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「刑務所よりもひどい」外国人長期収容の“絶望しかない”入管での実態

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2019年11月11日 11:30  AERA dot.

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写真茨城県牛久市にある「牛久入管」。約40カ国の約280人が収容され、6カ月以上の長期収容者が9割を占める。面会時間は1回30分、面会もアクリル板越しだ(撮影/編集部・野村昌二)
茨城県牛久市にある「牛久入管」。約40カ国の約280人が収容され、6カ月以上の長期収容者が9割を占める。面会時間は1回30分、面会もアクリル板越しだ(撮影/編集部・野村昌二)
 在留資格がない外国人らを送還するまでの間、収容するための施設で、ハンストや自殺未遂が相次いでいる。閉ざされた「密室」で、いったい何が起きているのか。AERA 2019年11月11日号に掲載された記事を紹介する。

【写真】自らの死を覚悟したデニズさんが書いた「遺言状」

*  *  *
 アクリル板を隔て、デニズ・イェンギンさん(40)はうつろな目で訴えた。

「絶望しかない。死にたい」

 たどたどしい日本語で、表情は暗い。

 10月2日、茨城県牛久市の東日本入国管理センター(牛久入管)の面会室。9月下旬にデニズさんは、施設内で缶ジュースをねじって裂き、その切り口を両手首に当て自殺を図った。面会した際、両手首には包帯が巻かれていた。

 トルコ国籍でクルド人のデニズさんは、トルコで反政府活動に加わったことで2007年5月、弾圧を恐れ来日した。難民申請をしたが認められず、国に戻ると殺されるため日本にとどまった。11年に日本人女性と結婚したが、在留資格がないことから16年5月に東京入国管理局に収容され、翌17年2月に牛久入管に移された。以来、ここにいる。デニズさんは言う。

「体調が悪くて、食欲もない。物忘れが多くなり安定剤を飲んでいるが眠れない。ここは、刑務所よりもひどい」

 運動時間は短く、病気になってもなかなか医師に診てもらえない。職員から殴られるなど暴行も受けたという。

 何よりつらいのは、先の見えない生活だ。デニズさんは5年ほど前に暴行罪で逮捕され、短期間だが刑務所に入ったことがある。刑務所であれば刑期を終えれば出てこられるが、入管難民法は収容期間を定めておらず、収容期間は事実上、入管当局の裁量で決められる。理論上は無期限だ。

 絶望の中で6月、デニズさんはハンガーストライキ(ハンスト)に出た。衰弱し、体重は74キロから63キロに。8月には一時的に外に出られる「仮放免」が認められたが、2週間後、理由も示されないまま牛久入管に「再収容」された。死を覚悟したデニズさんは「遺言状」を書いた。「私と妻、お互を凄く愛してます」「もし収容所で心臓発作(麻痺)、脳梗塞や不適切な医療の理由で死んでしまったら、責任はすべて入管にあります」(いずれも原文ママ)などと書きつづった。

 さらにデニズさんは、国を相手に国家賠償請求訴訟を起こしている。収容者が遺言状を書き、訴訟を起こしていることについて、牛久入管総務課の担当者は言う。

「遺言状については個人のことなので言えない。裁判については、国として適切に対応して、しかるべき主張はしていきます」

 デニズさんは面会中、また自殺をすると何度も言う。死んだら、愛する妻にも会えなくなるからやめるようにと伝えると、静かに言った。

「天国で会えます」

 支援者によると、10月25日、デニズさんは再び「仮放免」されたという。

 牛久入管はオーバーステイなどで在留資格のない外国人らを送還させるまでの間、一時収容する外国人収容施設だ。全国にこうした収容施設は17カ所あり、管理する出入国在留管理庁(入管庁)によれば10月1日現在、収容者は全国で1246人。その施設で今、「事件」や「異変」が相次いで起きている。牛久入管だけでも、昨年4月に30代のインド人男性が自殺し、翌5月には3人が立て続けに自殺未遂をした。牛久入管総務課の担当者は、「面接をするなり、収容者の心理状態を把握し、必要に応じて医師の診断を受けさせるなど、取り返しのつかないことがないようにしたい」と話す。

 閉ざされた「密室」で、一体何が起きているのか。牛久入管の収容者との面会を続ける支援団体「牛久入管収容所問題を考える会」代表の田中喜美子さん(67)は、「異常事態」と訴える。

「25年近く面会を続けていますが、ここまで短期間に自殺や自殺未遂が続くのは初めて。うつ状態の人も珍しくなく、起き上がれなくなり紙おむつをしている人もいます」

 背景にあるのが、「出口」の見えない収容の長期化だ。先が見えない不安に、心も体も壊れていく。全国の入管施設の6カ月以上の長期収容者は、13年末の263人から18年末には681人と2.5倍に。逆に仮放免は、15年末の3606人をピークに、18年末は2501人と大幅に減少した。

 田中さんによれば、収容の長期化が進んだのは16年ごろからだという。

 同年9月、法務省は「我が国社会に不安を与える外国人を大幅に縮減する」と全国の入管局長らに通知した。20年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、仮放免された人への監視を強化。18年には制度を厳格化する「仮放免運用方針」が出され、重大犯罪で罰せられたり、難民申請を繰り返したりする収容者の仮放免は認めない運用を指示した。その結果、仮放免は認められにくくなり、長期収容につながっていった。

「しかも最近は、仮放免されても2週間で再収容されます。ハンストしても無駄だという見せしめとしか思えません」(先の田中さん)

 20年以上前から外国人を支援する、マイルストーン総合法律事務所(東京都)の児玉晃一弁護士は、収容が本来の目的である強制送還以外のために使われていると指摘する。

「入管収容の本来の目的は、強制送還を実現するためのもの。例えば、あらゆる法的手段を尽くしたが、どうしても最終的に帰国させなければならない人が断固拒否するので、飛行機や船に乗せる直前に収容するのは、やむを得ないとは思います。しかし、危険な状況から逃れてきた難民申請中の人を2年も3年も長期にわたって収容するのは、本来の目的からかけ離れています」

 児玉弁護士によれば、イギリスでは外国人の収容はあくまで強制送還を目的とし、具体的なメドが立たない場合は解放しなければいけないと最高裁判決が出ている。また、日本では仮放免は入管当局が判断し、申請書を提出しても結果が出るまで2、3カ月かかることがある。許可・不許可の理由も明らかにされない。一方、イギリスでは、保釈の申請があれば原則3日以内に公開法廷が開かれ、「しっかりした保証人がいない」といった理由が認められない限り、許可されるという。

「何年にも及ぶ拘束を、一つの行政機関の判断で行っている。他の先進国なら絶対に容認されない」(児玉弁護士)

(編集部・野村昌二)

※AERA 2019年11月11日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • #強制送還 それしかありません トランプ大統領でより厳しくなった #米国 を見習うべき #感情論不要 https://mixi.at/ahVC1QA
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    • コメント 2件
  • 「もし収容所で心臓発作(麻痺)、脳梗塞や不適切な医療の理由で死んでしまったら、責任はすべて入管にあります」← (゚Д゚)ハァ?🤪じゃハンストなんかしなきゃ〜い〜のに🤪
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