ザ・コレクターズが放つ、驚異を感じるほどの瑞々しさ 最新ツアーファイナル公演を見た

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2019年11月11日 11:01  リアルサウンド

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ザ・コレクターズ

 2018年11月リリースの最新アルバム『YOUNG MAN ROCK』の2本目のリリースツアー『THE COLLECTORS TOUR 2019「超えて行こうぜ!限界ライン YOUNG MAN ROCK season2」』が、10月22日にEX THEATER ROPPONGIでファイナルを迎えた。


参考:ザ・コレクターズ、12カ月連続マンスリーワンマンを完遂! 新たな目標を見定めた最終公演レポート


 8月12日の渋谷クラブクアトロからスタートし、熊谷・柏・京都・神戸・浜松・小倉など、3カ月強かけて全国15本を回ってきたツアー。「本数は少ないけど、長かったねえ」「本数少ない? 少なくないよ!」と、古市コータローと加藤ひさしが言い合う場面も。


 『YOUNG MAN ROCK』から5曲、それ以外が14曲というセットリスト。このツアーのタイトルにもなっている「限界ライン」でスタートし、5曲目の「99匹目のサル」までたて続けにプレイし、場の空気を作り上げたところで、「EX THEATERは2回目なんですけど、非常に俺たちに合ってる! いつでもこういうところでやりたいよ」と、加藤。今回のツアーは政令指定都市以外を多く回るものだったので、地方によっては小さなライブハウスでギュウギュウだったりして、4人中3人が50代のバンドとしてはフィジカル的に大変な時もあったんだろうなと、その言葉を聴いて思う。と書いておいて、すぐにひっくり返すのもなんだが、ただし、出ている音はそんな大変さから、もっとも遠いところにある。どの曲も、どの瞬間もだ。


 「こういうのを『エレキギターのいい音』と言います!」と断定したくなる、「♪ジャーン!」だけでウットリな古市コータローのギター。「そう! ロックンロールのベースってこういう音でこういううねり方!」と、いちいちうれしくなる、山森“JEFF”正之のベース。キックとスネアの響きに「いい鳴り!」と言いたくなるし、その一発一発のタイミングの絶妙な気持ちよさに「歌いやすいだろうなあ、これ」と思わされる、古沢”COZI”岳之のドラム。ギターとベースとドラムで作るロックンロールという音楽は、フォーマットとしてはとっくにオールドスタイルなものになっていることなどわかっているが、それでも最高だし最強だと思うのは、こういうバンドのライブを観た時だ。


 特に、メロディとリリックの本来の魅力を、果てしなく高いものにしてアウトプットしていく加藤ひさしのボーカル。10代〜20代ならともかく、キャリア33年でこの瑞々しさって、驚異以外の何ものでもない。生で聴いているとつくづくそう感じる。このコンディションを保つことは若い頃に比べてはるかに大変だろうし、だから日々いろいろケアとかしているのだろうと思うが、それにしても、「特に調子いい日なのかな」と思わせるレベルだった。で、そう思った直後に「いや、俺最近、ライブ観るたびに『特に調子いい日なのかな』って思ってるわ」と気がついた。


 超絶的だったのが、前半のピークである7曲目の「ロックンロールバンド人生」と、13曲目のインスト(セッション)の間に衣装替えして再登場したところで歌われた、『YOUNG MAN ROCK』の1曲目「クライム サスペンス」。声を浴びる至福。「高くて美しい声で歌えるボーカリスト・50代部門」の2トップのひとりだ、本当に(もうひとりは草野マサムネ)。


 THE COLLECTORSの場合、大人気ポッドキャスト『池袋交差点24時』そのまんまな加藤ひさしと古市コータローのMCも、ファンの大きな楽しみである。この日いちばん盛り上がったのは、中盤から後半に差しかかるところでの、加藤ひさしがthe pillowsの横浜アリーナに行った、という話。「10,000人超えってすごい、やりたいな、頑張ればやれるんじゃないかな」と言う加藤に対し、今いち反応が鈍いコータロー。


「え、コータローくん、やりたくないの?」


「いや……もっと大きいとこがいい」


「ドームですか!!」


 超満員のフロアが笑顔と拍手で埋まった瞬間だった。


 なお、この日、次のツアーも発表になった。2020年1月25日に広島から始まり、3月20日の那覇で終わる14本。1月は2本、2月が8本、3月が4本。大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌はあるのに「※東京公演はございません」と但し書きが付いているのが、気になる。日比谷野音(日比谷野外音楽堂)とかあるのかな。あるといいな。って、本当に何も知らないから書けるやつですね、これ。とにかく楽しみ。(兵庫慎司)


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