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死刑囚・林眞須美の夫「21年目の告白」 和歌山毒物混入カレー事件

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2019年10月22日 09:11  日刊SPA!

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日刊SPA!

写真林眞須美死刑囚(右上)と夫の林健治氏
林眞須美死刑囚(右上)と夫の林健治氏
◆証拠ナシ、自白ナシ、動機ナシ……

「仮にね、今、眞須美が出所しても僕は抱きしめられないかもしれへん。あれから21年、あいつも体が大きくなって、腰に私の手が回りきる自信がないですわ(笑)。」

 こう話すのは林健治氏(74)。’98年7月25日に発生した「和歌山毒物混入カレー事件」の犯人として’09年に最高裁で死刑判決を言い渡された林眞須美(58)の夫だ。

 ご記憶の人も多いだろうが、同事件の舞台となったのは地区の夏祭りだった。そこで振舞われたカレーにヒ素が混入。口にした67人が急性ヒ素中毒となり、うち4人が命を奪われた。直後から前代未聞の無差別殺傷事件として報道が過熱。そのなかでクローズアップされたのが林眞須美だった。

 当日のカレー鍋の見張り番だったうえに、不審な行動をとっていたという目撃証言も浮上。夫らにヒ素を盛って保険金を不正請求していた“前科”も判明して、事件から約2か月後に逮捕されたのだ。

 このとき健治氏の関与も疑われたが、事件と直接関係のない保険金詐欺の疑いで逮捕・起訴。’02年に懲役6年の実刑判決が確定し、’05年に刑期を終えている。

 その健治氏がなぜ今、眞須美死刑囚への思いを口にしているのか? それは10月で逮捕から21年を迎えた今も、事件が謎に包まれているからにほかならない。決め手となる物的証拠もなければ自白もなし。動機も明らかにされぬまま、状況証拠だけで有罪が言い渡されたのだ。そのため、林眞須美を含む家族は一貫して犯行を否認。現在、裁判のやり直しを求めて再審請求を行っている。

◆死刑囚・林眞須美の夫と息子「21年目の告白」

健治氏:何枚も送りつけられてきた離婚届も、最近ではまったくこんようになった。今は眞須美に会いに、頻繁に大阪(拘置所)に行っとる。眞須美が言うんよ。「あんた、体には気をつけなあかんよ。生きてるうちにもう一回証言台に立ってもらうことになるかもしれへんから」と。

――解決したはずの事件がまた動きだす……そう匂わせながら死刑囚の夫は10月某日、小誌(週刊SPA!)記者らを和歌山市内の自宅に招き入れた。事件当時は賭け麻雀や保険金詐欺で生計を立てるヤクザな生活がクローズアップされた健治氏。「競輪で稼いだ札束をポリバケツに入れて持って帰ってきてな、三女に上からパーッと振りかけて写真撮ってなぁ」などと振り返るが、現在は生活保護を受給中だ。やや覇気のない声で事件を語り始めた。

健治氏:まず、はじめに言っておきたいことがあるんや。それは、私は保険金詐欺では逮捕されたけど、カレー事件に関しては一貫して否認しているということ。今でも「カレー事件の遺族の方に言いたいことは?」と聞かれることもあるけど、やっていないことやから謝罪のしようがない。

 もちろん、私が眞須美の無実を信じている根拠はいくつかある。そのうちの一つが検察の取り調べ。検察は、私を「眞須美に毒を盛られた被害者」に仕立てあげようとしたんや。判決では眞須美と共謀して1億6000万円の保険金を詐取したいうことやったけど、実際に騙し取った総額は8億円にのぼる。懲役6年やったけど、4年7か月で出てこれた。不自然に短すぎると思わん? 私が毒を盛られた被害者にされたからですよ。

 取り調べは本当ヒドいもんやった。検察は「眞須美はオトせない。頼むから眞須美にヒ素を飲まされたと書いてくれ。そうしたら八王子の医療刑務所に入れてやる」と、あの手この手で私を引き込もうとしてきた。本当に眞須美が犯人という確証があれば、こんなやり取りはせんやろ。

 私は保険金をもらうために自分でヒ素を飲んだんです。飲んだのは22回(検察発表では林眞須美の“毒盛り”は23回)。何度かは、量が多すぎて死線を彷徨ったわ(笑)。ヒ素いうのは、素人が扱って量を見誤ると死に直結する。私はシロアリ駆除業を営んでいたから、ある程度の知識はあった。仮に、眞須美が私にヒ素を盛っていたら私はもうこの世にいないはずや。

――事件直後は妻を疑ったこともあった。「お前やったんか?」と詰め寄ったこともあった。しかし、「『何でそんな1円にもならないことをせなあかんの?』という眞須美の即答に妙に納得した」という。一方、「ヒ素は自分で飲んだ」という主張は林眞須美の控訴審で健治氏自ら証言している。しかし、妻を庇うための嘘と退けられた。こうして事件前からヒ素を盛っていた林眞須美像がつくられたという。

健治氏:「眞須美でなければ犯人は誰なのか?」ということ。ここからはあくまで私の推測ですが、当時ウチの近隣では複数の飼い犬が青酸化合物を混入された毒物で殺されるという事件が相次いだ。カレー事件も、発覚当時は「青酸カレー事件」と報道されたやろ。食べ残しのカレーから青酸化合物が検出されたからやけど、そのことはうやむやのまま捜査対象から外れた。犬を毒殺した犯人はなぜ捜査されなかったのか。そこが、真犯人解明の肝だと思っている。

 あの当時、ウチから少し離れたガレージにヒ素があったことを知っていたのは複数いた。さらに当時の和歌山では、ちょっとした農家なら誰でもヒ素は簡単に手に入ったからな。ヒ素を1000倍に薄めて噴霧すると、みかんの甘味が増すんですよ。

 家宅捜索でウチの台所のシンク下から「白アリ薬剤」と書かれた容器に入ったヒ素が見つかって、それがカレーに混入したものと一緒とされたけど、そんな容器を家族の誰も見たことはなかった。容器に誰の指紋もなかったしな。そもそも、あれだけ騒がれていたら、そんな証拠を残しとく犯人なんかおらんやろ。

◆殺人犯と前科者の子供という十字架

――林家には事件当時、中学3年生の長女に、中2の次女、小5の長男、4歳の三女がいた。彼女らは、殺人犯と前科者の子供という十字架を背負って、その後を生きてきた。事件については熱弁する父も、子供の話になると歯切れが悪い。

健治氏:子供たちには辛い思いをさせて本当に申し訳ないことをした。長女の顔も次女の顔も、もう何年も見ていない。昔は「お父さんのせい」と面と向かって言われたこともあったな。ただ、息子は今では私の代わりにマスコミの取材を受けることもあるし、三女もフラッと正月に顔出して、私にお年玉をくれることもあるんや。本当にべっぴんさんでな。優しいコに育ってくれたと思う。

 今年に入って次女からは十数年ぶりに電話があってな。「お父さん、本当にあの事件ママがやったと思ってる?」と短い時間やったけど、少し事件のことを話した。眞須美の面会に行っているのは、私と息子だけで、娘たちは顔を出してないみたいや。

――事件の話に戻せば「今年は大きな動きがあるかもしれへんな」と話す健治氏だが、「再審に影響が出る」として多くを語らず。代わって父と共に無罪を訴え続ける息子の浩次氏(仮名)が、事件の真相を紐解くカギについて語ってくれた。その詳細は後日更新予定。

◆<和歌山毒物カレー事件年表>

1998年7月25日 和歌山市園部地区の夏祭りで毒物カレー事件発生

   10月4日 殺人未遂と保険金詐欺容疑で林眞須美を、詐欺及び同未遂容疑で夫・健治を逮捕

   12月9日 カレーへの亜ヒ酸混入による殺人と殺人未遂容疑で眞須美を再逮捕

2000年10月20日 眞須美と共謀した保険金詐欺で健治被告に対して懲役6年の刑が確定

2005年6月7日 林健治受刑者が刑期を終えて滋賀刑務所を出所

2009年4月21日 最高裁第三小法廷が眞須美被告側の上告棄却。死刑が確定

2014年5月20日 京大の河合潤教授が「判決内容はヒ素の純度などの点から矛盾がある」との見解を公表

2017年3月29日 和歌山地裁が第一次再審請求を棄却。弁護団は翌月大阪高裁へ抗告

▼保険金詐欺で8億円荒稼ぎした林家の実態
実際には8億円以上のお金を保険金でだまし取ったと話す健治氏は大半を博打や散財で失ったという。時には1日で競輪に1000万円つぎ込んだことも。しかし逮捕時には「4億7000万円の現金がウチに残っていたはずだが、そのうち2億円がいつの間にか消えた」と話す。その消えた2億円はいまだ見つかっていない

取材・文/栗田シメイ 撮影/加藤 慶
※週刊SPA!10月21日発売号より

このニュースに関するつぶやき

  • え?捕まったとき30代だったのにビックリだ!◆◆◆
    • イイネ!3
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  • すげーな。死刑囚で囚われの身なのに、太るってwww どういう神経してるん?
    • イイネ!29
    • コメント 17件

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