早川毅彦も第1希望に広島を挙げ、「パ・リーグ球団指名なら社会人入り。2年後のプロ入りもしない」とキッパリ。社会人のエース・池田親興も「巨人、阪神以外に指名されたら、プロ入りを見送る」と宣言するなど、高校、大学、社会人の目玉の逆指名が相次いだ。

 さらに、ドラフト会議の24時間前には、興南の左腕・仲田幸司が父親と連名で「巨人以外の指名であれば、大学へ進学するとの進路決定を致しましたので、もし貴殿から指名をいただいても、お受けすることが出来ません」と記された内容証明書付きの通知書を巨人以外の11球団に郵送する前代未聞の事態も起きた。

 これらの動きに対し、下田武三コミッショナーは「20歳以下の若者が“どこそこでなければ働かない”と発言するのは口はばったい。一般社会ではそんなわがままは通用しませんよ」と不快感をあらわにし、「逆指名するような選手は大成しませんよ」と切り捨てた。

 だが、同年のドラフトで、水野をはじめ上位候補の多くが希望球団の指名を受けたことから、以後、逆指名は半ば“お約束”となる。

 翌84年には、三田学園の大型遊撃手・藤岡寛生が「巨人以外に指名されたら、(実家の寺を継いで)坊さんになる」と宣言。カチンときた他球団のスカウトが「お前みたいな奴は巨人に入れ。ウチの投手はみんなお前の頭を狙うよ」と啖呵を切ったそうだが、結果は1位・上田和明(慶大)に次ぐ2位指名で巨人入りの夢を叶えている。

 90年代に入ると、希望球団に加えて、「あそこは絶対にイヤ!」という名指しのNGも目立つようになる。

 90年、東都のドクターK左腕・小池秀郎(亜大)は「3球団(巨人、西武、ヤクルト)以外なら社会人」と表明。地元(愛知県出身)の中日も大学側から「絶対に行きたくない球団のひとつ」と通告されたという。

 だが、即戦力のドラ1候補が少ないという事情から、前年の野茂英雄と並ぶ史上最多タイ8球団の競合1位指名となり、当たりくじを引いたのは、皮肉にも「最も避けたい球団」(矢野祐弘総監督)とされたロッテだった。

 老朽化し、閑古鳥が鳴く川崎球場を本拠としていた当時のロッテは、小池の外れ1位で阪神入りした湯舟敏郎(本田技研鈴鹿)も「ロッテだけは勘弁してもらいたい」と難色を示すなど、12球団一の不人気球団だった。ロッテを入団拒否した小池は「今のドラフト制度を見直すべきですよね」と要望したが、3年後の逆指名制導入を待たずして社会人経由で近鉄入りした。

 翌91年のドラフトでは、阪神がやり玉に挙げられる。

 甲子園のラッキーゾーン撤去を前に、センターライン強化を図る阪神は、アマナンバーワン遊撃手・田口壮(関学大)の獲得に動く。だが、田口は子供のころから憧れていたオリックスを逆指名した。

 これに対し、阪神サイドが「オリックスさん、どうぞというわけにはいきませんよ」(中村勝広監督)と強行突破を宣言すると、「このままでは行きたい球団に行けない可能性がある」と危惧した田口は会見を開き、「阪神は組織的にしっかりしていない。監督とフロントの間にゴタゴタがあったから」「将来的なことを考えると、あとまで面倒見てくれるかどうかも不安」「若手育成に一貫性がない」などと批判した。

「ウチの会社を批判するような選手を獲るべきではない」と阪神電鉄本社関係者をも激怒させた問題発言も、希望どおりオリックスに入団した田口が2度の優勝に貢献し、メジャー時代にもワールドシリーズ出場をはたしたことを考えると、結果オーライだったと言えるだろう。田口にフラれた阪神も、2位指名の遊撃手・久慈照嘉(日本石油)が翌年新人王獲得。“横柄発言”が期せずして2人の若者の運命を切り開いた。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

このニュースに関するつぶやき

  • 拒否がルール違反? 勘違いしてる人がいるようだが、指名されたら必ず入らなければならないというルールは無い。入団も拒否も選手の自由。拒否が横柄ってどこの北朝鮮だか(苦笑)
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  • いつか「巨人以外ならどこでも行く」と言ってくれる新人を見たい(´・ω・`)
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