『同期のサクラ』は明日を頑張る活力をくれる 竜星涼が気付いた自分自身を応援するということ

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2019年10月17日 06:21  リアルサウンド

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(c)日本テレビ

 高畑充希が主演を務めるドラマ『同期のサクラ』(日本テレビ系)が、10月16日に第2話を迎えた。


参考:高畑充希、『同期のサクラ』は『過保護のカホコ』に続く代表作に “終わり”から始まる異色の構成


 本作は、過疎の離島で育ち、夢を叶えるために上京した主人公・サクラ(高畑充希)が駆け抜けた10年間を1話ごとに1年ずつ描き出していくドラマ。「主演・高畑充希×脚本・遊川和彦」の再タッグ、『過保護のカホコ』(日本テレビ系)チームが再集結した作品で、阿部サダヲと宮藤官九郎、ムロツヨシと福田雄一に並び、黄金タッグと呼ばれる未来が見えてくるドラマでもある。


 『同期のサクラ』は、サクラを主人公に置きながらも、彼女以外の同期にもスポットを当てたストーリーになっている。第2話でメインに描かれるのは、清水菊夫(竜星涼)。2019年、心電計と人工呼吸器を付けて眠りにつくサクラに、菊夫が「会社入って2年目のこと覚えてるか? 俺、仕事がきつくて毎日死にそうで、一体何のために働いてんのか分かんなくなった時、お前が救ってくれたんだよな」と話しかけ、入社2年目の2010年5月へと移り変わっていく。


 故郷に橋を架ける夢を持つサクラが希望の土木課ではなく人事部に配属になった一方で、菊夫が配属になったのは営業部。応援部出身で熱血タイプの菊夫は、成績が全ての部長・桑原(丸山智己)と現場の板挟みに合い、怒鳴られる日々を送っていた。月の残業は94.5時間。自宅に帰っても桑原から接待に呼び出され、昼食中にも居眠りをするほど、目に見えて疲弊した生活で、ついに菊夫は倒れてしまう。


 サクラは、過酷な残業を強要されている菊夫を、人事部として、同期として心配していた。病室へお見舞いにやってきたサクラ。忙殺の日々を送っていた菊夫に対し、人事部に配属となったサクラは全ての部と接することで広報や設計部、都市開発部、営業部、一つひとつの部、全体で建物を造っていることに気づき、やりがいを見出していた。2年目にして、自分が今何をしたいのかも分からなくなってしまった菊夫。「俺は、ただ仲間と一緒に働きながら、頑張っている人を応援したいだけなのに……」。そんな、菊夫にサクラは祖父からファックスで送られてきた格言「大人になるとは自分の弱さを認めること」という言葉を送り、今一番応援すべきなのは自分自身だと鼓舞する。


 そして、仕事に復帰した菊夫は桑原に向け、目の前の仕事を自分にしかできないやり方でやりたい、やらされるんじゃなくて、自分がやるべきと思った仕事をやりたいと宣言をするのだ。サクラのように世間知らずで空気を読まずにいれば会社の中では衝突は避けられず、菊夫のように上司の顔色を伺い全ての要求に応えていれば、やがて限界を超えて破綻する。第2話で描かれる物語は、1年目、2年目の新入社員が必ずぶつかる壁だが、菊夫が現場の人たちに愛を持って接していたように、一つひとつの仕事を丁寧にこなしていけば、やがて全体の歯車は回り出す。それが菊夫の強い部分であり、彼の姿に明日を頑張る活力をもらった視聴者も多くいるのではないだろうか。


 第3話で描かれるのは、2011年、社会人3年目で結婚退職を考える月村百合(橋本愛)。予告の中で、震災をきっかけに結婚を申し込まれたと百合は話しているが、『同期のサクラ』は第1話の2009年、第2話の2010年と時代考証がはっきり描かれた作品でもある。


 第1話では2009年に大ヒットした村上春樹の長編小説『1Q84』、第2話では映画化もされた青春小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が登場している。さらには、テレビで報道されている時効廃止法の改正、サクラたちが当たり前に使用しているフィーチャー・フォンもそれらに当てはまるだろう。そんな時代の移り変わりと共に変化していく細部の演出も、『同期のサクラ』を楽しむ一つの要素である。(渡辺彰浩)


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