染谷将太、常に不安と隣り合わせ「“一生懸命やる”って何だろうと思うんです」

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2019年10月31日 17:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

染谷将太

「家族というものは、ゼロから作り上げるもので、自分にとってはこんなにもクリエイティブなものはないなと思っていて。そして、自分にとっては“帰る場所”でもあるという感覚を、映画を通してより深く感じました」

 映画『最初の晩餐』で主人公を演じる染谷将太。バラバラだった家族が父の死をきっかけに、家族を見つめ直し、時間を取り戻していく物語だ。

家族とは、よくわからないもの

「これまでにも家族を描いた作品はたくさんあって、最終的に“家族とは”という明確な答えを求めようとするものが多い中、今作では“家族とは、よくわからないもの”ということを素直に表現していて。

 でも、ひとりひとり解釈の違うものを表現することは、とても難しくて。今までは“オチ”がある、起承転結の“結”があるお芝居に慣れていたので、クセでどこかに落とし込もうとしてしまうんです

 そうしないと演じている側も不安になってしまうんですが、今回はその不安を常に持ち続けることが大切だったんです

 今回に限らず役者という仕事上、「常に評価される側なので、いつも不安はあります。でも、職業柄しかたのないことなのかなと」と語る。

 不安と隣り合わせの中、最近よく考える言葉があるんだとか。

“一生懸命やる”って何だろうって思うときがあるんです。もちろん“全力でやる”ことは当たり前なのですが、ただ“頑張ります!”と意気込むこととは違うのかなと。

 僕たちがまずやらなければならないのは、作品とお客様の橋渡しをすること、見ていただくきっかけを作ることなどを見つけることが“一生懸命やる”につながるのかなと考えています

すごく愛情を感じました

 今作では、家族をつなぐカギとして“通夜ぶるまい”を含め多くの食事のシーンが描かれるが、自身も家族との食事で印象的な出来事が……?

「母がから揚げを作ったときに油がすごく弾けたみたいで。“ギャー!”と叫びながら作ってくれたから揚げが食卓に並んでいるのをいまだに鮮明に覚えていて

 ある意味、すごく愛情を感じましたが、その後しばらく、から揚げは食卓に並びませんでした(笑)」

 演じる東麟太郎はカメラマンだが、実は自身も趣味で家族を被写体にカメラを構えることが多いんだとか。

“家族を撮る”という行為は、あくまで“記録”だと思っていて。撮った写真をこの先、何回見返すかわかりませんが、今見るのと、10年後、20年後に見るのとでは、年を重ねるごとに見返し方が変わってくると思うんですよね

 同じ写真なのに、受け取るものは変化してくる、だからこそ“今”を記録したいと思っているんです」

《同じ料理なのにこんなに違うの!?》

お雑煮って、本当に家族によって全然違うんだなと。母が作るものも、祖母が作るものも、友人家族が作るものも、全部味つけや具材が異なるんです。同じタイトルでこんなにも違いの出る食事って、ほかにはないんじゃないかなと。僕の実家では、具材は少なめで、だしを生かしたシンプルなお雑煮が定番でしたね」 

そめたに・しょうた

 ’92年9月3日生まれ。’01年『STACY』で映画初出演、’09年『パンドラの匣』で長編映画初主演を務める。’13年には『ヒミズ』『悪の経典』で第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の主な出演作に連続テレビ小説『なつぞら』や映画『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』『パラレルワールド・ラブストーリー』など多数。

●Information●
『最初の晩餐』11月1日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
 父が亡くなった。通夜の夜、母が仕出し屋をキャンセルし、出した“通夜ぶるまい”は目玉焼き。みんなが戸惑う中、次々と出てくる料理。
 それは1冊のノートに残された父の思い出の味。父との時間がよみがえり、家族も知らなかった秘密が浮き彫りになっていく……。

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