MotoGP日本GP:中上、怪我を抱えながらも「出るからにはベストを尽くす」と母国グランプリに固い決意

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2019年10月17日 20:51  AUTOSPORT web

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中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)
MotoGP第16戦日本GPの木曜日プレスカンファレンスに中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が出席し、今週末のレースに向けた意気込みや、先日発表された怪我の状況などについて語った。

 会見で2020年の契約について質問されると、中上は「火曜の午後、ふたつのニュースを発表しました」と切り出した。10月15日、中上はHRCおよびLRCホンダとの契約更新について発表。2020年も引き続き、LCRホンダからMotoGPに継続参戦することが明らかにされた。

「一つはいいニュース、一つは悪いニュースです。いいニュースは、HRCと2020年の契約を結んだこと。とてもうれしいことです。悪いニュースは、僕のアッセンGPのレース中に負った怪我のことです」

「僕はこの怪我について話したくはありませんでした。最後の瞬間まで、誰にもこのことを話したくなかったんです。アラゴンGP前、チーム、特にチームマネージャーのルーチョ(・チェッキネロ)と話し合いを持つべきときが来たと思いました。もちろん、HRCとも」

 中上はアッセンGPのレース中に他者と接触して激しい転倒を喫した。当初は右足首をひどく痛め、次戦ドイツGPでは歩くにも松葉杖を使っていた。しかし、レースを重ねるごとに悪化していったのは右足首ではなく、右肩だった。

「アッセンでのクラッシュ後、右肩を痛めました。レースを重ねるごとに、パフォーマンスが失われていったんです。ご存知のように、2019年はとてもハードなシーズンを送っています。残りの3戦に出られないことはすごく残念です。もちろん、バレンシアまで参戦し続けたいと思っていました」

「けれど、現状は難しく、ここ数戦は完走するのさえ厳しい状況でした。サーキットレイアウトにもよりますが、アラゴンは(怪我にとって)とても悪いサーキットでしたし、タイは、バイクを押さえつけるのに苦心しました。力が抜けてしまっていたんです。今は手術をするときなのです。3戦を欠場することにはがっかりしていますが、起こってしまったことです。来季に向けて、ポジティブに考えましょう」

 ちなみに会見では、同じく肩の手術の経験を持つマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が、中上に「(完治には)3カ月かかると医者に言われたんだけど、僕はそれを信じていなくて、1カ月半で治そうと思った。そうしたら、2カ月半かかった。だから、医者の言うことには従った方がいいね」とアドバイス。中上も苦笑いしながらアドバイスに耳を傾けていた。

 実際のところ、中上はアッセンGPでの転倒後、いまひとつ波に乗りれていない感はあった。アッセンGP後のベストリザルトはチェコGPの9位で、2019年に入り常連となっていた予選Q2への進出も、アッセンGP後はQ1どまりのグランプリもあった。こうしたパフォーマンスは、やはり右肩の怪我が影響していたのか、と会見後に質問すると、「今言えるのは……、そうです」という回答が返ってきた。レースごとに、状況が厳しくなっていったのだという。

「ポイント圏外でのレースパフォーマンスだったらきっぱりあきらめて、すぐに手術をしようと思っていました。ただ、なんとか歯を食いしばってここ2戦は10位でフィニッシュできたので、それが日本GPまでがんばろうと思えた理由なんです」

 右肩の負傷は右手の握力にも影響を及ぼした。それはつまり、ブレーキを握るのに必要な力、また、ブレーキングで上体を支える力に影響するということだ。ストップ&ゴーのレイアウトを持つ母国グランプリの開催地、ツインリンクもてぎは、右肩に怪我を抱える今の中上にとって簡単なサーキットではない。それでも中上は「出ると決めたからにはベストを尽くします」ときっぱりと言い切った。

■タイGPで投入のカーボンスイングアームの効果のほど
 タイGPでは中上のホンダRC213Vにカーボンスイングアームが投入された。日本GPでも、ドライコンディションであれば間違いなく使うことになる、と言う。一方、レインコンディションの場合は、雨量にもよるが、さほどパフォーマンスの違いはないということで、フルウエットであれば使う予定はないという。現時点では金曜は雨になるか微妙なところで土曜は雨、日曜日は晴れ予報。どうやら中上がカーボンスイングアームを装着して走行するのは、日曜になりそうだ。

 カーボンスイングアームの印象について、中上はタイGP後、「スロットルワークに対し、リヤのスライドがリニアに感じられる」とコメントしていた。ストップ&ゴーのレイアウトを持つツインリンクもてぎでは、どのような効果が期待できるのだろうか。

「立ち上がりの加速の部分で、グリップがないと(アクセルを)開け足すことができません。最大のグリップ量には変化はないですが、(リヤの感覚が)リニアに伝わってくるので、タイヤのマネジメントに関しては、ポジティブだと思います。その部分については、間違いなくプラスに働くと思いますよ」

「2018年は、レース中盤以降にリヤのグリップが落ちてしまって苦しんだのを覚えています。2019年はタイムが落ちないように、フィーリングをしっかりつかみたいですね。ドライの走行が少なくなりそうですが、そこは(マルケスやカル・クラッチローの)2018年のデータをうまく活用していきたいです」

 右肩に怪我という厳しい条件を抱えながらも、意気込みを見せる中上。金曜からのセッションでは日本のファンの前で、その勇姿を披露することになるだろう。

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