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「バブリーダンス」のakaneが語る、“プロの振付師”としての矜持と組織づくりの重要性

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2019年10月27日 23:21  リアルサウンド

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リアルサウンド

写真akane(撮影:池村隆司)
akane(撮影:池村隆司)

J-POPシーンの最前線で活躍する振付師にスポットを当て、そのルーツや振付の矜持をインタビューで紐解いていく連載「振付から紐解くJ-POPの現在地」。今回は、アカネキカク主宰のakaneにインタビュー。大阪府立登美丘高校ダンス部コーチとして、荻野目洋子の代表曲「ダンシング・ヒーロー」で振付した「バブリーダンス」では『第59回日本レコード大賞特別賞』受賞や『第68回NHK紅白歌合戦』への出演も果たし、2018年ハリウッド映画『グレイテスト・ショーマン』のPR大使としての振付などを担っている。akaneに振付師を目指すまでの道のりや、登美丘高校ダンス部生徒との関係性から、振付をする際に意識していることまでたっぷりと語ってもらった。(編集部)


(関連:YOSHIEが明かす、ダンスと振付へのピュアな情熱 「技術だけじゃなくて心が反映される」


■「生徒やチームの子は、自分の分身みたいなものなんです」


――3歳でダンスを始めたきっかけは何だったのでしょうか。


akane:母親が、「この子にはダンスをやらせたい」と思っていたらしく、教室に通わせてくれました。私が自分から言ったわけではないですが、お遊戯会などは小さい頃からすごくやる気がある子でしたね。家でもNHKの教育テレビなどを見て、ずっと踊ったりしていました。


――高校生の時には、ダンスの同好会を部活動に昇格させたそうですね。


akane:単純に同好会と部活だったら部活の方がいろいろな条件が有利なんですよね。もちろん、もっとダンスを真剣に踊りたいとか、大会に出たいとも考えていたし、私はやるなら中途半端なことはしたくないって思っていました。


――その時は、部活動以外にダンススクールにも通っていたんですか?


akane:3歳から習っているダンススクールにはずっと通っていました。高校のダンス部は、今とは全然雰囲気が違いましたよ。私の現役の登美丘高校の時と、今の登美丘高校の子たちは全然違うので、やっとダンス部として認められるようになったと思います。


――高校を卒業後、日本女子体育大学で舞踊学を専攻。その頃はダンサーとしてどんな道を進もうと思っていたんですか?


akane:どちらかというと、振付師になりたいという意識よりは、“ダンサー”になれればいいなと思っていました。だけど身長も149cmしかなくて小さいですし、現実的には厳しかったですね。その当時はバックダンサーのオーディションも結構多かったんですが、受けても落選してしまって。大学在学中にダンス部の後輩たちの指導をしていて、ダンサーとして踊るより振付師の方がやりがいを感じたんですよね。振付師として作った作品が結果を出すようになっていくうちに、私は裏方のほうがあっているとも思いました。


――振付師を目指すきっかけとして大きかった出来事はありますか。


akane:『Legend Tokyo』という振付師のコンテストがあって、振付師が一つの作品を出して競い合うんです。akaneの作品として自分の名前も出るし、裏方である振付師が認められる機会だったので、その大会の影響は大きかったかもしれません。


――大学在学中に、将来ダンスの道に進もうという想いはすでにありましたか。


akane:もちろんありましたけど、今ほどは思っていませんでした。就職の道も人生の中で一度だけ考えたこともあります。でも大阪から離れたいとか、親元からは離れたいとか、東京でダンスを勉強したいっていう気持ちはあったと思います。


――大阪に帰ったきっかけはなんだったんですか。


akane:大学を卒業して、振付師として大会に挑みたい、ダンス部の学生たちにしっかり教えたいという思いがあったので帰りました。


――その頃には「大阪に帰りたくない」という思いは吹っ切れていたんでしょうか。


akane:もう吹っ切れていましたね。『Legend Tokyo』に自分が挑む環境をしっかりとつくりたかった。そのおかげもあってか、大阪に帰ったその年につくったものが全部ヒットしたっていっても過言ではないですね。4作品ほどつくって、優勝や入賞という結果が出せたので、それをまたブラッシュアップしていった作品が今にも繋がっています。


――その頃の生徒さんは何人くらですか?


akane:卒業したOGも大会に出てくれていたので、多かったと思いますね。akaneチームもあるし、登美丘チームもあるし、100人くらいはいたと思います。今は登美丘だけで100人以上います。


――今だと、登美丘高校に「ダンス部に入りたい」といって入学してくる方もきっといますよね。


akane:そういう子もいるけど、全然知らない子も多いですよ。バブリーダンスを知らない子も多くて。例えば、紅白に出たこととか、YouTubeも知らなくて、それを説明しに行ったら「ええっ」と驚かれて。「まだまだ頑張らなきゃね」って言いながら頑張っています。


――akaneさんの指導は「厳しい」ことでも知られていますが、その一方で生徒をたくさん褒めている映像も目にします。指導において気をつけていることはありますか。


akane:私アメなんか与えないですよ。ずっとムチです(笑)。でも、厳しく指導しようと決めているわけでもないんです。スイッチが入った時は私も本気なので、向こうも本気で踊ってくる。だから私も違う時は違う、もっとこうしたらいいって指導しているだけです。厳しくしているのは本気でやっているから仕方ないことだと思っています。


――相手が高校生だと、多感な時期で感情的になることも多いと思うのですが、ダンスに対しての本気スイッチの入れ方は何か意識しているんですか?


akane:私は「私についてきて」というタイプではないので、みんなの目標を実現するために手伝っているというスタンスです。大会に出ずに、文化祭を頑張りますって言うんだったら、それに向けてサポートすればいいけど、みんなの目標が日本一、世界一、とどんどん高くなるにつれ、それを叶えるためにはこれをしなきゃ、こうした方がいいよって言います。目標達成までの時間は限られていますので、その時間や道を提示しているだけですね。本人たちの目標が(大きいために)なかなか叶えられるものじゃないから、叶えるために教えているだけです。


 生徒のやる気スイッチは、過去の作品を見て、自分たちもこういうのを踊りたい、結果を出したい、優勝したい、先輩たちが叶えてきた以上の目標を叶えたいっていう風に入っていくから、私がわざわざ何も言わなくても自発的に挑戦していますね。


akane:私が仕事で大阪から離れて東京にいる間に、ある学年の子たちが「akaneさんがいなくても良いチームじゃなきゃいけないし、規則も守らないと部活として学校に認めてもらえないし、毎日練習したいって先生にお願いしても、学校の規則を守ってないとそれはできない」と言っていたことがあったみたいです。顧問の先生や色んな人にその話を聞いて、彼女たちがだんだん成長してきたんだなと感じました。徐々に目標が大きくなって今があるので、今の子たちは誰かがやる気スイッチを入れなくても自分たちでやれるようになるんですよね。


――生徒のみなさんにakaneさんの思いがしっかり伝わっている証拠かもしれないですね。


akane:私も、大人になってから「こういうことで怒られていたんだな」って分かることがたくさんあるんです。だから私も生徒に怒ったり注意したり、こうした方がいい、ということをきちんと言います。大人になって怒られることなんてもうないじゃないですか。だから、高校生の大事な時間に私だけじゃなく怒ってくれる人が近くにいる環境があっていいな、羨ましいなって思うこともありますね。大人の人たちの協力を得て、自主公演を成功させたり、先日も世界大会に行くにあたってクラウドファンディングをしたんですけど、色んな人の協力を得てできることも彼女たちにとってはすごく大きいことだと思います。それに、生徒たちも色んな人たちの力があって、私たちはここで踊れているっていうことを自覚しているので、悪い子たちは誰もいないですよ。素晴らしいです。私も一緒にいて刺激をもらえているし、この子たちのために絶対頑張ろうって思います。私の方が(生徒たちに)動かされているんですよね。


――生徒たちへの指導がakaneさんの原動力にもなっている。


akane:そうですね。生徒やチームの子は、自分の分身みたいなものなんです。自分ができない時は彼女たちもできないし、あの子たちができないのは全部私のせいなんです。ダンスで上手くいかなかったり、ダンス作品を見ていても全然調子が上がっていかない時は、自分が悪いんやな、自分の今が出ているんやなって思います。やる気の問題もありますよね。自分の力をどれだけチームに注いでいるとか、全部出ちゃいます。それで全部結果も変わってくるんですよね。


 だから本当に贅沢ですけど、akaneさんのためにこんな風にしたいとか言ってくれたり、それをきちんとダンスで表現してくれたり私のいないところで練習していたりするのを見ていると、私も「この子たちこんなに頑張っているのか。私もこうやって頑張ろう。じゃあ次に行こうね」ってなる。私だけ良くてもダメで向こうだけでもダメで、お互いがちょうどいい状態で同じように上がって行こうっていう気持ちがないと絶対に良いチームにはならないですね。


――いい関係性ですね。2017年のバブリーダンスはたくさんの方の印象に残っていると思いますが、akaneさんの作品は大人数で魅せるダンスの中にユーモア溢れるネタを取り入れていますよね。コンセプトはどういう風に決めるのですか。


akane:コンセプトは曲から選考するものもあれば、バブリーダンスは衣装から決めたんです。2分半〜5分の限られた時間の中でどれだけ印象に残るか、みんながもう一回見たいと思える作品を作っていく中で緩急をつけていくんです。人に飽きさせないことを考えて構成しています。大人数のダンスのポイントは、やっぱり迫力ですね。全員が同じクオリティで行けるのであれば、絶対50人よりは100人、100人よりは1000人の方がいいですね。1人だったら、できることが限られてくるので。


■akaneが考える「プロ」の振付師とは


――昨年は『第68回NHK紅白歌合戦』にも出演しました。テレビ番組でも振付のポイントなどが取り上げられることが増えましたが、J-POPシーンで振付やダンスが注目されていることはakaneさんから見てどう思いますか?


akane:振付師の仕事って今までフィーチャーされることが少なかったですが、たくさんのこだわりを持って作っているし、そういうところに注目して見てもらえるのはありがたいことです。CMもそうですけど、印象を残す上でダンスも必要だとしてくれることが、とてもありがたいです。


――J-POPシーンでの少し前までは“誰でも踊れる”キャッチーなダンスが1つのポイントでしたが、akaneさんが振付をされたラストアイドル「青春トレイン」(2019年9月)MVでの高難易度ダンスは衝撃的でした。


akane:今日たまたま「青春トレイン」CD購入者特典のワークショップをした時に、ファンのみなさんも「こんなに難しかったんだ……」と言っていました。この振付の細かさと動きの速さを4分間している中でフォーメンションチェンジも! というところに驚かれたので、知ってもらえてよかったです。


――「青春トレイン」の振付は、テーマであった“高難易度ダンス”以外にどういうことを意識しましたか。


akane:私は組織づくりから入ることがすごく大事だと思っていて、ラストアイドルにもみんなで一つのものを作るんだという感覚から教えていきました。一人ひとりの動きや位置、全部が大事だということを教えるために、フォーメーションなども意識しましたね。どこまでみんなに気持ちが通じているのかはわからないですけど、振付の初日に個人面談をして、このチームはまだまだだからこそ、みんなが一つにならないと他のチームには勝てないよと伝えました。


――アーティストの振付をする機会も増えたと思いますが、心がけていることはありますか。


akane:私は音楽の邪魔をしたくはないし、その音楽にあった動きをしたいと思っているので、歌う人や楽曲を作った人がその曲に持っているイメージは崩したくないと考えています。それとやっぱり一瞬一瞬のインパクトですね。振付は、楽曲制作の過程を維持しながら、表現するためにサポートする立場だと思うので、グループや楽曲のイメージとリンクしない限りは邪魔になってしまうので、そこは崩せないですね。


 そういう意味で、私はプロとして振付をしたいと思いました。「プロって何なんやろう」と考えた時に、本物の人たちと対等に一つのものを作るってことだと思ったんですよね。振付師って、何か資格をとるわけじゃないし、プロになる境目が難しいですが、本物の人たちと一つのものを作ることがプロなのかなと思います。振付師は、アーティストがいて楽曲があって、最後に出てくる立場なので、そこまでの過程を潰さないということは大事やなと思いますね。


――akaneさんから見て、今までにインパクトを受けた映像作品はありますか。


akane:CMで覚えているのは、武富士のCMとかタケモトピアノのCM。好きだったし、みんなの印象にも残っているんじゃないかな。あとは、マイケル・ジャクソンも大好きですし、80年代のジャズダンスの要素が多いダンスのMVがもすごく好きで、今見ても刺激的だなと思いますね。


――80年代のダンスで印象に残っているものは?


akane:YouTubeにあるポーラ・アブドゥルの「(It’s Just) The Way That You Love Me 」の映像はよく見ます。ポーラ・アブドゥルはめちゃくちゃ踊れる人なんですけど、この映像がすごくて。かなり難しい動きをしているんですが、音の取り方や動きの感じがかっこよくて。あとは、ホイットニー・ヒューストンの「How Will I Know 」のMVも好きです。


 他にも、80’sのMVはアーティストが踊っているものが多いのでよく見ていますね。マイケル・ジャクソンもそうですけど、日本の光GENJIやシブがき隊も踊りがすごいんですよ! ミュージカル映画も好きなので、昔の『グリース』とか『ヘアスプレー』とか。あとは『ロシュフォールの恋人たち』というミュージカル映画の、ダンサーの人たちの不規則な動きも好きです。元々この曲がワルツなので音取りが難しいんですが、自由にできるところもあって、不規則なタイミングでアクセントを出してくるところが大好きですね。ミュージカル映画を勉強しているというわけではないんですけど、私の感覚と共通している部分が多くて。私も音楽を聴いて、そこから全部感覚でタイミングを決めてつくっているから、音感だけじゃなくて歌やビートにも合わせてアンバランスな感じで振付しています。逆に、その違和感があることでお客さんの目を引くんですよね。


 だからミュージカル映画や80’sのMVはとても勉強になるところがあるし、光GENJIもよくあの人数であれだけ面白く踊れるなって思います。それに光GENJIの音楽って、すごく面白いんですよ。「パラダイス銀河」でもめちゃくちゃダンスを踊っていると思いきや途中から急にロックダンスが入ったり、珍しい振付の要素も入れていたりして、全体構成を見ていても面白い。今の時代にはないセンスだと思うから、これを失くしたくはないですね。


――最後に、akaneさんの振付師としての夢を教えてください。


akane:若者たちと良いものをつくっていきたいですね。若者のエネルギーは本当にすごくて、ダンスでどこまで表現できるかを見ているのが私もすごく楽しいんです。あとは、2025年に開催される大阪万博で、何か一つでも作品をつくって大阪から世界に発信したいという気持ちがあります。私も開催される時までにはもっと経験値を積んでいけると思うので、その目標に向けてさらに動いていたいと思っています。


 なお、akaneは10月27日放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)にair:man、TAKAHIRO、KANA-BOON!らとともに出演。振り付けにフィーチャーしたダンス特集として、これまでに手掛けてきたダンスのポイントや構成を自ら解説し、振り付けの裏側に隠された“秘密”を掘り下げる。(神人未稀)


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  • 昨日関ジャムで見てたが、青春トレインの踊りって見た目以上に凄いんやな。全員が違う踊りして、合わせるとこでは完全にシンクロしなければならんみたいだ
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