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巨人ファン阪神ファンの間でも“長打が好き”で通じることも 共通点を見つけて仲間を作る「インクルーシブマーケティング」の価値

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2019年10月24日 09:21  ログミー

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ログミー

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Webだけでは、相手との距離感まではわからない

尾原和啓氏(以下、尾原):そうですね。あら、あと10分だわ。

伊藤羊一(以下、伊藤):はい。10分間で質問があれば。

(会場挙手)

はい、じゃあいきますか。じゃあ2番目。

尾原:いいですね、「0秒で動け」ですね。

質問者1:すごく参考になるお話、ありがとうございます。質問が2つ、それぞれ尾原さんと羊一さんにお聞きしたいです。

尾原:はい。

質問者1:まず羊一さんに。「リアルな場が大切だ」というお話されましたが、僕はリアルな場となると、熱が上がって、その熱をずっと維持するイメージを持っているんです。羊一さんが初対面の場やリアルな場で大事にしていることは一体何なのかを教えてください。

伊藤:なるほど。

質問者1:尾原さんのほうには、お話の中で「変化の時代」という言葉がけっこう出ていました。尾原さんが考えている「変化の時代」というのは、いつごろから始まり、いつごろ終わると想定されているのでしょうか。もし仮説があれば教えていただけると助かります。お願いします。

伊藤:僕はリアルが大事というより、「リアルを1回経験しておくだけで、ずいぶん違うよ」ということで、1回はリアルのコミュニケーションしようね、と言っているんですね。そういうリアルなときは別に話す内容は関係なくて、feelが大事なんです。

ブルース・リーが「Don’t think, Feel(考えるな。感じろ)」と言っている、その「feel」はなにか。要はその人のちょっとした視線の動き、汗ばんでいないか、キョドり具合、手の動かしようなど、そういうのを含めてその人じゃないですか。でもそれはWeb会議じゃわからないんですよね。

「今僕と相対するあなたは喜んでいるね」「ちょっと緊張気味だね」とか、匂いや感じる全部を含めてそうなんです。ということで、要するに距離感。距離感はWebでは絶対にわからないんです。なので、「その人との距離感はどうなんだろう」みたいなのはすごく意識しています。

逆に言うとそれだけなんですよね。それで「距離感はこういう感じね、OK」となったら、Webでその距離感を、バーチャルで表現すればいいという。

質問者1:ありがとうございます。

深海魚のように変化しないところで生きるのもひとつの選択

尾原:じゃあ、どのぐらい「変化の時代」なのかを考えているかで、その「変化の時代」がいつごろから始まって、いつ終わるのかという話ですね。

答えから言うと、別にいつの時代でも変化の部分はあるし、変化しない部分もあります。正直僕は、自分がやっているビジネスの私塾だと、「変化しない場所探して生きたほうが楽だよ」という選択肢も言っているんです。そういうのは楽天の中で「深海魚ビジネス」と言っています。

伊藤:へぇー。

尾原:要はもう「ドライナッツ好きの人」とかと、そんなに変わらないわけですよ。

伊藤:あぁ、なるほど。

尾原:「競技水泳好きの人」とかと、そんなに変わらないんです。だったら徹底的に「競技水泳が好きな人は、何にお困りになるか」をわかっていれば、いかにAmazonが入ってきたとしても「結局この水泳にはこの水泳帽が合いますよ」「あなたがこのぐらいのステージに来たら、たぶん次こういう泳ぎ方がやりたくなるでしょ」とか、そういうことに先回りしてあげれば生き残り続けられるんです。

そういったいわゆる「深海」というのは、変化は波の上ではいっぱい起きているんだけど、海中深く潜ってしまえば変化ってそんなに起こらないんです。結局深海魚というのは、進化が止まったかたちで1万年、2万年と生き続けられていて、それは1つの選択なんですよね。変化しないところに生きるのか、変化するところで生きるのか。

どちらにせよ、変化に自覚的にならねばいけない

 

尾原:ただ大事なことは、今までは昭和の、先ほどの「全員が部品になって正解をいち早く埋める」という競争で、日本が勝ちすぎてしまったことです。「それだけが成功の方程式だ」というルールで社会が動いているんですね。

残念なことに現在の大企業などの部長の方々、それより上の方々は、あまりにもその成功体験が強い。次のゲームのルールに変わるときにも、やっぱり過去の成功体験を引きずっちゃうんです。

だから「変化の時代ですよ」と言って、できるだけそういう方々が「次のゲームのルールに行かなきゃいけないんだ」「次のゲームのルールもおもしろいよ」とかね。若い方にとっては「次のゲームのルールに早く行ったほうが勝てるんじゃないの?」というようなことを言っているだけなんですよね。

伊藤:なるほどね。

尾原:とくに残念なことに、日本という国には「日本語」という言葉と「島国」という2つの環境のロックがあります。孫さんもポジショントークも含めて「日本のAIは、2周遅れています」みたいなことを言っているし。

実際、僕はそのアフターデジタルみたいなのを考えてみたら、みんな「中国だけがでしょ」と言っていたことが、「いやいや、中国超おもしろいじゃん」となったんです。

今だったら中国の真似をうまくすれば、そこに日本らしさを乗っけて、むしろ勝てるかもしれないと思える。変化をあえて取り入れずに、深海魚として生きるのか、それとも変化をチャンスとして捉えて、いち早く変化に乗っかるのか。少なくともそこに自覚的になって生きなくてはいけないと思います。

深海魚として生きたいなら、喫茶店こそ最強のビジネスだ

尾原:次の質問として「その変化はどこかで止まるんですか」ということに関して言えば、それは止まりません。シンギュラリティというお話があるように、本当に技術の進化は連鎖反応的に早くなっています。

その進化の速さを体験したかったら、「ソフトバンクワールド」という、孫さんが延々と自分の好きな人を登壇させてひたすら自慢するという素敵な会があるんですけれども。

(会場笑)

ただ、ものすごく勉強になるんですよ、これ! 大事なことは、2年前のソフトバンクワールドと今年のソフトバンクワールド、両方を一緒に見ることです。

伊藤:なるほどね。

尾原:どんどん変化の速度が上がっています。なので、逆に言うと変化の上に身を乗っけたほうが、「変化で勝てるな」と思う人にとってはチャンスが広がるという話なんですよね。でもそういうタイプじゃなければ、深海魚として生きていける。

深海魚っぽい生き方をしたい人は、ぜひ『インベスターZ』という『モーニング』に連載されていた漫画を。確か7巻に、母子家庭のお母さんが喫茶店を譲り受けてやる話があるんですよ。「喫茶店こそ最強のビジネスだ」という巻があるんですけど、それをぜひ読んでください。

伊藤:なるほどですね。ソフトバンクワールドはアーカイブがあるので、ぜひ見ていただければと。じゃあ、最後。

「自分の想いを届けること」と「友達を増やすこと」

質問者2:ありがとうございます。もともと「働けない若者が増えている」という社会問題があって、それをなんとかできないかなと今考えていて。周りを変えやいときには「1対1で話す」ことがすごく大事なんだなというのはわかったんです。

でも、自分の会社の人だったら話かけられるんですけど、例えば少年院に入っている子とかには、なかなか直接話しかけられないじゃないですか。自分から少し離れた社会課題とか、そういう人たちに対して私は、この「0秒で動け」をぜひ実践してほしいなという気持ちがあって、それにはどうしたらいいのかなと思って。

伊藤さんだったら、ちょっと離れた人にどう接して、その人たちを変えていけばいいと考えられているか、ぜひその視点をお聞きしたいなと思います。

伊藤:これはね、僕自身が本を書いたのも、なるべく遠くに自分の思っていることを届けたいと思ったからなんです。だからそのイメージを持ちながらやっています。

やっぱり本を書くことは手段の1つだし、もう1つは、すごく単純な表現で言うと「友達を増やす」ことです。友達を増やしていると、例えば元横須賀市長だった吉田(雄人)さんという方は、少年院に対して入っている人たちが生き生きと働けるような活動をやっているわけです。

だから彼と知り合うと、そういうところに突っ込んでいくことができる。で、いろんな人が増えたらいろんなことが広がってくんですよね。大事なのは、自分1人でできることなんてたかが知れているので、本や友達という手段を借りること。そんなことをやるしかないんです。

自分の領分でもうちょっと先に行きたいと考えているなら、もうこれはみなさん一人ひとりがやっていく。それしかないかなと思っています。

巨人ファン・阪神ファンはライバル同士だが、野球人口の問題になれば仲間になる

尾原:今の話は本当にすごく大事なテーマです。グローバルの中ではそういうのを「インクルーシブ・マーケティング」という言い方をするんですね。日本だと「インクルーシブ」は「包接」と訳します。

わかりやすいのは反対語の「エクスクルーシブ」。「エクスクルーシブ」は「排他的」と訳します。これは「お前としかやらないよ」、つまり「お前らは仲間じゃない」ということをエクスクルーシブと言うんですね。

そうじゃなくて、誰も取り残さないことがインクルーシブになります。インクルーシブ・マーケティングはここ3年ぐらいですごく発達している領域です。日々いろんな新しいアプローチが出てきているんですけど、僕が好きなアプローチは2つあって。

1つはさっきの「目標を上に上げること」。例えば、巨人ファンと阪神ファンは仲が悪いわけですよ。

(会場笑)

なんだけど、問題を「野球の人口が減ってきている」というように上に上げれば、「一緒に野球を盛り上げようよ」と仲間になるというやり方もある。

あと実は仲間にする方法はもう1つあって、それは「もっとミクロに下げる」という方法なんです。「巨人・阪神」だと仲が悪いんだけど、実は「長打で一発逆転する試合が好き」というところでは共通点あるかもしれなくて、そうすると仲間になるかもしれないんです。

そういうふうに、マクロで次元を引き上げていくことで一緒に仲間になるのか、ミクロで細かく見ていくことによって共通点を作って「実はぜんぜん違う人じゃないんだね、長打好きのいいやつだなお前」みたいになるのが大事で。

とくに後者に関しては、やっぱり人間に共通する「親子の愛情」とか、人と人にはどんなに宗教や肌の色が違おうが、絶対に共通するなにかがあるんですよ。

伊藤:そうですね。

ミクロの共通点を巧みに描写したハイネケンのCM

尾原:わかりやすいものだと、『TED』にイスラエル人とイラン人の愛の物語、みたいな話で出ているものがあって。これが素晴らしいので、ぜひ見てください。あとはもう1つ、アメリカのビールのメーカーで……。

伊藤:バドワイザー?

尾原:バドワイザーだったかな、テレビCMで……。

伊藤:あ、ハイネケンじゃないですか?

尾原:あっ、ハイネケンだ!

伊藤:主義主張が違う。

尾原:そうそう、主義主張が違う2人があることをするというCMで。たぶん「ハイネケン CM」で検索すると出てくるので、ぜひそれを見てください。ハイネケンのパターンはこっち(マクロ)です。で、イラン人とイスラエル人というのは、下に下がってミクロで共通点を探すパターンで、すごくいい。泣けるよね。

伊藤:あれね、油断して見ると絶対に泣きますよ。

(会場笑)

尾原:本当に。今流しても泣く自信がある。

伊藤:泣く自信ある。ハイネケン、ヤバいよ。

(会場笑)

ということで、ミクロとマクロね。ありがとうございます。あっという間に2時間が経ってしまいました。

反芻しながら学びの機会に

尾原:あっという間でしたね、本当にね(笑)。

伊藤:改めて、今日の話を尾原さんなりに考えると。

尾原:はい。なんのかんの言って、僕今日はいっぱい理屈を提供したし、いっぱい武器を提供しました。やっぱり大事なことは、一歩目を踏む勇気を持つことなんですよね。『0秒で動け』は、その一歩目を踏み出す勇気を持たせてくれる本だと思っています。

伊藤:ありがとうございます。

尾原:ぜひ読んでいただければ。

伊藤:ありがとうございます(笑)。

尾原:で、もし財布に2,000円ぐらい余裕があれば、『ディープテック』というですね……。

(会場笑)

世界の課題を自分事化できる、しかもその中で日本もちょっと儲けられるチャンスがあるかもしれないという素敵な本です。リバネスの丸(幸弘)さんという本当に熱い、いい男が書いておりますので、ぜひ予約していただけるとうれしいな、ということで。

伊藤:今日の話もいろいろ振り返って、「これはなんなんだ」と解釈すると、いかようにも学べるところがあります。ぜひそうやって何回も反芻しながら、学びの機会にしていただけたらなと思います。

ということで、尾原さん、本当にありがとうございました。

尾原:はい、どうもありがとうございました!

(会場拍手)

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