西武秩父線50周年、横瀬車両基地イベントで歴代特急車両そろい踏み

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2019年11月10日 07:02  マイナビニュース

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西武秩父線が1969(昭和44)年に開業し、同時に池袋〜西武秩父間で特急「ちちぶ」が運行開始してから今年で50年。「レッドアロー」の愛称で知られた西武鉄道の初代特急車両5000系は、当時の沿線住民に大きな存在感をもって迎えられただろう。

その後、1993(平成5)年に10000系「ニューレッドアロー」が登場。「レッドアロー」を順次置き換えた。「レッドアロー」の一部車両は形式を改め、富山地方鉄道で活躍を続けている。20年以上にわたり特急車両の主力として役割を担ってきた10000系「ニューレッドアロー」も、現在は池袋線・西武秩父線において、新型特急車両001系「Laview(ラビュー)」への移行が進んでいる。
○■西武鉄道の歴代特急車両、実車が一堂に

そんな中、西武秩父線50周年を記念し、西武鉄道の歴代特急車両がそろう「西武秩父線開通50周年記念 車両基地まつり in 横瀬」が11月9日、横瀬車両基地(埼玉県横瀬町)で開催された。「ちちぶ車両基地酒場 2019 in 横瀬」も同日開催となった。

今回のイベントでは、5000系「レッドアロー」、10000系「ニューレッドアロー」、001系「ラビュー」の実車がそろい、多くの来場者の前で展示された。5000系「レッドアロー」は横瀬車両基地に静態保存されているクハ5503を使用。3世代の特急車両が一堂に会し、西武秩父線の歴史を感じさせるだけでなく、沿線住民や鉄道ファンらの憧れだった西武特急の進化と発展を感じさせる展示となっていた。

歴代特急車両は3形式とも「ちちぶ」の列車名を表示した。5000系「レッドアロー」は交換可能なヘッドマーク、10000系「ニューレッドアロー」は幕、001系「ラビュー」はLEDと、表示方法は進化したが、「ちちぶ」の列車名は変わらない。こどもたちを連れた家族も多く来場する中、変わるもの・変わらないものが幅広い年齢層の来場者の前で同時に展示されている。鉄道の歴史と進化、そして来場者たちの人生がシンクロし、そこからこどもたちの未来へとつながっていく。そんな印象を受けた。

あわせて西武秩父線の歴史を紹介するパネルも展示された。山岳区間に正丸トンネルなど16のトンネルと35の橋りょうを建設して開通させ、勾配に強い101系を投入。後に4000系が登場し、秩父鉄道への直通運転が始まる。近年だと「西武 旅するレストラン 52席の至福」が運行開始し、有料座席指定列車「S-TRAIN」も土休日に西武秩父駅まで運転されるようになった。2011年には、秩父を舞台にしたテレビアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の劇中で西武秩父線が登場。いわゆる「聖地巡礼」が盛んになった。

2013年には西武ホールディングスの大株主(当時)だったサーベラスから、この西武秩父線を含むいくつかの路線の廃止を提案されたこともあった。紆余曲折ありつつ、今年10月14日に開業50周年を迎えた西武秩父線。横瀬車両基地に並んだ3世代の特急車両は、まさに西武秩父線の歴史を象徴する存在と言えるかもしれない。
○■西武鉄道の歴史を担った電車・機関車も並ぶ

会場では、特急車両の他にも多くの電車・機関車が展示された。西武秩父線は沿線住民や観光客の利用だけでなく、貨物輸送のための鉄道でもあった。1996(平成8)年まで貨物輸送が行われ、沿線の三菱鉱業セメント(現在の三菱マテリアル)のセメントなどを運んでいたという。

今回のイベントでは、貨物輸送に使用された機関車も間近に見ることができた。電気機関車E851形E854号機は、国鉄の電気機関車EF65形の車体、EF81形の台車を参考にし、重量貨物牽引機として能力を発揮したという。E31形E33号機は、E851形を小型化した形状であり、貨物輸送や業務用輸送に活躍した。

他にも多くの機関車が展示され、さらにスム201といった鉄側有蓋車、ワフ105といった有蓋車で車掌車と一体となった車両も見ることができた。『銀河鉄道999』デザインのラッピングを施した3000系、西武秩父線開業後の初期に101系とともに活躍した505系なども会場に展示されていた。

当日は西武鉄道の廃車から出た部品・用品、西武鉄道グッズなどの販売も行われた。部品・用品の販売では、「西武線アプリ」を使用して事前に電子入場券を入手する必要があり、前もって入場の順番が決められたため、多くのファンが殺到し混乱するということはなかった。それでも多くの来場者が集まり、開始前には列ができていた。

西武鉄道グッズの販売では、この日から販売開始となる新たなグッズもあり、こちらも多くの来場者でにぎわった。秩父鉄道グッズなども販売されたほか、こどもたちが西武鉄道の制服を着て写真撮影を行うコーナーも会場に設けられた。
○■「ちちぶ車両基地酒場」今年も盛況

昨年好評だった「ちちぶ車両基地酒場」も再び開催された。チキンステーキや鳥の唐揚げ、わらじカツ弁当、猪肉の串焼き、鮎の炭火焼、鉄板ホルモン焼きといった秩父のグルメを味わいつつ、ベンチャーウイスキー「イチローズモルト」や秩父のワイン、日本酒、地ビールなどを味わうといった趣旨のイベントだ。

会場には休憩スペースとしてテント張りの休憩所が設けられ、埼玉西武ライオンズのカラーにラッピングされた9000系「L-train」(9108編成)も休憩所として使用された。車内にちょうちんも飾られてあった。青空の下、開催された今年のイベントはいずれも盛況だった様子。西武秩父線の開業50周年という記念の年に、西武鉄道が沿線住民やファンらを大切にしてきた蓄積を改めて感じることができた。(小林拓矢)

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  • ここに特急あずさ・かいじのE353系や、富士急を呼べば、秩父と大月。
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