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災害大国ニッポンの家探し - これから家を買う前に知っておくべきこと

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2019年10月23日 17:32  マイナビニュース

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今年の台風19号は全国で多大なる被害をもたらしました。亡くなられた方やケガを負われた方も多く、少しの配慮で命を守ることができたかもしれないことを考えると、住まいに関する災害知識は不可欠だと改めて思います。

FPの資格を取得してから、新聞を中心に災害関連の記事を切り抜いて保存するようにしています。見返してみると、その中には今回の集中豪雨の被害と同じ内容の記事も数多いほか、東日本大震災の被害を数年前に的確に想定したした記事もありました。災害大国の日本において、災害は決して対岸の火事ではなく、自分の身にも起こり得ることと自覚し、日ごろから防災について考える習慣が必要です。今回は、自分の身を守るための"城"とも言える"住まい選び"について、防災の観点から考えてみたいと思います。
○住まいは生命と財産を守る器でなければならない

「生命と財産を守る器」、住まいの役割はこれにつきます。命と財産を守れない住まいは意味がありません。災害大国と言える日本では、どんなに安全と思われる地域でも、どんなに丈夫な住まいであっても、自然の猛威によって多大なる被害を受ける場合もあります。それでもできる限りの配慮でリスクを最小限にすることが、何よりも考えなければならないことなのです。

しかし実際には、新しく住まいを購入する際に、その土地のハザードマップを確認する人はどれほどいるでしょうか。ほとんどいないのではないかと思います。また、そもそもハザードマップすら万全ではありません。東日本大震災では、ハザードマップの外側に亡くなわれた方が集中してしまいました。「ハザードマップの外は安全」と思いこみ、ハザードマップが被害を大きく可能性すら考えられるのです。

東京都の東側は広大な利根川水系です。本格的に利根川水系の各川が氾濫したら、最大3〜4階までもが浸水し、その状態が1〜2週間続くと予測されています。5階以上しか安全ではないということになります。災害が年々大規模化していることを考えれば、ハザードマップ以上の災害も想定しなければならないでしょう。また今回の豪雨で西側の多摩川水系で氾濫が発生したことは記憶に新しいと思います。

災害には段階があります。水害を例にすれば、河川の広域氾濫もあれば、下水管から水があふれる内水という浸水もあります。私の住む場所も利根川水系ですので、洪水の危険はあります。しかし土地は内水回避のために土盛りが施されています。しかし、周囲のマンション群は後から建築されているにも関わらず、そのような配慮すらされていません。

住まいの購入を検討する際には最低限ハザードマップを確認し、インターネットで過去の災害を検索してみてください。地域の弱点が被害状況から読み取れるはずです。
○住まいは災害で失ってはならない資産である

前述したように、住まいの役割は「生命と財産を守る器」ですが、同時に住まいは多大な資金を投与して獲得した"資産"でもあります。その資産が災害に対して脆弱な環境にあったり、脆弱な構造であったりして良いわけがありません。ほとんどが住宅ローンを借り入れているはずなので、住まいを失ったり損傷したりすれば、ローンだけが残るという最悪の事態も考えられます。数千万円の資産を守るために、購入前に災害チェックは是非行ってください。

また、"住まい選びはふるさと選び"でもあるということも考えてほしいです。東京を例にすると、周りの同年代の友人や同僚で「東京生まれ」「東京育ち」の方はどれぐらいいるでしょうか。「東京生まれ」だとしても、そのご両親はどうでしょうか。それほど多くはないでしょう。つまり、地方から移り住んできた方には「東京が故郷になる」という意識は低いように思います。

しかし、新しく住まいを購入するということは、その地域が自分の子どもたちにとって、まぎれもなく故郷になることを意味します。親は子どもの安全を確保すると共に、安全な故郷を与えなければなりません。子どもたちにとって近所の友人たちとともに成長し、その地域に根差して生きていくというのは幸せなことだと思います。グローバル化の時代ですので、同じ地域に住み続けるかどうかは誰にも分りませんが、少なくとも故郷になりうる環境は与えるべきだとは思います。
○災害の種類と対策

災害には下図のようにさまざまな種類があります。社会環境が自然災害を誘発することもあり、自然災害が発生した際に「これは人災だ」という報道もよく見られます。

しかし、災害の要因や対策の責務がすべて施政者にあるという考えを続けていると、肝心な自分で自分を守るための対策が遅れ、災害被害を大きくしかねません。基本的に自分の身を守るのは自分でしかありません。自分の命を自治体職員に任せて良いわけがありません。自治体の対策は重要ですが、自分でできる対策を万全にすることが何よりも大切なのです。
○【災害に備える家探し(1)】しっかりと情報収集を行う

では、これから住まいを購入する方はどのような注意が必要でしょうか。表題にあるように、日本は災害大国です。程度の差はありますが、どこに住もうと完全に災害から免れることは難しいでしょう。最低限、自分でできる対策を考えてみましょう。
○・ハザードマップの確認

但し、過信は禁物です。ハザードマップ以上の災害も想定して対策をすることが重要です。特に最低限、内水被害のない土地や対策(土盛り)をした土地であるかを確認しましょう。電気系統の機器がどこにあるかも重要です。年々海面は上昇します。海抜の低いエリアで戸建て住宅に住むのであれば、相当に綿密なリスク対策を立てる必要があります。
○・ネットで情報収集

インターネット検索では過去の災害の情報が幅広く入手できますので、具体的な災害状況がわかります。また、治水対策が不十分であった過去に災害を経験したことがある、土地の古老に話を聞くのも有意義です。
○・地形を見る

上記の図の「自然環境」の欄にある被害が想定される地域であるかないかをチェックします。一つはそのエリア全体の災害状況を判断します。もう一つはその敷地独自のリスクをチェックします。

また「社会環境」の欄にある造成地などの不同沈下や擁壁も要注意です。擁壁は人工物ですので耐用年数があります。また所定の水抜き穴がないなど、違法な擁壁も少なくありません。かつて横浜にあるマンションの裏の崖が崩れ、3階まで埋まってしまった事故もありました。敷地が崖や擁壁の上、または背後に崖や擁壁があるなどの敷地は要注意です。
○・地盤を調べる

地震が起きるたびに液状化もニュースになります。海辺の造成地はそのリスクも想定しなければなりません。市区町村などでは地質調査結果などのデータが保管されていますので、近隣のデータを参考にすると良いでしょう。ネットで無料の地盤状況を確認できるサイトもあります。詳細に読み解くには専門的知識が必要ですが、古地図でその土地が何に利用されていたかを確認したり、古い等高線図などを見たりすると、一見平らな土地に見えても、谷を埋め立てた土地であることなどが判別できる場合があります。
○【災害に備える家探し(2)】建物性能でカバーする

震災を受けやすい土地に住まざるを得ないのであれば、建物構造でカバーするしかありません。災害に負けない、災害リスクを少なくする対策が求められます。
○・水害から守る

水害には「外水(河川の氾濫)」「内水(下水管のオーバーフロー)」「津波」の3つがあります。マンションであっても「内水」対策がなされているものを選びたいものです。電気系統の設備がどこに設置されているかも重要です。浸水で電気系統が故障したら水道も止まり、電気も止まり、エレベーターも使えなくなります。トイレも下水管がオーバーフローして汚水があふれたり、地震で配管が途中で壊れたりしているケースがあるので使えなくなります。

また「外水」や「津波」の被害を受ける恐れのある地域は、マンションでも低層階は避けた方が無難です。反対にあまり高層階だと、エレベーターが止まったときは、悲惨なことになります。各階に非常食の備蓄倉庫があればよいのですが、高層階の住民であれば、自営のためには相当の食糧備蓄が必要でしょう。

戸建て住宅の場合は、堅固な建物であることはもちろん、できれば3階以上、さらに屋上に避難できる構造があればリスクは抑えられます。家族分のライフジャケットとゴムボートも用意するくらい念を入れたいものです。海抜の低い地域の場合、水害が起こった際に避難できる場所は相当な遠方になります。マンションなどの高い建物はあっても、オートロックになっているのが普通で、いざというときに駆け込めるとは限りません。

ディズニーランドがある千葉県の浦安市は、かつて漁師町でした。現在も江戸末期や明治初期の住宅が残っています。それらの家には必ず、水害避難用の屋根裏部屋があるのです。当時、自衛は当たり前だったのです。
○・地震や火災から守る

耐震性能や耐火性能、さらにしっかりした施工も重要です。「性能評価制度」などを利用して、災害に強い住まいを選びましょう。マンションでも通常の基準よりも高い耐震性能で作られたマンションも見つけることができるはずです。
○【災害に備える家探し(3)】専門家からアドバイスを受ける

耐震性能偽造問題(姉歯問題)が取りざたされて時が経ちました。私は設計変更可能な新築マンションの販売にあたり、設計変更の仕事を担当していたことがあります。この際、購入者が設計変更箇所の施主チェックを行う際に、建築士に同行を依頼するケースが見られました。できれば購入前に同行してもらうことをお勧めします。マンションのモデルルームには設計の内容が記された「設計図書」が備え付けられています。不運にも耐震不足マンションを購入された方も、購入前に設計図書を専門家である建築士に見てもらえば、異常な設計が一目瞭然だったのです。

現地に同行してもらえば、周辺の地形などから災害リスクも判断してもらえます。グーグルマップで事前診断が可能な場合があります。地形の見極めや地盤の数値判断は専門知識も必要ですので、是非一緒に現地をチェックしてもらうことをお勧めします。
○自分の身は自分で守る

被害を行政の不備とする傾向もありますが、所詮、人工物は凄まじい自然の猛威には勝てません。巨大堤防には途方もない税金がかかりますので、海辺と川沿いをすべて巨大堤防で囲うわけにはいきません。

私は群馬と東京の2地域居住をしていましたが、群馬の住まいがあったエリアは東京で想定しなければならない災害はほとんどありません。防災の観点で優良にもかかわらず、東京に比べて空き家が多く、耕作されていない畑も多かったことには驚きました。利便性などを考えると、首都圏のように災害が多いエリアに住むという選択肢を選ぶことも理解できます。しかし、そうであれば、自らその対策は行わなければなりません。

災害を人災として行政の不手際を論じるだけでは、自分で自分の身を守るという基本的な認識が育ちません。ますます被害を大きくすることにもなりかねません。日ごろから防災について考える習慣を身につけるように心がけましょう。

○筆者プロフィール: 佐藤章子(さとうあきこ)
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。(佐藤章子)

このニュースに関するつぶやき

  • 古くから人が住む地域は宅地として地盤も安定していそうです、葛西や小杉の様に最近宅地整備を整のえた埋め立て地や造成地がそうなるには、本当は何十年もかかるのでしょうね
    • イイネ!0
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