ホーム > mixiニュース > IT・インターネット > モバイル > ソフトバンク秋冬モデルの戦略を解説 ハイエンドが多く、ミッドレンジが少ない理由は?

ソフトバンク秋冬モデルの戦略を解説 ハイエンドが多く、ミッドレンジが少ない理由は?

0

2019年10月26日 08:12  ITmedia Mobile

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia Mobile

写真ソフトバンクの秋冬モデル。Androidスマートフォン4機種に加え、Googleの「Pixel 4」「Pixel 4 XL」を導入する
ソフトバンクの秋冬モデル。Androidスマートフォン4機種に加え、Googleの「Pixel 4」「Pixel 4 XL」を導入する

 ソフトバンクは10月17日、秋冬モデルの5機種を発表した。内訳はスマートフォンが4機種、子ども向けのキッズフォンが1機種。スマートフォンは、他社も導入している「Xperia 5」や「AQUOS zero2」「AQUOS sense3 plus」に加え、ディスプレイ付きケースを装着することで2画面端末になる「LG G8X ThinQ」(以下、G8X ThinQ)をラインアップに加えた。G8X ThinQは、このケース付きで発売される。



【その他の画像】



 これらに加え、同社が強烈にプッシュしているのが、Google製の「Pixel 4」「Pixel 4 XL」だ。2モデルの発売日である24日には、CMに出演するV6の岡田准一さんや、お笑い芸人のアンタッチャブルの山崎弘也さんを招き、カウントダウンイベントまで開催。店頭でも大々的にPixelを打ち出している。



 では、ソフトバンクはどのような考えでこのようなラインアップをそろえたのか。秋冬商戦を迎える同社の戦略を解説する。



●独占提供になり、他社にない“顔”として猛プッシュするPixel 4、4 XL



 発売日にイベントを開くなど、ソフトバンクが販売に注力しているのがGoogleのPixel 4、4 XLだ。本連載でも触れたように、同モデルはGoogleの目指す「アンビエントコンピューティング」を具現化するために生まれた端末。ハードウェア、ソフトウェア、AIの3つを融合させることで、今までのスマートフォンにはない新機能を実現した。星空の撮影や、劣化の少ない8倍ズームを実現したカメラは、その象徴的な機能だ。



 ソフトバンクは、先代の「Pixel 3」「Pixel 3 XL」からPixelシリーズを取り扱っており、Androidスマートフォンの中核に据えてきた。同社の代表取締役副社長執行役員兼COO、榛葉淳氏は「多くのユーザーからのご支持をいただき、大人気の端末だった」と1年間の実績を振り返る。



 実際、ソフトバンクのPixel 3、3 XLは発売当時から売れ行きも好調で、端末の販売ランキングでも上位に顔を出していた。あるGoogle関係者も、「グローバルで一番台数が出ている販路かもしれない」と口をそろえる。端末そのものの魅力はもちろん、各種広告を積極的に展開したことや、店頭で大々的にプッシュしていたことも、ヒットの理由といえる。さらにPixel 4、4 XLは、ドコモが取り扱いを見送った結果、ソフトバンクの独占提供となった。



 先の榛葉氏は、「国内キャリアではソフトバンクのみ」と自信をのぞかせる。ソフトバンクのモバイル 事業推進本部 副本部長の郷司雅通氏は、「他社にないところは最大限出していきたい。Googleもプロモーションをやっていくので、一緒にシナジー効果を出せればと思っている」と語る。独占になったことで、ラインアップの“顔”として、2018年以上に販売を強化していく可能性もありそうだ。発売初日の滑り出しも、「Pixel 3aがあるので伸びない可能性もあったが、思っていた以上に手応えがあり順調」(同)だという。



●5G時代を先取りできる端末として導入したG8X ThinQ



 ラインアップの中でもう1機種、異彩を放っている端末がある。LGエレクトロニクス製のG8X ThinQが、それだ。G8X ThinQは、9月にドイツ・ベルリンで開催されたIFAで発表された端末。最大の特徴は、デュアルスクリーン化できるケースを用意しているところにある。LGは、デュアルスクリーン対応モデルとして、5Gスマートフォンの「LG V50 ThinQ 5G」を販売しており、ドコモがプレサービス用の端末として導入。G8X ThinQは、その4G版にあたる。ソフトバンクで販売するG8X ThinQにはケースも付属し、「2画面スマホ」として打ち出していく予定だ。



 ソフトバンクがG8X ThinQを導入したのは、「5Gを意識しているところが大きい」(郷司氏)という。5Gでは、通信が高速・大容量化し、マルチアングルの動画などもモバイル通信で配信できるようになる。G8X ThinQ自体は4Gにしか対応しおらず、5Gがサービスインしてもそのネットワークには接続できないが、「5G時代の感覚をユーザーに体験してもらえるよう、導入した」(同)。



 これは、auが5Gを先取りする端末として、サムスン電子のフォルダブルスマートフォン「Galaxy Fold」を採用した理由に近い。ソフトバンクでは、G8X ThinQの発売に合わせ、「2画面であることを生かせるサービスを準備している」(同)という。



 近未来感はディスプレイをそのまま折りたためるGalaxy Foldに軍配が上がる一方で、デュアルスクリーンケースを装着したG8X ThinQは実用度が高い。2つの画面をつなげて動画などを大画面で再生できないのは残念だが、「重いと思ったら、最悪、ケースを外して使っていただくこともできる」(同)のはメリットといえる。また、「2つの画面が両方アクティブになるのも特徴」(同)。



 マップを見ながら位置情報を活用したゲームを遊んだり、ゲーム2つを起動させたりすることもできるという。価格は未発表ながら「税込みで10万円を下回る予定」(同)で、先進技術を惜しみなく投入したGalaxy Foldに対し、G8X ThinQはマルチスクリーンの現実的な解を示した格好だ。



●Y!mobileとのすみ分けも意識、ミドルレンジモデルの導入は控えめに



 Pixel 4シリーズも含めた秋冬モデル全体を見渡すと、ソフトバンクの導入するスマートフォンは、ハイエンドモデルの比重が高い。Pixel 4、4 XLやG8X ThinQが目立っているが、Xperia 5やAQUOS zero2も、パフォーマンスの要求されるゲームを快適に動かせることを売りにするほど、スペックの高いスマートフォンだ。対するミドルレンジモデルは「AQUOS R Comactシリーズの代わりに導入した」(郷司氏)というAQUOS sense3 plusのみで、電気通信事業法の改正に合わせてこの層の端末を拡充したドコモやauとは一線を画す。



 あえてミドルレンジ端末を大幅に増やさなかったのは、「上期のモデルと合わせてポートフォリオを組むことに主眼を置いた」(郷司氏)からだ。夏モデルとして導入した「arrows U」や、「LG K50」を継続販売することで、ニーズに応えていくというわけだ。ただし、夏モデルと合わせて年間のラインアップを組むのはドコモやauも同じ。ソフトバンク固有の事情としては、「Y!mobileも意識している」(同)ことが大きい。



 Y!mobileはサブブランドとして、安価な料金と、ミドルレンジ以下の端末を主力にしている。「そことはあまりバッティングしない形にした」(同)結果、必然的にハイエンドモデルの比率が高くなった格好だ。「10月以降、ユーザーがどう動くか分からなかったが、ローのゾーンはほぼ一定」(同)というように、メインブランドのソフトバンクでは、iPhoneやPixelを含めたハイエンドモデルが好まれる傾向が変わっていないことがうかがえる。



●「初のXperia」と購入補助を最大限生かす「Libero S10」を導入するY!mobile



 これに対し、Y!mobileは「下期からは分離プランを前提にしたラインアップを組んでいく必要がある」(常務執行役員 プロダクト&マーケティング統括 Y!mobile事業推進本部本部長兼サービス企画本部長 寺尾洋幸氏)と、電気通信事業法の改正に合わせ、戦略的に端末を取りそろえた。もともとY!mobileでは、Android Oneを主軸に型落ちのiPhoneやHuaweiなどの廉価モデルを販売していたが、秋冬モデルでは同ブランド初のXperiaとなる「Xperia 8」をラインアップに加えた。



 Xperia 8はミドルレンジのスマートフォンで、海外で販売される「Xperia 10」をベースにしながら、おサイフケータイや防水などの“日本仕様”に対応したモデル。Y!mobileでの価格は、4万円台半ばに抑えられている。



 Xperiaを導入したのは、「多くのお客さまが使っている」(寺尾氏)ためだ。最近では、Androidの国内シェアトップをシャープに奪われてしまったソニーモバイルだが、4年間の累積シェアは29%と、依然として存在感は大きい。ドコモが夏モデルとして発売し、その後、楽天モバイルやMVNO各社に採用された「Xperia Ace」も、販売は堅調だ。「今までは残念ながら取り扱いがなかったが、ソニーモバイルの販売した29%のマーケットを狙っていける」(同)というのが、Xperiaを導入した理由だ。ありていに言えば、大手キャリアからユーザーを獲得するための武器がXperia 8ということになる。



 「端末価格が非常に重要になってくる」(同)状況に対しては、ZTEの「Libero S10」で応える。同モデルの予価は2万8800円(税込み)ながら、デュアルカメラや指紋センサーは搭載。おサイフケータイには非対応だが、防水には対応するコストパフォーマンスのいい端末だ。ミドルレンジモデルとしては一般的な価格帯だが、ここで効いてくるのが割引だ。改正・電気通信事業法の下でも、2万円までなら端末購入補助を出せる。これを適用すれば、8800円という1万円を下回る価格が実現する。「2万円という購入補助を最大限生かせる端末」(同)というわけだ。



 Y!mobileでは、シャープ製の「Android One S7」や京セラ製の「Android One S6」も導入。全4機種で、改正・電気通信事業法施行以降の市場に対応していく方針だ。サブブランドのないドコモや、同じ会社で一体運営していないauと比べ、ソフトバンクはソフトバンクとY!mobileのすみ分けを明確に打ち出している印象で、分かりやすい。両ブランドを併売する店舗が1000を超え、「同じ端末を違う料金で売るのは、現場としてもやりづらい」(郷司氏)という事情もあるようだ。



 一方で、ブランドごとに端末が分かれているのは、「分離プラン」の趣旨にそぐわないといった見方もある。また現状でも、ソフトバンクの端末を一括かクレジットカード払いで買い、即時SIMロックを解除すれば、SIMカードだけをY!mobileにすることが可能だ。この仕組みの広がり方次第では、端末で2つのブランドをすみ分けるのが難しくなる可能性もある。総務省で進むSIMロック解除の議論も、ソフトバンクにとっては悩みの種といえるかもしれない。


    あなたにおすすめ

    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定