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北原みのり「生理で『諦める』のはおかしい」

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2019年10月19日 16:00  AERA dot.

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写真北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は生理について。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *
「タンポンって何ですか」

 20歳の大学生に尋ねられ、私は文字通り絶句した。話がかみ合わないなとは思っていた。「今、一番オススメは月経カップ。これでタンポンすら不要!」と最新の生理用品事情を語っていたのだが、彼女が全く反応せず、それどころか怪訝(けげん)な顔を向けるのだ。そこで「もしかしてタンポンは使わない?」と尋ねたときの、まさかの質問返しだった。

 タンポンッテナンデスカ。心の中で棒読みで復唱する。その場にいた私の友人(50代)も、あっけにとられていた。そして私たちは、地の底から這(は)うような太い声で彼女に尋ねたのだった。

「タンポン、知らないの」

 私たちの驚きように彼女がおびえるのがわかった。

「も、もしかしたら私が無知なだけかも。それはどこで売ってるのですか?」

 タンポンを売らないコンビニが増えているという。「でもタンポンないと泳げないよね?」と食い下がると彼女は「生理のときに泳ぐ?」と全身で固まるのだった。彼女の話では、水泳の授業と生理が重なると休むしかなく、そのため体育の単位を落とす女子が必ずいるとのこと。東京都生まれの20歳の現実だ。

 あまりのことに驚き、すぐに会社の20代スタッフ3人に「タンポン知ってる?」と聞くと、皆「知ってるけど使わない」と言うのだった。しかも「生理を理由に体育を休むと、証拠見せろと言われ、血のついたナプキンを見せる学校があるというのをSNSで見た」という情報まで教えてもらい、私は石になった。

 たぶん、昔の人のほうが、膣(ちつ)に綿を入れている。そもそも80年代のほうがタンポンの種類があったが、次第に縮小し、今やタンポンは生理用品市場の2%程度と言われている。テレビCMもないかもしれない。

 それにしても、生理のときに何かを諦めることが前提だなんて、あまりに不自由じゃないか。どうして大人が教えてあげないのか。

 正直いえば、今の時点で私はタンポンを強くは薦められないが(漂白剤を使っている等の理由で)、それでも私の人生、タンポンによって解放された時間がたくさんあった。

 初めてタンポンを使ったのは中学2年生の夏。プールに行く約束をしている友人と「生理になったらどうする?」と話しているとき、「タンポン使えばいいよ」と仲間の一人が教えてくれたのだ。しかも彼女はその場でみんなに1本ずつくれ、「練習しよう」とトイレに誘ってくれた。その日は誰も生理ではなかったけど、私たちは説明書を回し読みし、それぞれ個室に入り「いっせーのせ」と言いながら、タンポンを入れたのだ。今思えば、奇跡のような仲間だった。女友達と一緒に、自分の身体を知っていった。

 そして時代の空気も「ウーマンリブ」の女性たちの「私の身体は私のもの」というメッセージの余韻が残っていたのかもしれない。あの時代、タンポンは、大人の女性の自由の象徴だった。

 そんな空気を懐かしく思いながら、怖がらせてごめん、って彼女に思う。生理の話、これからしよう、もっとしよう。それは女性たちの歴史であり、私たちの人生の話なのだから。

※週刊朝日  2019年10月25日号

このニュースに関するつぶやき

  • #ミサンドリー 批判もあるが、取り敢えずチェック。
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  • タンポン苦手で、4年前から使えるようになりました。ほとんどナプキンですね。生理の時は水泳は休みましたよ。
    • イイネ!15
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