選択バイアスが少ない久山町研究で、テアニン代謝物と2型糖尿病の関係性を調査
画像はリリースより
サントリー食品インターナショナル株式会社は、九州大学・久山町研究を行う研究グループ(研究代表:九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野 二宮利治教授)と同社による共同研究により、緑茶に含まれる成分テアニン特有の代謝物であるエチルアミンの血清濃度が高い人は、将来の2型糖尿病発症リスクが低いことを明らかにしたと発表しました。
久山町研究は、1961年から福岡市に隣接した糟屋郡久山町(人口約8,400人)の住民を対象に行われている、脳卒中、心血管疾患などの疫学調査です。久山町住民は全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布を持っており、偏りのほとんどない平均的な日本人集団となっています。また、住民の受診率が高いため、研究対象者の偏り(選択バイアス)が少ないことも、同研究の大きな特徴として挙げられます。受診率が低いと、研究データが地域の健康状態の実態を必ずしも反映しませんが、同研究では、40歳以上の久山町住民の70〜80%が健診を受診しているため、選択バイアスの少ないデータをもとに、時代ごとの生活習慣の影響や危険因子の変遷を知ることができるのです。さらに、追跡率も99%以上と非常に高く、対象者が死亡した場合は約75%が解剖され、正確な死因が同定されています。
血清エチルアミン濃度の上昇で2型糖尿病の発症リスクが有意に低下することが判明
研究グループは、2007年の久山町生活習慣病健診を受診した40〜79歳の男女2,957人(受診率77.1%)のうち、保存血清から血清エチルアミン濃度を測定できた非糖尿病の住民2,253人を7年間追跡。その結果、血清エチルアミン濃度の上昇に伴い、2型糖尿病の発症リスクが有意に低下していると判明しました。さらに、肥満およびインスリン抵抗性を有する住民では、血清エチルアミン濃度と2型糖尿病発症の間により強い負の関係が認められたということです。
サントリー食品インターナショナルはこの研究結果を受け、健康な中高齢男女を対象に、市販緑茶飲料の摂取による血清エチルアミン濃度の推移に関する研究を実施。その結果、緑茶飲料を継続的に飲用することにより、久山町研究で示された2型糖尿病の発症リスクが低い集団の血清エチルアミン濃度を上回る濃度が維持されることが推定されたそうです。
同社は、「嗜好品であるとともに健康飲料としての緑茶の価値を希求するとともに、緑茶の茶葉特有の成分であるテアニンを摂取しやすい飲料の提供を通じて、お客さまの健康の維持増進に貢献していきたいと考えています」と、述べています。(QLife編集部)
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