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巨人は“深爪”幸いでスターを獲得…ドラフト会議で起きた「運命のイタズラ」

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2019年10月17日 16:00  AERA dot.

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写真今年のドラフト会議ではどんなドラマが生まれるのか… (c)朝日新聞社
今年のドラフト会議ではどんなドラマが生まれるのか… (c)朝日新聞社
“令和の怪物”佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)ら注目選手の存在もあり、本日17時から開始されるプロ野球ドラフト会議は大きな注目を集めている。今年も様々な人間ドラマが予想されるが、過去にも選手たちの運命を大きく変える出来事が起こっている。そこで今回は「プロ野球ドラフトB級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、ドラフト会議で起きた“B級ニュース”を振り返ってもらった。

【東尾修が指摘する星稜・奥川の欠点は…】

*  *  *
 当日の朝、爪を切り過ぎたことが、抽選くじの際に思わぬ幸運を呼び込んだのが、1980年の巨人だ。

 この年の1番人気は、東海大の主砲・原辰徳。巨人、大洋の2球団を希望し、「僕はこの2つしか考えてません。ほかの指名はないと思っている。悪いほうには考えない」と最良の結果を信じて朗報を待った。

 だが、人気、実力を兼ね備えたアマ球界のトップスターとあって、広島と日本ハムも参戦。4球団競合の抽選となった。

 最初に大洋・土井淳監督、続いて日本ハム・三原脩球団代表がくじを引いたが、結果を先に言うと、2人とも外れだった。そして、巨人と広島が2分の1の確率で争うことになった。

 3番目にくじを引いた巨人・藤田元司監督は「日本シリーズに登板したとき以上に緊張する」と最大級のプレッシャーを感じながら、箱の一番奥にあった封筒を取ろうとしたが、朝、自宅で深爪をしたことが災いして、うまく掴むことができない。そこで仕方なく、その上にあった封筒を取り出して開けると、「選択確定」と記されてあった。

「無欲の強欲です。うれしいと同時に、大役を果たせてホッとした」と“けがの功名”に藤田監督は大感激。

 もし、深爪をすることなく、一番奥の封筒を取り出していたら、原は広島が引き当てていたことになる。はたして原が赤ヘル軍団の一員になったかどうか、想像するだけでも興味が尽きない。

 皮肉にも“爪の差”に泣いた広島は、外れ1位で左腕・川口和久(デュプロ)を指名。川口は“巨人キラー”として活躍したあと、95年、巨人にFA移籍。現役最終年の原とチームメートになった。これも不思議な因縁と言えるだろう。

 中日・星野仙一監督は、86年ドラフトで、5球団が競合した近藤真一(享栄)を引き当てるなど、「くじ運が強い」というイメージだが、99年のドラフトでは、くじの女神から見放され、やることなすことすべて裏目という悲哀をなめた。

 人材不足といわれたこの年、逆指名制度下にもかかわらず、1、2位とも逆指名で占めたのは巨人をはじめ5球団しかなく、高校生が1、2位で11人も指名された。

 最大の目玉は、高校ナンバーワン左腕・河内貴哉(国学院久我山)。中日と相思相愛だったにもかかわらず、近鉄、広島と競合になり、抽選がウエーバー順で最後の3番目になったことも災いして、タバコの「ラッキー・ストライク」をお守り代わりに持っていた広島・達川晃豊監督(※達川光男氏の広島監督時代の登録名)に先を越されてしまった。残り物に福がない以上、星野監督も腕の振るいようがない。

 続いて2位の田中賢介(東福岡)も日本ハム、西武との競合。今度は逆ウエーバー順で1番くじを引いた星野監督だったが、封筒を見ただけで「またダメだ!」と叫び、結果も確かめず自席に戻ってしまった。その予感は的中し、田中は日本ハムが引き当てた。

 そして、2度あることは3度あった。外れ1位で朝倉健太(東邦)、2位で宮本大輔(延岡学園)の名前を書いて再提出すると、なんと、河内の抽選に敗れた近鉄が宮本を外れ1位で提出していたことから、優先順位で三たび敗れる羽目に……。

 結局、外れ外れ2位で福沢卓宏(滝川二)、3位で山北茂利(トヨタ自動車)と計3人の投手を指名すると、「4位でどうしても欲しい選手はいなかった」という理由で、真っ先に会場をあとにした。

 ちなみにこの年、中日が権利を放棄した4位以下の指名選手からは、ダイエー4位・川崎宗則(鹿児島工)、近鉄5位・岩隈久志(楽天)と後のメジャーリーガーが2人も出ており、これまた裏目?外れ1位の朝倉が通算65勝と活躍したことが救いだった。

 ドラフト史上最もくじ運の悪い男として知られているのが、近鉄、日本ハム監督時代に通算0勝5敗の梨田昌孝氏。くじを外したばかりでなく、その選手が揃ってプロ入り後に伸び悩んだことから、“梨田の呪い”の都市伝説まで生まれている。巨人の原辰徳監督も08年に東海大相模の後輩・大田泰示(現日本ハム)を引き当てた以外は全敗の通算1勝8敗とくじ運に恵まれない。

 そんななかでも、通算成績は3勝7敗、本命1位の抽選は全敗ながら、外れ1位の抽選勝ちでは、無類の選手運の強さを誇るのが、前ヤクルト監督の小川淳司氏だ。

“初登板”の10年は、4球団競合の斎藤佑樹(早大)を外したあと、外れ1位で楽天と競合した塩見貴洋(八戸大)の抽選にも敗れ、「スカウトや球団に申し訳ない」と肩をすぼめた。ところが、外れ外れ1位でオリックスとの競合を制し、“抽選初勝利”で獲得した山田哲人(履正社)が計3度のトリプルスリーを達成するのだから、世の中何が幸いするかわからない。

 その後も小川氏は12年に藤浪晋太郎(大阪桐蔭)、13年に大瀬良大地(九州共立大)を立て続けに外し、2度目の監督に就任した17年にも7球団競合の清宮幸太郎(早稲田実)の抽選に敗れる。だが、外れ1位で巨人、楽天を制して通算3度目の抽選勝ち(2度目は13年の外れ1位・杉浦稔大)で獲得した村上宗隆(九州学院)が今季10代選手史上最多の36本塁打とブレイクしたのは、ご存じのとおり。

 くじを何度も外したからといって、必ずしも運が悪いと言いきれないのが、ドラフトの妙味でもある。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

このニュースに関するつぶやき

  • 伜(明大)の試合を観戦したら、対戦相手(法大)の一塁手に目が留まる。スカウト部長に確認したら、ほぼノーマークでリストアップ。
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  • ドラフト会議がもうすぐ始まる・・・もうドキドキだ!俺が指名される訳じゃないですけどね(笑)
    • イイネ!23
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