乾癬は「非感染」。患者さんが「悲観せん」社会に向け「HIKANSEN SALON」開催

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2019年11月08日 14:20  QLife(キューライフ)

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症状による外見の変化に悩む日々…患者さんとのつながりで気持ちが楽に


NTT東日本関東病院皮膚科部長 五十嵐敦之先生

 乾癬(かんせん)は、皮膚に銀白色の鱗屑(りんせつ)というかさぶたが生じて、ボロボロとフケのように落ち、その周辺の皮膚が赤く盛り上がるといった症状が現れる皮膚の病気です。見た目から“感染する病気”と誤解を受け、周囲からの視線を常に意識して生活している乾癬患者さんは、少なくありません。

 そんな中、乾癬は感染しないという理解を深め、患者さんが悲観せずに生活できる社会をつくるための疾患啓発プロジェクト「HIKANSEN project(ヒカンセン プロジェクト)」が、2018年に立ち上がりました。同プロジェクトは、HIKANSENという名前に込められた「非感染(感染しない)」「悲観せん(悲観しない)」というテーマのもと、活動しています。同プロジェクトの一環として、日本乾癬学会、INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会、ヤンセンファーマ株式会社は共催で、11月1日に乾癬患者さん向けイベント「HIKANSEN SALON〜等身大の乾癬を語ろう〜」を都内で開催。「乾癬と共に歩む今」と題したトークセッションでは、NTT東日本関東病院皮膚科部長の五十嵐敦之先生と、INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会の山下織江さんが登壇しました。

 山下さんは、10代の頃に乾癬を発症しました。当時の山下さんは、「オシャレをしたい」という思いがあったものの、頭皮から鱗屑がボロボロと落ちるようになるなど、乾癬の症状による外見の変化に悩む毎日で、オシャレを楽しむどころではなかったそうです。また、当時は同じ病気の患者さんとのつながりがなかったため、病気のことを気軽に話せる場が無く、誰にも相談できないまま1人で悩むこともあったと言います。しかし、「患者会に所属することで乾癬患者さんとのつながりを持つようになり、少しずつ気持ちが楽になっていきました」と、山下さん。こうした経験から、「患者さんとのつながりは大切」と実感したそうです。患者さんの中には、症状による外見の変化に悩み、引きこもりがちになってしまう方もいると言います。山下さんは、そんな人たちに向けて「患者会やSNSなどで患者さんとつながることで、『自分は一人ではない』ということに気付き、前向きな気持ちを取り戻すことにつながるのではないか」と、つながることの意味を、意見として伝えました。

 乾癬の症状の現れ方は人それぞれですが、手や爪、頭皮など、洋服などで隠しづらい部分に症状が現れている患者さんは、特に他人とのコミュニケーションをためらってしまいがちなのだそうです。そのため、乾癬患者さんは、症状を上手にコントールしていくことが大切です。「乾癬の治療はここ数年で大きく進歩し、治療選択肢も増えています」と、五十嵐先生。症状がなかなか改善されずに悩んでいる患者さんは、治療について医師に改めて相談してみても良いかもしれません。

前向きに治療を受け続けるために、正しい情報を得よう


INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会 山下織江さん

 トークセッション後半では、「正しい情報を得る」というテーマでお2人の対談が進められました。五十嵐先生は、「前向きに治療を受けるためにも、正しい情報を得ることが大切です」と主張。今はインターネットでさまざまな情報を得られるようになりましたが、だからこそ、誤った情報に惑わされないことが大切です。

 とは言え、治療に関する正しい情報を、たくさんの情報の中から選び出すことは、患者さんにとって容易ではありません。山下さんの場合、ご自身で治療に関する情報を得る一方で、同じ乾癬患者さんとお話しするなかで正しい情報を得る機会も多かったのだそうです。他の患者さんと話す機会では、情報を得るだけでなく、お互いに励まし合うことで前向きに治療に取り組むことができたという良い経験も得られたと言います。山下さんは自身の経験から、「患者さんとのつながり、情報交換が、心にも身体にも良い影響を与えると思う」と述べました。

 最後に、「正しい情報かどうか判断に迷われる場合は、医師に相談してください」と、五十嵐先生。「正しい情報を得て、納得したうえで、自分に一番あった治療法を選択してください」と、会場の患者さんに呼びかけました。(QLife編集部)

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  • 私も結構最近まで知らなかった。多くの人に知れ渡って欲しい。
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