南キャン山里亮太に聞く、ゲーム遍歴と“配信”の楽しさ「子供のころ以来じゃないかってくらい楽しい」

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2019年11月06日 13:41  リアルサウンド

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南海キャンディーズの山里亮太(撮影=下屋敷和文/撮影協力=TBSラジオ)。

 ゲーム好きの著名人・文化人にインタビューし、ゲーム遍歴や、ゲームから受けた影響などを聞く連載“あの人のゲームヒストリー”。今回登場するのは、学生時代からゲーム漬けだったという、南海キャンディーズの山里亮太だ。


 山里は現在、スマホゲーム実況アプリ「Mirrativ」内でチャンネル「山里の荷車」を立ち上げ、本日11月6日に500回を迎える自身のラジオ番組『水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論』(TBSラジオ:毎週水曜25時〜27時放送)の前後に配信を行なっている。今回はそんな彼に、これまでのゲーム遍歴や「山里の荷車」立ち上げの経緯、ゲームを通したリスナー・スタッフとの交流に加え、山里らしい“ゲーム”の捉え方について、じっくりと話を聞いた。(リアルサウンド編集部)


(参考:南キャン山里亮太、本田翼との共演を熱望しゲーム実況者デビュー 「呼吸音しか聞こえなかったらどうしよう」


ーー過去のインタビューでもお話しされていましたが、山里さんは学生時代から結構ゲームをやっていたとか。一番ハマっていたのはどのくらいの時期なんですか?


山里:1番熱中したのは高校生のころで、『ファイナルファンタジーVI』にハマっていました。自分でもやっていたんですけど、なめちゃんというゲーム好きの友達がいて、彼の家で見ていた時間の方が長いですね。「召喚獣全部見せられるようになったから家おいで」って誘われて、泊まりでずっと召喚獣見せてもらったり。人がゲームをしているところとか、平気で5〜6時間は見てられるんですよ。


ーー今でいうゲーム実況みたいなものですね。


山里:そうそう。何回もバハムート呼んでもらったり、VII(『ファイナルファンタジーVII』)の時はナイツオブラウンド(隠し要素として登場した、最強の破壊力を誇る召喚獣)を見せてもらって感動してましたね。


ーーご自身でもやり込むとのことでしたが、それはどのくらいなんですか?


山里:『ドラゴンクエストIV』は、第1章のライアンが後々合流するってわかってたので、「その時にめちゃめちゃ楽しよう」と思って、レベル45ぐらいまで上げたりしてました。


ーー頑張ってもレベル10、やり込んでもレベル20ぐらいのところで終わる気が……。


山里:膨大な時間を費やしましたよ。最初の頃はありがたがってたホイミンも、「ちょっと黙っててくれないかな」って感じで。そもそも当たらないから、傷も付いてないし(笑)。ドラクエもFFもやり込んでたんですけど、名前を入力できる文字数が全然違うじゃないですか。


ーーその違いを挙げる人は少ないような(笑)。


山里:ドラクエは4文字までなんですけど、FFは結構文字数を入れられるので、自分以外のキャラには、クラスの好きな女の子の名前を付けてたんですよ。当時はヤマシタトモコさんって人が好きで、フルネームで入れてたら、返す時に名前とかデータを消し忘れてて、全部バレたことはありました。


ーーあわせて苦い記憶ですね。そもそもゲームを好きになったのは、どれくらい小さい頃なんですか?


山里:僕の年齢(1977年生まれ)って、一番ゲーム機の変遷を見てる世代なので、その時々の感動は今でも覚えていますね。ゲームを始めたきっかけはゲームウォッチからなんですけど、『ドンキーコング』と『オイルパニック』の2種類があって、圧倒的に『ドンキーコング』が人気なんですよ。そこで、ちょっと自分のセンスを見せようと思って『オイルパニック』を買ったら、地元で持ってるのが僕しかいなくて。あの頃は対戦ゲームがなくて、同じゲームを一緒にやって早さを競ったりしてたので、心の底から『ドンキーコング』にすればよかったって後悔しました。ひたすら漏れてくるオイルを拾ってドラム缶に移す、頭がおかしくなるような作業をずっとやってましたから。


ーー要素だけつまむと修行みたいなゲームですよね。


山里:そこから家にファミコン(ファミリーコンピュータ)が来て、『エキサイトバイク』でずっとコースを作ったり……。「ディスクシステム」が使えるようになった時のこともハッキリ覚えてますよ。おもちゃ屋さんに行って500円で書き換えられるから、めちゃくちゃヤンキーのうちの兄ちゃんから『スーパーマリオブラザーズ2』をA面に入れたディスクをもらって「B面にお前のセンスでゲーム入れてこいよ』って言われて『謎の村雨城』を入れたんですけど、『謎の村雨城』ってA面とB面の両方を使うんですよ。


ーー嫌な予感がします。


山里:兄ちゃんが1回もやらないまま『スーパーマリオブラザーズ2』が消えちゃって、ブチギレてボコボコにされたのを覚えていますね。ツインファミコンは買わなかったから、次にやったハードはPCエンジンかな。おばあちゃんに、今まで人生で踏んできた地団駄の中ではかなりベストな地団駄が踏めて、千葉のそごうで買ってもらったんですよ。めちゃくちゃいい、これ以上ない地団駄が踏めたんだよなあ(笑)。


ーー(笑)。PCエンジンではどんなゲームを?


山里:当時って、説明書を読まずに雰囲気でゲームをやってたんですけど、ここで初めてあの黄色と赤の線を使う日が来たんですよ。テレビに何となく挿してはみたもののゲームが起動しなくて、隣にいた兄ちゃんが「入力切替」ってボタンを押したら、急に画面に『カトちゃんケンちゃん』が出てきたので驚きました。当時、兄ちゃんと「え、これ写真が入ってない?」って驚いたり、下+Bで屁をこくんですけど、それが楽しくてずっとゲラゲラ笑ってたら、兄ちゃんにすごいキレられましたね。


ーーキレた理由がわかりません(笑)。


山里:「ここが楽しいとこのマックスになっちゃってる」って(笑)。ほかにも、兄ちゃんが『THE 功夫』を借りてきたのに「全然つまらねーじゃねえかこれ!」ってキレたり、『R-TYPE』のボスに「何だよこれ、気持ち悪いな!」ってキレてたりしてましたね。メガドライブはクラスメイトのネモトくんが「買ったからみんなで、山ちゃんの家に集まって一緒に『大戦略』やろう!」って言ってくれたんですけど、彼がコントローラーを忘れてきちゃって。ずーっと『大戦略』のデモ画面を見て「綺麗だねー」って言ってました。そこから先ほどお話ししたプレステにハマった高校時代があって、大学受験の時にはゲームから離れて、という感じです。


ーー大学時代は寮生活でしたが、ゲームはできる環境だったんですか?


山里:いやいや、全然やってましたよ。部屋は学年が1個ずつ違う人の3人部屋なんですけど、ウエマツさんという1番上の先輩が言うことは絶対だったので、「テレビは野球、ゲームは『パワプロ』(『実況パワフルプロ野球』)以外ダメ」というルールでした。まあ、そのルールは先輩が起きてる間だけなので、寝静まったのを見届けて『ドラクエVII』をやっていました。


ーー隠れてゲームしなきゃいけない状況ではあったと。


山里:寮のテレビが古いので、スイッチを入れたら「ビン」って音が鳴るんですよ。そしたらウエマツさんが起きてきて「お前ドラクエやろうとしてるだろ」と言うので、「いや、ウエマツさんのパワプロのサクセスでいい選手作っておこうと思って」って返して、「ありがとう、じゃあやっておいて」って寝て、みたいな。でも、卒業前にアキレス腱をバッチリ切っちゃって、メチャクチャ怒られました。


ーー『パワプロ』あるあるですね。


山里:あと、なぜかその時に1番ハマってたソフトが『爆走デコトラ伝説』なんですよ。トラックをただ走らせて、荷物を壊れないように運んで、稼いだお金でデコトラをチューンナップしていくゲームで、後ろではずっと演歌が流れてて。毎日学校から帰ってきて、寮の友達と夜を明かしてました。


ーー本物のトラック野郎じゃないですか(笑)。山里さんはそこからNSCに入って、芸人としてのキャリアをスタートさせるわけですが、ゲームからは遠ざかっていったんですか?


山里:当時お付き合いさせていただいていた彼女の家に転がり込んでいたので、彼女の家にあるプレステで『モンスターファーム』をめちゃくちゃやってましたね。持ってるCDを持ち寄ったりして。


ーーわかります。手持ちのCDがなくなって、中古のCDを買いに行ったり。


山里:そうそう。最新作も出るみたいなので、それも個人的に楽しみです。別れて一人暮らしをするようになってからは、テレビがなかったこともあってゲームから遠ざかってました。NSCで「一人酒とゲームだけはやるな」って言われたので、真面目に言いつけを守ってたんですよ。


ーーなぜゲームがダメだったんでしょう。


山里:「人の作ったもので楽しんでるようなやつは売れない」って言われていたんです。NSCを卒業してからは、先輩とも話をさせてもらうようになって、次長課長の井上(聡)さんから「バーチャ(バーチャファイター)やるから見てて」って誘われて、一言も喋らずにずっと井上さんのバーチャを見てることはありました。自分の家でゲームをするようになったのは、東京に出てきてからですね。番組のリフォーム企画で「家にプロジェクターをつけて、そこで『スーパーマリオ』をやりたい」という夢を叶えてもらったのがきっかけだと思います。でも、定期的に「ゲームやってないでネタを書け」と集中する時期があって。


ーーその時期は一切やらなくなると。


山里:仕事のストレスのはけ口にゲームをやり込むことが多かったんですけど、「これじゃダメだ」と思って、データを全部消したりするんです。そうすると一気にやる気がなくなるので。ドラクエとかでも、はぐれメタルを倒すために半日ずっと使って、夜になったときに「レベルは上がったけど、俺は何も成長してない」って急に虚しくなったりして。


ーーオンラインのゲームには手を出さなかったんですか?


山里:Xboxを買ったんですけど、初めての対戦相手がアメリカの子供で。ずっと「F●CK!!」って言われ続けて、それが怖くなってネット対戦から身を引きました。そこから『不毛な議論』つながりでプレイした『ドラクエX』がトラウマから解き放ってくれるまで、結構時間がかかりましたね。


ーーそれが2012〜13年のことでした。


山里:レベルも低かったんですけど、リスナーが接待してくれて、経験値を分けてくれたり、ゲーム内でオフ会をやったり、僕が作ったキャラクター「恵方巻きちゃん」の見た目が幼女でみんなに引かれたりして。


ーーそこで協力の楽しさも学んで、今回のゲーム配信「山里の荷車」につながってくると。きっかけはラジオ内で本田翼さんのゲーム配信について言及して、それがスマホゲーム実況アプリ「Mirrativ」からのオファーにつながって、チャンネルの開設が決定したんですよね。(参考:https://realsound.jp/tech/2019/04/post-346100.html)


山里:Mirrativさんがすごくフットワーク軽く動いてくださったおかげでスタートすることができたんです。こういう機会がないと『荒野行動』も心が折れて、やめてたかもしれませんね。僕、ゲームは好きなのにめちゃくちゃ下手なんですよ。だからシューティングも全然上手くならなくて、最初は「散歩ゲーム」「ドライブゲーム」だって言われてたのに、みんなが教えてくれたおかげで楽しくなりました。


ーー『不毛な議論』リスナー以外の人もかなり見るようになってきました。


山里:「Mirrativ」の元々の視聴者さんが遊びにきてくれてるみたいで。ありがたいです。


ーーそのおかげで“ドン勝”の数も増えてきたじゃないですか。


山里:そうですね。ただ「一部のリスナーが接待でやられに来てる説」もありますからね。目の前でブロックレンガ持った男がずっと立ち尽くしてて、パーンって倒したらリスナーだったという。


ーー「仁王立ち事件」ですね。元々ゲーム実況を見るのはお好きだったんですか?


山里:ニコニコ動画は見てないんですけど、YouTubeで「のびのびのぶおチャンネル!!」(ペンギンズ・ノブオのゲーム実況チャンネル)を見るのが大好きで。


ーー『勇者ああああ』含め、ゲーム好き芸人のなかでも濃いめの方ですもんね。「山里の荷車」は、山里さんを含めてチーム全体の実力がメキメキ上がっている気がします。チームの仲もより一層良くなりましたか?


山里:いや、ギスギスしてます(笑)。


ーーヒロシゲ(番組ディレクター)さんが味方を撃ちすぎて怒られたり(笑)。


山里:ヒロシゲは口も悪くなりますからね。あと、宮嵜(守史)プロデューサーが、俺のいる部屋に手榴弾投げ込んだりして、報復としてエリア外に車で置いていってやりましたよ。でも、あれだけ笑いながらゲームするのって、子供のころ以来じゃないかってくらい楽しいですね。


ーー見ている側としては、その無邪気さが伝わってきてこちらまで楽しくなります。ちなみに、ゲームをやってきて得た知識や経験が、ご自身の活動に活きた瞬間はありますか?


山里:トークの喩えに出てくる、とかかな……他の人はどんなこと言ってるんですか?


ーーゲームをやることで、自分を俯瞰で見れるようになったとか、活動のなかでの目標がクエストみたいに感じて、ゲーム感覚でクリアできるようになる、とか。


山里:いやいや、その人たち絶対後付けで盛ってますって! 絶対自分のことを俯瞰で捉えて、ゲーム的要素で活動してる人なんかいないよ!


ーーこちらがこじつけさせてしまっているところもあるかもしれません……。


山里:もちろん、言おうと思えば言えますよ。目の前のデカい特番を『ドラクエ』や『FF』のボスだと思って、「今日はハネそうだから梅沢富美男さんにバイキルトをかけて、ガンガン行ってる間にスクルトで防御力上げておこう」とか、「IKKOさんがノッてるからバーサクをかけておこう」とか。そしたら「どんだけ〜!」「ヤダ〜!」だけで敵も味方も全員なぎ倒してくれますから(笑)。


ーー瞬時に出てきましたね(笑)。


山里:真面目な話をすると、ゲームって現実に活きないから楽しい気もするんですよ。現実逃避できるからこそ面白かったり。


ーー確かにそうかもしれません……。最後に、この後「山里の荷車」でやってみたいタイトルや、実現してみたいことはありますか?


山里:『荒野行動』はこれからもやると思うんですけど、新しいタイトルは何にしようか考えているところです。個人的には『限界しりとりMobile』と『ポケモンGO』ばかりやってますね。『ドラクエウォーク』もやりたいんですけど、配信には向いてないかもしれません。


 これからも水曜日の夜中、22時過ぎか27時過ぎくらいにやっていくので、オススメのタイトルをコメントなどで教えていただけるとありがたいです。時々僕のカラオケ大会の日もありますけど(笑)。(中村拓海)


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