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人気の“マヌルネコ”育成は波乱万丈、「守りたい」飼育員が語る壮絶現場

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2019年10月20日 09:30  ORICON NEWS

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写真献身的な飼育で成長したマヌルネコの子どもたち(写真提供:那須どうぶつ王国)
献身的な飼育で成長したマヌルネコの子どもたち(写真提供:那須どうぶつ王国)
 モフモフの毛並みとずんぐりした体形で、SNSなどでも人気の高いマヌルネコ。だがその一方で、準絶滅危惧種であり、飼育することも極めて困難。彼らを飼育する那須どうぶつ王国の奮闘は、9月に『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ)でも特集され、大きな反響を呼んだ。人工保育によって2匹を育て上げ、一般公開へとこぎつけた同園。その波乱万丈のエピソードと現在の様子を、飼育員の千葉友里さん、広報担当の林健さんら関係者の証言を元に紹介したい。

【成長記録】成長したらもっとモフモフに! マヌルネコ肉球ビフォー&アフターも公開

■飼育難しい準絶滅危惧種、番組の反響も続々「元気でうれしい」

 モフモフの愛らしさと、家猫とはひと味違う野生が共存し、高い人気を誇るマヌルネコ。国内でもわずか16匹しかいないという、準絶滅危惧種の動物である。もともと高山帯などに生息しているため、雑菌に非常に弱く、感染症にかかりやすい。当然ながら飼育が難しく、無事に子どもから大人に育った例はこれまでに国内で3園のみ。ご飯の準備や掃除の際はマヌルネコをバックヤードに移動させて、その間に行う“間接飼育”が行われている(※間接飼育とは、飼育員が直接動物と接しない飼育方法で、ライオンやトラなどの猛獣の飼育にもこの方法が用いられている)。

 そんなマヌルネコの飼育に奮闘する飼育員の様子が、『坂上どうぶつ王国』で特集された。この番組の反響は大きく、同園の広報を担当する林さんは、「園内や電話対応でもマヌルネコの質問が一番多く、展示時間や展示場所などについて聞かれます。ご覧になった際には、『可愛い』『元気でうれしい』という声が聞こえてきますね」と語る。

■「絶対に死なせない」、涙なしでは語れない飼育員たちの奮闘

 那須どうぶつ王国では、もともとボル(オス)とポリー(メス)の2匹のマヌルネコが飼育されていた。母猫のポリーは2017年に4匹の赤ちゃんを出産したが、感染症によりすべて死亡してしまう。そして今年4月、再び8匹の赤ちゃんを出産。1匹は死産となったが、残る7匹の子どもたちは生後5日間、ポリーが育てていた。ところが、そんなポリーが感染症にかかってしまった。子どもたち守るためには、母猫から引き離して人工保育する必要がある。ここから飼育員たちの奮闘が始まった。

 飼育員のブログでは、その際の心境が語られている。

 「ポリーは体調が悪くなったにもかかわらず、必死に子育てをしており、人工保育に切り替えるのは苦渋の決断でした。いざ取り上げるとなったときも、ポリーは子どもたちを取られないように必死で守ろうとしました。今思い出しても、とてもとても心が苦しくなり、きっとあの光景は一生忘れることができません。しかし、取り上げたからには、残った子どもを育てることに気持ちを切り替えて、ポリーの体調の回復と人工保育が始まりました」。

 だが、番組でも紹介されたとおり、マヌルネコの人工保育は容易なものではない。

 「まず防護服、マスク、手袋を着用。全身に消毒液をかけ、靴を履き替え、消毒が済んだら一切何も触れない、関係者以外の出入りを禁止…などのルールを徹底し、感染症を予防。生後しばらくの間は、朝5時から夜中1時まで、担当者と獣医が交代しながらミルクを与えていました。ちょうど混雑するシーズンだったので、みんなとても大変そうでした」(林さん)

 徹底的に除菌、消毒を行い、懸命に人工保育を行っていた飼育員たち。しかし、そんな奮闘努力も空しく、7匹のうち5匹の子どもが感染症で命を落としてしまう。

 「ポリーから取り上げて『絶対に死なせない。どうにかみんなで守る』と誓ったはずなのに、守れなかった。次々と死亡していく子マヌルを見て、胸が張り裂けるような感情と同時に、残っている子をどうにか守るという感情のくり返しの日々でした」(ブログより)

■無事成長し一般公開へ、“二度と触れられない”複雑な心境も

 生き残った2匹の子どもたちは、奮闘の甲斐あってその後順調に成長し、やがてエル(オス)、アズ(メス)と名付けられた。飼育員の千葉友里さんによると、「アズは食いしん坊、エルはマイペースで遊び好き」だそうだ。

 そして7月13日、エルとアズはいよいよお客さんに公開されることに。同時に、人工保育から間接飼育へと移行し、手塩にかけて2匹を育ててきた飼育員は、二度と彼らに触れることができなくなった。飼育員の心の中には、「ここまで育ってくれてうれしい気持ちと、手が離れていき寂しい気持ちと、新しい場所、知らない人がたくさんいる状況で大丈夫だろうか…という心配な気持ち」(ブログより)と、様々な感情が交錯。だが、「人工で育ててきたことを思うと切ないですが、もともとは間接飼育の動物なので仕方ないことだと感じ取れました」(林さん)と、子どもたちを思い、冷静に日々の飼育を続けている。

 このように、とても繊細で手のかかるマヌルネコだが、千葉さんは彼らの魅力について「野生下での生息地に適した身体能力やその姿に感心することが多いです」と語る。「野生動物としての凛々しい姿や、たまに見せる表情の変化にも注目してみてください。父親ボル、母親ポリーの落ち着いている様子と、まだまだやんちゃな子どもたちエル、アズの動きをぜひ比較してみてください。じゃれている姿は今しか見られないかもしれません」。

 同園では、YouTubeやTwitterでもマヌルネコの動画や写真を公開。「予想以上の反響で、直接マヌルネコを見に来るお客様が増えました」と林さん。実際に観覧する際には、「他の動物にも言えることですが、ガラスを叩かない、フラッシュ撮影禁止など、動物を怖がらせる行為はご遠慮ください」(千葉さん)とのメッセージを送っている。

 見た目の可愛さももちろん、その背景にある人工飼育の大変さ、飼育員たちの奮闘努力にまで思いをはせれば、また新たな感動が得られるかもしれない。

(文:水野幸則)

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