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シメオネ主義炸裂。アトレティコ「この10年で最低の試合」でも勝つ

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2019年10月23日 17:52  webスポルティーバ

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 ディエゴ・シメオネは、やや遅れて試合会見場に入ってきた。ロッカールームでどんな檄を飛ばしていたのか。激情の人だが、音もなく席に着いた。その表情は明るくも暗くもなく、自ら”色”を押し隠しているようだった。

 試合内容は低調を極めた。実は開幕以来、勝ち星は稼いでいるものの、調子は上がっていない。GKヤン・オブラクを中心にした守備は健在だが、ボールがつながらず、ゴールは不発。MFコケに対しては、辛辣なブーイングまで浴びせられた。終盤、途中出場のアルバロ・モラタのゴールがなかったら、叩かれていたはずだ。

「不安があるのは普通なことだ。チームは確実に成長しているが、改善点もある。最後のところ、そこの可能性を高めるためにするべきことはあるだろう。ゴールは自信を与えてくれる。勝つことで活気付く。その意味で、モラタのゴールはチームをひとつにする点で大きかった」

 シメオネは静かな声音で言っている。勝つことで見える景色があることを、指揮官は知っているのだ。

 10月22日、ワンダメトロポリターノ。チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第3節、アトレティコ・マドリードはドイツのレバークーゼンを迎えていた。1勝1分けのアトレティコは、ユベントスとの首位争いを制するため、負けられなかった。週末のリーグ戦で、バレンシアに追いつかれ、勝ち点を落とした悪い流れを断ち切る必要もあったはずだ。

 しかし、アトレティコのプレーは重かった。選手同士の距離感が悪く、前に進めない。それぞれのポジションでノッキングを起こしていた。ポルトガル代表の新鋭、ジョアン・フェリックスがケガで不在の影響はあったが、もっと深刻な問題のようにも見えた。トーマス・パーテイ、サウール・ニゲス、コケという3人のMFがあっさりとボールを奪われ、カウンターを浴びているのだ。

「我々はコンパクトにプレーし、ほとんどチャンスを与えていない」

 レバークーゼンのペーター・ボス監督は語ったが、大げさではなかった。

 後半が始まっても、プレーは改善していない。ひとつ明らかなのは、サイドで起点になれるアタッカーがいなかったことだろう。センターMF的なキャラクターを持つ選手ばかりを並べ、動きに流れが出なかった。

「この10年で最低の試合だ!」

 番記者たちも、その起用法に苛立っていた。

 もっとも、シメオネはその布陣を意図的に用いていた。4人のセンターMFでバックラインの前の防御線を敷いていたのである。

「相手の戦いを研究したが、攻守の切り替えのところで苦しんでいた」

 シメオネはそう言う。相手のボールを中盤で奪い、カウンターに転じる布陣だった。確かに、攻め込むことはできなかったが、攻められてもいない。

 そして後半終盤、アトレティコが地力の差でジリジリと押し始める。71分にコケに代え、ストライカーのモラタを投入。76分にレバークーゼンの若きエース、カイ・ハヴェルツが交代すると、両者の”質量”に差が出た。そして79分だった。交代で入ったトマ・ルマールからレナン・ロディに展開。左サイドからのクロスを、エリア内に入ったモラタが頭で豪快に叩き込んだ。

 アトレティコは、交代カード3枚で試合を決めている。1−0の勝利は効率がよく、シメオネの作戦どおりとも言える。レバークーゼンに反撃の余力は残っていなかった。

 士気の高さで相手を打ち負かす。そのためにはたとえ不細工でも、まずは鉄壁の守備を固め、敵の弱みをつくのは定石だろう。シメオネは、サッカーに美しさなど求めない。彼にとっての究極の美しさは、勝利なのだ。

 決勝点が入る直前、象徴的シーンがあった。相手とのコンタクトプレーでモラタが倒される。ファウルの判定でもおかしくなかったが、この日の審判はプレーを流す傾向が強く、笛を吹いていない。それに対する怒りだったのか。モラタは猛然とプレスを仕掛け、相手のビルドアップを阻止。そうして敵を押し込んだところで、得点は生まれたのだ。

「外から見た人はいろいろなことを言う。でも、僕らはリーグ戦で首位と勝ち点差3だし、チャンピオンズも3試合で7ポイント。大事なのはどのように勝利するかよりも、実際に勝利を重ねること。サッカーは、今日のようにゴールひとつで劇的に変わるからね」

 試合後のモラタの言葉だ。これぞ、シメオネ主義というべきか。勝利によってのみ、プレーもよくなる。CLは第3節を終了し、ユベントスと勝ち点で並び2位だ。

「我々はリーガであれ、チャンピンズであれ、国王杯であれ、いつも決勝戦のつもりで戦っている。1試合、1試合を戦う」

 シメオネの決め台詞である。


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