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「日本の柱」石川祐希はイタリアでやるべきことを知っている

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2019年10月21日 06:21  webスポルティーバ

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 バレーボール男子のワールドカップ(W杯)が終了してから2日後の10月17日。熱気が冷めやらぬ中、石川祐希の姿が成田空港にあった。10月20日に始まるイタリア1部リーグでのプレーに向け、契約したパドバに合流するためだ。


 報道陣に囲まれて取材を受ける石川。それを見つけた空港にいる旅行客が、スマートフォンを向けて写真を撮る。W杯での活躍で、日本のエースの注目度が上がったことは間違いない。

「これからすぐにシーズンが始まる。その先に五輪を見据えているので、そこで結果を出すために、シーズンをより充実したものにしたい」

 そして、決意を込めてこう言った。

「また強くなって、日本に帰ってきたいと思います」

 自身2回目の出場となったW杯は、19歳で初出場した前回とは立場が異なり、求められるものも違った。それは十分に自覚していた。大会前には「まだ年齢的には下から2番目だけど、代表歴でいうと上になる。チームを引っ張っていく、といったことを考えて臨む大会になる」と話していた。

 W杯本番では、その言葉どおりの活躍を見せた。苦しい場面でトスが上がっても、3枚ブロックにつかれても、鋭く打ち抜いて得点を積み重ねていく。全体5位となる159点を挙げ、スパイク決定率では52.09%という高い数字を残した。スパイクの総数は、チームでもっとも多い263本。守ってはチーム2番目の183本ものサーブを受けた。まさに「日本のエース」と呼ぶにふさわしい活躍ぶりだった。

 プレー面だけでなく、精神面でも確かな進化を見せた。

 フルセットの激闘を制した10月11日のエジプト戦。19歳にしてオポジットのレギュラーを張る西田有志(ジェイテクト)が、第4セット終盤に乱調に陥った。スパイクをネットにかけ、ブロックされ、アウトにしてしまう。それが原因となって19−16の3点差を守り切れずに逆転でセットを落とした。そのまま負けのムードになってもおかしくない中で、石川は周囲にこう声をかけた。

「西田は大丈夫だから、ほかでカバーしよう」

 あえて鼓舞せず、慰めもしない。それは、しっかりと考えての言動だった。

「彼が悩んだりするとよくないので、『気にするな、思い切りプレーしろ』と。ほかの選手にも、たくさん声をかけすぎてもよくないと思ったので」

 西田は振り返る。

「すごく温かい言葉をかけていただいた。それが5セット目に生きたと思います」

 5セット目、石川の言葉に支えられた若き点取り屋は立て直した。ブロックで相手エースを止め、スパイクを決め、サービスエースも奪った。「みなさんが引っ張って戻してくれた」と西田は言った。

 時には、激しくチームを鼓舞した。10月10日のロシア戦は第1セットを奪ったが、第2セットをあっさりと落とした。「もう一回(チームを)締めないといけないなと思った。第3、第4セット目は、そう意識して言葉をかけていました」と振り返るように、コート上では周囲に輪ができ、中心にいる石川が何度も声をかけていた。

 プレー面でもメンタル面でも”日本の柱”に成長した23歳は、イタリアで過ごす今季、何を目指すのか。

 答えは2つあった。ひとつは、体力を強化すること。15日間で11試合という長丁場のW杯を戦い抜き、「前半はよかったけど、後半に体力がもたないところがあった。スパイクをしても、ディフェンスをしても、パフォーマンスが落ちないプレーヤーになることを、この1シーズンで目指していきたい」と力強く言った。
 
 そのためにトレーニングをするのはもちろんだが、「試合でも積極的に打ちにいくし、拾いにいく。カバーやブロックフォローに入ったり、トスを上げにいったりということしたい。運動量をコートの中で上げることを課題として取り組んでいきたい」という。
 
 東京五輪では2日に1試合のペースで行なわれるため、今回ほど過酷な日程ではない。しかしW杯のように、開催国の特権で試合開始時間が固定されるようなことはない。そして、対戦相手も強豪国ばかりになってタフになる。体力は今以上に必要になるかもしれない。

 プロ1年目だった昨季は、ケガをしない体を作ることと、全試合スタメンで出場することを目標に掲げ、見事にそれを達成した。きっと、彼ならこの目標にも達することができるだろう。

 そしてふたつ目は、相手と駆け引きする力だ。優勝したブラジルとの第2セットでの出来事を、石川は鮮明に覚えている。22−21でライト側にいる石川にトスが上がった。相手のブロックは3枚。一番アンテナに近い位置にいたリカルド・ソウザからブロックアウトを取るべく、スパイクを打った。しかし、石川が打つ直前にリカルド・ソウザがブロックに出していた両手を引いていた。結果はアウトになった。

「ひとつ先のプレー、相手のプレーを読んで動いている」

 バレー王国ブラジルを背負う、世界最高のエースのひとりとの差を、石川はそう語った。だが、今はまだ差があっても、世界のトップ選手が集まるイタリアでプレーするからこそ、その差を埋めることができるとも考えている。「技術がないとできないこと。それをすることによって、技術力は間違いなく上がると思う」。先を読み、相手が嫌がるプレーを身につける。これも、今季の自分に課した課題だ。

 プロ選手である石川は、「今は、プレーオフに進むことしか頭にないないです」と笑って言った。しかしパドバで結果を出すことは、すなわち石川がレベルアップすることであり、結果として東京五輪にもつながっていく。

 約半年間にわたる、イタリア1部リーグでの戦い。石川はそこで何をつかみ、どんな成長を遂げるのか。半年後、日本のエースはどんな顔つきで日本に帰ってくるのだろうか。

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