2021年発足『エクストリームE』向け電動SUVが初の本格テスト迎える。「マシンは軽快かつ機敏」

1

2019年10月16日 12:21  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

電動SUVオフロード・シリーズの『Extreme E(エクストリームE)』。その初年度に使用されるEVマシン『ODYSSEY 21(オデッセイ21)』の本格的テストがスタート
地球環境保全の啓蒙と電動モビリティの可能性追求というビジョンを掲げて、2021年にスタートする予定の電動SUVオフロード・シリーズ『Extreme E(エクストリームE)』。その初年度に使用されるEVマシン『ODYSSEY 21(オデッセイ21)』の本格的テストが実施され、WorldRX世界ラリークロス選手権でチャンピオンを争うティミー&ケビン・ハンセン兄弟と、STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権で史上初の女性ウイナーに輝いたミカエラ・アーリン-コチュリンスキーがステアリングを握った。

 電気自動車で争われる新シリーズとなるエクストリームEでは、電動パワートレインや車体の独自開発が認められているが、シリーズ発足初年度に向けてはベースラインとなるワンメイク車両が用意されている。

 ABBフォーミュラE選手権にも参画したスパーク・レーシング・テクノロジーが設計・製造を担当したオデッセイ21は、10月第2週にフランス南部の城塞都市カルカッソンヌ近郊にあるテストコース、『シャトー・ド・ラトゥール』に運びこまれ、同車にとって初となる本格的な走行テストが行われた。

 このテストでドライビングを担当したのは、世界ラリークロスでシリーズチャンピオンを争い、2019年に創設されたラリークロスの新シリーズ『TitansRX(タイタンRX)』でもタイトル争いを繰り広げるハンセン兄弟と、2019年STCC開幕戦でシリーズ初の女性勝者として歴史にその名を刻んだコチュリンスキーの3名だ。

 4日間のスケジュールで実施されたプログラムでは、エクストリームEに登場する予定のあらゆる路面環境に対応すべく、ワンメイクタイヤ・サプライヤーに就任したコンチネンタルとともに、WRC世界ラリー選手権やダカールラリー参戦チームが実際に使用するテスト環境で走行プログラムが進められた。

 現在WorldRXでランキング首位をキープするティミー・ハンセンは、この先進的EVオフロードカーのポテンシャルに「深く感銘を受けた」と、そのファーストインプレッションを語った。

「早くも2周目にはプッシュすることができたからね。マシンは軽快かつ機敏で、とても反応が良かった。これだけレスポンシブルだと、フルサイズバッテリー搭載のオフロードカーだとは思わないし、そのサイズを感じさせない」

「4WDで期待されるドリフトモーションも完璧にこなしてくれるし、スライドを止めたければスロットルに触れるだけですぐさまトラクションが得られて、望む動きを作り出せる。僕はもうすでにドライビングシートで快適さを感じているよ」

 これがスウェーデン出身のティミーにとっても、フルEVオフロードカー初体験となったが、ラリークロス用スーパーカーと比較しても「信じられないほど優れた操縦性を備えている」と付け加えた。

「ご存じのとおり、EVらしいスロットルレスポンスの早さがあり即座に反応が返ってくる。必要なときに欲しいだけの正確な応答が得られる。これはアンチラグなどを装備した競技用ICE(内燃機関エンジン)では決して期待できない種類のものだよね」

「パワーが欲しいときはスロットルに触れ、欲しくないときは“何もしない”だけでいい。シングルペダルですべての動きが制御できるんだ。最初のテストにして、すべてが期待以上だった。このマシンなら1日中ドライブしていられそうだから、このまま早く続きをやろう!」

 一方、エクストリームEのドライバープログラムリスト入りし、同時にコンチネンタルと開発ドライバー契約も結んでいるコチュリンスキーは、北極地域や熱帯雨林、砂漠に泥濘路など、地球上に存在するあらゆる路面環境を設定するというシーズン1に向け、このタイヤ開発プログラムで重要な役割を担うことになる。

「これは私たちにとっても最初の大きなステップだし、競技用オールテレインタイヤの開発という重責を感じると同時に、とてもワクワクしているの」

「(コンチネンタルタイヤは)電気で走るオフロード用競技車両に、初めてこうしたタイヤを供給するメーカーでもあるし、どのような条件で、どのように機能するかを知る絶好の機会になる。この厳しいサーフェスで限界までプッシュして、どういう状況で破綻が起きるか、それに対してどんな改善が可能か、それをぜひ見極めたい」

「私たちはコンチネンタルと協力して、すべての異なる路面に対応する新タイヤを開発していく計画なの。タイヤは車両と路面の重要な接点であり、いいタイヤがなければセットアップで何をしても無意味なことは、どのモータースポーツでも同じこと。どんなイベントでも厳しい条件でパフォーマンスを発揮するタイヤを作り上げたい」

 2019年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの会場でお披露目され、同時にコンチネンタルからのタイヤ供給契約もアナウンスされたオデッセイ21は、引き続き開発プログラムが続けられ2020年夏には12台がデリバリーされる予定。同年秋にはABTスポーツラインやHWA、エイドリアン・ニューウェイとジャン-エリック・ベルニュ擁するヴェローチェ・レーシングなど参戦を表明しているチームが集結してのグループテストも予定されている。

このニュースに関するつぶやき

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定