東大生の親の9割が実践 子どもの能力が伸びる接し方

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2019年10月17日 19:02  新刊JP

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東大生の親の9割が実践 子どもの能力が伸びる接し方
我が子にいい人生を歩んでほしいという思いはどんな親にも共通するもの。
だからこそ、子育ての方法は悩み多き問題だが、親としてはつい「なんだかんだ学歴社会だし、大学は出た方が有利。となると勉強をがんばらせないと…」という思考になりがちかもしれない。

ただ、だからといって子どもに「勉強しなさい」と強いるのは逆効果。そう話すのは、『子どもに勉強は教えるな-東大合格者数日本一 開成の校長先生が教える教育』(中央公論新社刊)の著者で、開成中学・高校の校長である柳沢幸雄さんだ。
柳沢さんはさらに、子どもに勉強を強いることだけでなく、親が子どもに勉強を教えることも、子どものやる気の芽を摘んでしまう行為だと警鐘を鳴らしている。

■親が本当にやるべきことは

勉強にしても、スポーツや芸術、その他のことにしても、結局は子ども自身が意欲を持って自発的に取り組まなければ、能力は伸びていかない。ならば、親が本当にやるべきことは、子どもに勉強(または他のこと)を強いることではないはずだ。

親ができることは、子どもをよく観察し、その子が好きなこと、得意なことを見つけてやり、それをほめて伸ばすこと、自信をつけさせることです。(P5より引用)

柳沢さんは本書でこう述べている。これは多くの親が納得できる意見だろう。それでは、具体的にどう子どもに接すればいいのか?

■東大生の9割が「親に〇〇してもらった」

ある教育雑誌が東大生184人を対象に行ったアンケートでは、回答者の90.7%が「親は自分の話をよく聞いてくれた」と答え、82%が「よくほめてもらった」と答えた。一方で「勉強しなさい」と言われていた子は全体の4割以下だったという。

ここで注目すべきは「親は自分の話をよく聞いてくれた」という回答だ。柳沢さんによると、親が話を聞くことで、子どもは自分の話が通じたとうれしくなり、安心して自信を持つと同時にもっと上手に話そうとするという。

誰かに何かを伝えるということは、脳をフル回転させる作業だ。子どもはより上手に話すために、知識を総動員し、もっと親に伝わるように工夫をする。すると知識欲が高まり、学ぶことがおもしろくなっていく。結果勉強が好きになる。こうして自発的に能力を伸ばしていく子どもができていくのだ。

子どもを観察し、好きなことや得意なことを見つけてあげる。
「子どもの話をじっくり聞く」というのは、この子育て法を実現するための具体的取り組みの一つなのだ。

■「ほめる」ことの意外な効果

また、アンケート回答にあった「よくほめてもらった」もポイントである。
ほめられることで子どもがやる気を出し、自発的に勉強をしたり知識を吸収したり、あるいはスポーツであれば自ら練習に取り組むようになったりと、その効果は絶大だ。

ただ柳沢さんによると、「ほめる」という行為は、単に子どもの能力を伸ばすだけでなく、親の価値観を子どもに伝えるという点でもとても重要なのだという。

たとえば、親せきの集まりで自分から挨拶ができた時に「はずかしがらずに、一人一人ちゃんと挨拶できて偉かったね」とほめたら、子どもは「そうか、挨拶って大切なんだな。一人一人丁寧にするのがいいんだな」と学ぶことができる。

あるいは、目標に向かって努力したことを「優勝は逃したけど、あきらめずに努力したのが何より素晴らしいと思うよ」とほめれば、子どもは「結果より大切なものがあるんだ。努力することは無駄ではないんだ」と理解する。

「こうあってほしい」という親自身の思いと子どもの言動が一致したときにほめることで、子どもは親の思いを受け取ることができるのだ。



このほかにも、本書では柳沢さんが教育者としての長いキャリアから導き出した子育て論がたくさん解説されている。「子育てに正解はない」と言われるが、だからこそ悩んでしまうのが子育てというもの。

今まさに子育てをしている人も、これから子育てをする人も、本書から学べるものは多いはずだ。

(新刊JP編集部)

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