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中国映画の鬼才ワン・ビン監督『死霊魂』が大賞と市民賞に、山形国際ドキュメンタリー映画祭

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2019年10月18日 16:24  シネマトゥデイ

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シネマトゥデイ

写真中国よりビデオメッセージを寄せたワン・ビン監督。 (撮影:中山治美)
中国よりビデオメッセージを寄せたワン・ビン監督。 (撮影:中山治美)

 第16回山形国際ドキュメンタリー映画祭の受賞結果が16日に発表され、インターナショナル・コンペティション部門の大賞にあたるロバート&フランシス・フラハティ賞を、中国のワン・ビン監督による8時間15分の大作『死霊魂』(フランス・スイス)が受賞した。ワン監督の同賞受賞は、第8回の『鉄西区』(2003)、第10回の『鳳鳴(フォンミン)−中国の記憶』(2007)に続いて3度目となる。ワン監督は新作準備中のために来日出来なかったがビデオメッセージで喜びの声を寄せた。


 同作は中国で1950年代に行われた中国共産党による反右派闘争で逮捕され、ゴビ砂漠にある再教育収容所に送られた人々の証言を3部構成にまとめたもの。約3,200人が言われなき罪で粛清され、劣悪な環境下での労働により病気や飢餓で命を落とし、生存者は約500人と言われている。


 ワン監督は彼らに2005年〜2017年に渡ってインタビューを行い、その証言から着想を得て初長編劇映画『無言歌』(2010)も制作している。ワン監督にとってはライフワークとも言えるテーマで、『鳳鳴(フォンミン)−中国の記憶』も右派分子として夫共々収容所に送られた元新聞記者ホー・フォンミンの証言を記録したものだった。


 同作の受賞理由について、審査員を代表して諏訪敦彦監督は「人間の本質に分け入っていく希有な叙事詩である。映画の本質に分け入っていく希有な叙事詩である。存在は最も強力な証拠である。映画が歴史を呼び覚ます」と評した。


 またアジア千波万波部門では、イランの巨匠で2016年に永眠したアッバス・キアロスタミ監督の子息バフマン・キアロスタミ監督が『エクソダス』(イラン)で奨励賞を受賞した。バフマンはテヘランを拠点に映画監督・編集・撮影者として活動しており、ドキュメンタリーの監督作は9本目。


 同作は、トランプ政権による経済制裁のあおりを受けたイラン国内の混乱ぶりを、不法滞在者の視点から見つめたもの。バフマン監督は「多くの素晴らしい作品がある中、審査員は難しい選択を迫れらたと思いますが、この賞をいただけて光栄です」と語った。


 同映画祭は今年で30周年の節目を迎え、会期中176本が上映され、約1万9,000人を動員した。また昨年、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーより公認映画祭の認定を受けており、インターナショナル・コンペティション部門の大賞とアジア千波万波部門の最高賞(小川紳介賞)の2作品は、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画部門に無条件でエントリーされる。今後の賞レースの行方を期待したい。


 受賞結果は次の通り。


【インターナショナル・コンペティション部門】


■ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞・賞金200万円)

ワン・ビン監督『死霊魂』(フランス・スイス)


■山形市長賞(最優秀賞・賞金100万円)

テレサ・アレドンド&カルロス・バスケス・メンデス監督『十字架』(チリ)


■優秀賞(賞金各30万円)

ハサン・ファジリ監督『ミッドナイト・トラベラー』(アメリカ・カタール・カナダ・イギリス)

エリザ・カパイ監督『これは君の闘争だ』(ブラジル)


■審査員特別賞(賞金30万円)

フレデリック・ワイズマン監督『インディアナ州モンロヴィア』(アメリカ)


【アジア千波万波部門】


■小川紳介賞(最高賞・賞金50万円)

ガッサーン・ハルワーニ監督『消された存在、__立ち上る不在』(レバノン)


■奨励賞(賞金各30万円)

サミ・メルメール&ヒンドゥ・ベンシュクロン監督『ハルコ村』(カナダ)

バフマン・キアロスタミ監督『エクソダス』(イラン)


【日本映画監督協会賞】(賞金20万円)


アラシュ・エスハギ監督『気高く、我が道を』(イラン)


【市民賞】


ワン・ビン監督『死霊魂』(フランス・スイス)


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